さくら

『山のくまさん』
さくらの好きなもの
なんだろな。
しってる?
みっつくらい
あるよ。
ひとつめ!
お兄ちゃん。
ふたつめ!
ほしぞら。
ねんに一日
それかもうすこし少ないくらいは
オリオンざがみえるまでおきている!
みっつめ!
あついあついまなつの日の
アイス。
なつのたいようにまけない
つよいこ!
よくたべそだったさくらは
よくぼうしをかぶり
よくあせをかき
よくやすむため
日かげでうれしく
つめたいひんやりアイス。
アイスだったら
なんこあっても
いいような気がしても──
おなかのことをかんがえて
ひとつでがまんしておくのがよい子。
でもね。
日がおちると
とてもとてもとーっても
さむくなってしまって
もう半そでではいられない。
びゅうーっ!
ううっ!
あついたいよう、かえってきて。
かえってきてくれないの?
じゃあ、さくら
お兄ちゃんのところにいって
手をつないであったまる!
あきはつめたい夕方のきせつ。
でも、あついあついあったかい──
おいもがとれるの。
あまいよ!
おいも。
さくらでも
ひとつたべられるよ!
かわをむくの
ちょっとのこってしまうけど
……
あっ
これもなかなか
おいしい!
おいも。
あったかいだけではなく
あまいので──
ホタおねえちゃんはひらめいた。
ぴっかーん!
そうだ!
アイスにいれましょう。
あした、おひるが
まだまだつよいたいようだったら
ようちえんからかえってきて。
おいもアイスをたべてもいいの。
うふふっ。
おおきなお山がだんだんきれいな色になり
ひろいおそらが赤くなるのが早くなるこのごろ。
いい色のおいもはさくらのおうちにどっさりとどく。
きっとおおきなお山や──
おそらからやってくるの。
おそらはないか。
おそらだし。
じゃあ、お山からやってくるのね。
というおはなしを
みはるおねえちゃんとしていたら
なるほどなるほど、
でもね
さくらちゃん!
お山はこわいから
ちかづいたらだめ。
おいもは大人の人におまかせするのよ。
と、いわれました。
さくら
きいたことがある!
お山には
かわいいくまさんがいても
ほらあなでまっている赤ちゃんをまもるためにおどかしてくるし
おにがいて
はやくねないこを
あたまからばりばりたべにやってくるし
ふるいいえがあって
ちかづくと──
ひとがきのこになってしまう!
おいしいお山には
きけんもいっぱい。
さくらはみをまもるのがだいじで
よい子でお兄ちゃんやみんなのいるおうちにかえるのが
いちばんのやくそく。
がんばるね。
ないてしまって
みちをまちがえたり
こうえんによりみちをしないかどうか
じしんはないけど──
やらなくちゃ!
だからみはるおねえちゃんに
おねがいしたの。
さくら、もうすこしおいもがたべられたらいいなとおもうの。
いい子にするから
りょうてにかかえて
とってきてくださいね。
お兄ちゃんも
もうすこし──
たべたいよね!
だからね
おいもをとるわざのあるひとに
いっしょにおねがいしよう。
くまや
きのこや
おにや
きれいなほしのないかなしいよるや
お兄ちゃんのおかえりがおそいさみしい日とか
おそろしいものに
きをつけてください。
すずをならすといいよ。
いいおとを
ならすと──
くまもなにも
こわいものはちかづいてこなくなる。
さくらがごほんでしっていた
やくにたつことは、
せかいじゅうのおいもほりのめいじんが
しっていたらとてもいいこと。
みはるおねえちゃんが
おいもほりの人にであったら
さくらちゃんのちえですって
伝えてくれるやくそくなの!