2018-01-01から1年間の記事一覧

吹雪

『アイラブユー』 夕凪姉が机に向かって 書き物をはじめた場合 その半分が宿題をしているのであり また、もう半分の機会は── 閃いた瞬間にアイデアを記録しているのです。 なぜそれが確認できるかといえば 宿題の場合は 終わった後に喜んで 宿題が終わったと…

春風

『デイドリーム』 今日もよく晴れて 外でみんなが遊ぶのに良い日でしたね。 洗濯物も良く乾くし 日なたは過ごしやすいし── 落ち葉の季節に お掃除が進んだり ハロウィンも間近で 街を探索する子もいたり 木漏れ日の下のベンチで うたた寝をする子もいたり そ…

あさひ

『よちよち』 うっふふー こさめ! むっふふふ。 ふんぬ! あば、わばっば あーたん、ば! むっちゃ わーわーは いねがー! むん。 むっちゃ こさめ! なでなで。 ちゃっちゃっちゃ ちゃっちゃっちゃ。 おーれいっ! (こさめがかえってきた! かぜをやっつ…

虹子

『だいすき』 じゃーん! おしたくができた。 こさめおねえちゃんが かえってくるよ。 みんなのいるおへやに またやってくるよ。 げんきなおかおをみせてくれるよ。 そうして みんなでかこんで おいわいのうたをうたって おはなのかんむりをかぶせて おうさ…

『天使のおしごと』 蛍です。 小雨ちゃんの体調について 看護婦さん役で一番頼りになる蛍が 伝えたほうがいいだろうと みんなに薦めてもらったの。 でも、やってることはただの普通の看病で 食べやすくて栄養のある食事を持って行ったり 着替えを手伝って汗…

小雨

『風邪』 うーん ううーん…… はあはあ。 今年も風邪に気をつけないといけない時期が来て── 私たちの家ではまず一番最初に 小雨が── かかってしまいました── 本当は眠って体を休めないといけなくて みんなに迷惑をかけてしまうことは 体調が悪いうちは思い悩…

さくら

『山のくまさん』 さくらの好きなもの なんだろな。 しってる? みっつくらい あるよ。 ひとつめ! お兄ちゃん。 ふたつめ! ほしぞら。 ねんに一日 それかもうすこし少ないくらいは オリオンざがみえるまでおきている! みっつめ! あついあついまなつの日…

『至高』 カツ丼とはとてもいいものだ。 出汁の甘みとしょうゆが程よくしみこんだ味付けに ボリューム感がありながらも柔らかく煮た豚カツ。 学食でも人気のメニューとなっている。 食べ盛りの胃袋を支えるため 学食は昨日も今日もカツ丼の匂いで満たされる─…

立夏

『スナイパー』 両手にずっしりとした重み、 手のひらにフィットするのはぐっと握り締めるグリップ。 子供のおもちゃだから そんなに本格的な迫力はないんだけども 気分だけはそれなりになる おもちゃのピストル。 かっこいいでしょう! お部屋のすみっこか…

『スーパーカー』 いつだって楽しいのは 家族といる時間。 今日は小さな妹たちとお絵描きをする時間が 多かったな── お絵描きはいいものです。 みんなの興味あるものが すぐにわかっちゃう。 たとえ手が届かない高嶺の花でも 描くのが上手じゃなくても お絵…

夕凪

『知恵の泉』 秋の夜長を共に過ごすベストフレンドは パズルとクイズ。 知恵を使って難問に挑戦! がんばれば解けない謎なんてひとつもない。 クロスワードにジグソーパズル、 数字パズルやマッチ棒クイズ── 日々鍛えられて 夕凪の頭がみるみる賢くなってい…

小雨

『秋のお仕事』 夕暮れが早くなって 小雨の毎日は── 家の中でみんなと過ごす時間が増えていきます。 それはうれしいことなんだけど 小雨がよく本を読んでいるから とにかくなんでも 本のことだったら小雨のところへ 相談事がやってくることが 前から多かった…

春風

『ネクスト』 日に日に早くなってゆく夕暮れの時刻と 冷たく変わりはじめた風の気配と── 紅葉がほんのり染まるのと歩調を合わせて 私たちのまわりも本格的な秋の色に染まっていきます。 みんなに用意してあげる暖かな服の準備で わがやのお母さん役たちは大…

真璃

『卒園するって本当ですか』 秋も深まり冷たい風が吹くようになってきて 季節はゆっくりと冬へと向かっている。 センチメンタルな気持ちになっても 涙はいらない。 悲しまないで! 真っ白な雪が降る季節のあとは 新しい始まりの頃が必ず訪れる。 その頃には…

ヒカル

『行方』 さくらの好きだった人形は どうもどこかへ行ってしまったらしい。 まあ、仕方ないな。 私たちの家族はきょうだいがたくさん。 みんなで使う部屋はそんなに広くないから がんばって掃除や片づけをしたって どうしても── ものをなくしてしまうことも…

