夕凪

『春のよろこび』
あたたかい季節が来て
もう、いつでもお外に駆け出して
遊べるようになった。
子供たちにとって
いつまでも終わらない楽しい時間だ。
花壇のお世話をする小雨お姉ちゃんや──
お庭へと降り注ぐ桃色の花びら。
にぎやかな声がして
もう、誰も彼もが
気持ちを抑えきれない。
仲良しの子の手を取って──
ときどきお兄ちゃんがいるときは
困らせてしまうのがわかっても
ぎゅうってつかんだ手をひっぱって
いつでも一緒にいてほしくなる。
見て!
今日も良く晴れた。
かけっこもできるよ。
つまづいて転んでも気にならない。
開いた花や遊びかけのおもちゃや
今まで見たことがなかったものを
いっぱい発見するに違いない。
そうしているうちに
体がきたえられたり
おなかがすいてごはんがおいしかったり
いいことがたくさん起こっていく──
一緒に遊んだお友達のおかげかな?
お兄ちゃんがいてくれたのが良かったんだったりして!
じゃあ──明日もお外に駆け出していかなくっちゃ。
本当は知っている。
そう、きっと間違いない。
明るい季節になって
春がやってきて、
そして夕凪たちみんなが
協力し合って
元気に冬を乗り越えて
やっとここまで来たからなのだ。
小さな子供の夕凪は
今年も春を迎える。
すばらしい──
こんな日が本当に来るなんて
あの冬の間に想像できただろうか。
まあ想像はできたけど
いっぱいみんなといられて
こんなに楽しいなんて
わかっていただろうか──?
よく遊んで、遊び疲れた夕凪には
お休みの時間が来る。
家に帰ってお風呂に入って
夜を過ごす時間が来る──
それでも、夕凪はなんともう
ずっとお外で遊ぶなんてわがままをあんまり言ったりしないのだ──
よく眠っていい子にしたら
明日もお兄ちゃんを探して連れ出して──
その時に、せいいっぱいお願いをするまで
待っている知恵がついた。
お兄ちゃん!
今日もまた暖かい日だ。
いいお天気だよ──
夕凪が呼んでいるよって
その時も、もう夢中で喜んでいるに決まっている──
そんなことは考えるまでもなく、当たり前に訪れる光景だとみんなはいう!