『秋のお仕事』
夕暮れが早くなって
小雨の毎日は──
家の中でみんなと過ごす時間が増えていきます。
それはうれしいことなんだけど
小雨がよく本を読んでいるから
とにかくなんでも
本のことだったら小雨のところへ
相談事がやってくることが
前から多かったので……
つまり……
読書の秋になったら
急にみんなが
おセンチな季節!
枯れ葉舞う秋の日なたで
大人っぽくおしとやかに
読書!
読書読書!
と、元気に飛んで跳ねて
小雨のところへおすすめを聞きにきてくれます。
本のお話をしながら
小雨のおすすめでいいのかしら、
地味すぎてつまらないかなと悩んでいる小雨の周りを
いつも子供たちがぐるぐる回り
隙を見て飛びついては
おんぶをおねだりする
秋の毎日です。
切ない秋の季節って
思ったより──騒がしいものなんですね。
なので小雨はみんなに何か面白い本を紹介するべく
図書館でいつもより多めに借りてきては
どれがいいか確認したくて──
つい夜更かしをする日が続いています。
あ、それともうひとつ
頼まれごとがあって
夜遅くまで勉強をしたり
やっぱりついつい本を読みふけったりしてしまった
お姉ちゃんたちがいたときに
小雨が起きていたら
お夜食を作ってくれないかという話になるの。
おにぎりやおうどんの具を話し合いながら
結局、小雨が作るというよりは一緒にというか
小雨がお手伝いする程度なんですけど──
これならそんなに悩んでお勧めしなくても大丈夫なんです。
食欲の秋ならちょっとお役に立てるけど
読書の秋だからといって一緒に本を作るというのは無理ですものね。
夜更かしの成果が出てみんなに気に入ってもらえる本を選べたら──
と思います。
あ──でも
食欲の秋なら悩むことが少ないなんて言ってしまいましたが
実はそうも言い切れなくて──
何がいいかなと思うとつい作りすぎて
夜中にこんなに食べていいのかしらと思うときが少しあります。
そんな時に一緒にいたら、お兄ちゃんは──
小雨を止めてくれるでしょうか?
それともお兄ちゃんにはいっぱい食べてもらえるのかな。
夜が更けておなかが空いたり
ちょっと物足りないときには
小雨もお兄ちゃんのお手伝いをしたいです。
小雨の机の丸い明かりが
部屋のすきまからこぼれていたら
たぶん小雨の消し忘れではないと思うので
ひとつ、もしよければでいいのでお願いですが
立夏ちゃんや麗ちゃんを起こさないように小さく呼んでみてくださいね。