吹雪

『ルーラー』 人間の集まる場所には 例外なく秩序が必要であり 秩序を維持するための約束事が決められることになっています。 これは私たちの家族も例外ではありません。 はたして人間の集団から秩序が消滅するとどうなるのか 私の知識量と経験からは正確な…

海晴

『陽光の日々』 掘って 掘って また掘って 埋めて 埋めて 水をたっぷりあげて── ママの許可をもらって 庭の隅に掘り返した土は 柔らかく耕して肥料を混ぜたとても栄養のある土。 ここに家庭菜園の本にあるとおりに 種をまいて、毎日水をあげていれば 緑の葉…

『バルカンフォーム』 私の好きな場所は 家を出てまっすぐの坂道を進み 広場の前を右に向かうと見えてくる 小さな踏切と その踏切が良く見える広場のベンチ。 地図を書くのも簡単な、見通しのいい通り道。 ふだんなら、まだ小さな私が背伸びをしても 大きな…

青空

『おばけのひ』 おばけがくるよー そらのところに おばけがくるよー やったー! かぼちゃおばけが かぼちゃにのって もうすぐやってくるよ。 おいしいおいしい ほくほくかぼちゃは ちょっとめをはなすと すーぐおばけになっちゃう。 いそいで おなべにいれて…

星花

『椅子の行方』 毎日がだんだん秋の気配を増して 風が冷たくなってくる頃。 そうなるとみんなに人気になるのが よく日の当たる暖かい場所。 とっても明るくて暑い夏の間は こんなにいい場所だなんて思い出すこともなかった 日当たりのいい窓が そろそろみん…

観月

『神々の華』 おそろしいおそろしい嵐が近づいて ちびっこたちはぶるぶる震えていたのだが この街にはまえほど大きな雨も風もなさそうじゃ。 まだ油断するには早いかも知れぬが── 安心して喜んだ子たちの遊ぶのを止めるなにものも 広大な此岸にさえひとつた…

あさひ

『ふんすっ』 すんすん ふんすふんす むむむ? すんすんすん あば! ぷっしゅー! うふっ ふっふっふ。 ええい んむーっ ふおーっ! あい あんばるば! ふーっ。 (くんくんくん きのうとちがうにおいがするよ。 くんくんくん これはあめのにおいじゃない。 …

さくら

『夜のぐるぐる』 きょうの日記のお当番は さくら。 お兄ちゃん! たいふうって 知っている? おおかぜと おおあめと たおれた木と ていでんのこと。 おおかぜがふくと 日記がとばされてしまうし── おおあめでおそとにいけないと お兄ちゃんにおはなしするこ…

綿雪

『手を振って』 甘えん坊のユキは ただいつもそばにいてくれたらうれしいだけで── 氷柱お姉ちゃんが元気がないかどうかは よくわからない。 きっと夕凪ちゃんのほうがよく見ています。 でもそんなユキでも 氷柱お姉ちゃんがうれしそうでにっこりしているとき…

夕凪

『夕凪の悩み事』 お、お兄ちゃん! どうしよう! 氷柱お姉ちゃんが── あんなに優しかった 氷柱お姉ちゃんが── 不良になっちゃったよ! たばこみたいにお菓子をくわえて つーんとしちゃうし── ごはんのときもぼうっとして 残してあるデザートのプリンを 食べ…

『名残』 この世界が終末を迎えたと思える風と雨がとどろいた台風も 夜のうちに駆け足で過ぎ去り 私たちの家族はどうやらみんな揃って無事に 降り注ぐ恐怖の中、危機を乗り越えられたようだ。 星のない夜は果てが見えないほどに長く、朝を忘れるほどに暗く …

『雨音ゆれる』 やさしいリズム。 たんとんたんとん かたたたき。 小さな子供の頃に みんなができたお手伝い。 ぽんぽんぽん おふとんたたき。 お日様の匂いでおふとんは柔らかそう。 私たちは一生懸命に叩いて 大きなお布団を運びにお姉ちゃんがすぐにやっ…

立夏

『ディア・ネクストシーズン』 ひゃー さむいさむい あめのひはさむい! じゃあ せっかく寒くなったことだし ここはひとつオニーチャンに 抱きついても怒られないということにしてみよう! それ むっぎゅー。 …… ああっ それにしても こんなに寒くなると つ…

虹子

『おしらせ』 にじこのはこぶ おしらせ。 にじこのおうちには いつもあるのが おしらせ。 いいおしらせと ふつうのおしらせと いいおしらせが いつもあるよ。 おにいちゃん! おしらせがあるよーっ! にじこからおしらせ。 どっすーん! ぎゅっ。 ぎゅうー!…

小雨

『いつもの場所』 5月の連休が終わって 小学校で過ごす小雨が 放課後に向かう場所。 やっぱり楽しかったお休みと変わらず 図書館の一隅は 小雨が戻ってくるのを知っていたように 椅子を空けていました。 夕日の差す明るい窓の近くは 足音もなく、おしゃべり…