真璃

『知っている!』
ええっ!
たのもしくて
かっこよくて
ときどきかわいらしい
あの愛しい
フェルゼンが!?
霙お姉ちゃまの冗談を
本気にして
心配してしまっただなんて!
いつもやさしくて
みんなを見ていてくれる
マリーのおうちの長男は──
なんだかほっておけないのよね。
霙お姉ちゃまなら、大丈夫。
宿題をついつい後回しなんてことは
たぶんなくて──
みんなのために
宿題をしないと
たいへんだぞ!
と、考えさせるための
作戦の一つなのよ。
マリー、よく
ひっかかるから
わかるわ。
お片付けをしないでいたら
どうなってしまったのか
霙お姉ちゃまのとっても迫力のある
おはなし──
さすがに作りごとだとわかっていても
お片付けをしないでは
いられなくなるし
宿題をしないではいられなくなる。
霙お姉ちゃまの
あの人をぞくぞくさせるおはなしの上手さは
やっぱり、日頃から難しいことを考えているからだと思うわ。
見習わなくっちゃ。
マリー、なかなか
ああはできなくて
とってもおもしろい
ご本を読んで
物語の中に入り込んで──
その中に出てくる
このお食事はどんな味なのかしら!
って、思うことがあるでしょう?
トンソクの首煮込み?
Pカスタード?
『全て』……?
……『全て』!?
そんなときに思うのは
霙お姉ちゃまなら──
かしこくて
おいしいものをたくさん知っていて
みんなのお姉ちゃまの
霙お姉ちゃまなら
こんなに難しい
おいしそうだけどよくわからないお料理を説明して
おねだりすることだって
できるのかしら──
ということ。
マリー、しかたないから
キッチンのお手伝いをしながら
がんばってできるだけ説明するしかないのだけど
ぜんぜんなの!
世の中の難しいことを
できるという人が──
本当にいるのだとしたら。
きっと、よく冗談を言うとしても
すごいことよね!
マリー、これからももっと霙お姉ちゃまのお話が聞きたいと思うわ。

『今日こそ』
土日を待つ人々にとって
週に一度の
休日なのだから──
できることはやっておかなくては
少し物足りない。
今日を逃したら──
次はいつになるかわからない。
後悔のないようにするのが一番大事だ!
と思う。
週末を楽しもうと、そうでなかろうと
人はいつか塵となって
消えていくのだから──
そこでこの、
お休みの日でなければなかなかできない
戦ってキャラを育てるゲームだ。
最初に性格を決めるのに
攻略情報を集めて参考にしながら
効率を突き詰める楽しみも求めたところが──
体力を重視したばっかりに
素早さが後回しになり、
相手に先にやられてせっかくの体力が生かせない。
こういうのは、実際にやってみないと
気付けないことだな。
いつでも経験というのは大事なものだ。
それを改めて学べたという意味でも
意義あるお休みの日だったと誇れるだろう──
とてもいい日だ。
途中でスポーツのゲームで遊びたい家族たちに
ゲーム機を持っていかれて
中途半端なあたりで終わりになったのも
休日ならではの風景と言える。
やはり、日頃から体を鍛えるのを楽しんでいると
こういうときも説得力が違うな。
経験も大事だが筋肉も大事──
それを学べた、いい休日だった。
それにしても、こんなにいろいろ詰まった
ほんの短い週末に、
みんなどれだけ良い顔をしていることだろう。
思い思いに過ごし、
たまに運動で負けて悔しがったり
日当たりのいい午後の昼寝で時間が過ぎたり、
ときどきはゲーム機を持っていかれたりしながら
お休みの日はこんなに楽しいものなのだと
気付くのも──
週に一度のこの日しかできないことだ。
明日からも忙しい子が多くて
大変かもしれないな──
また、やがてこの場所へ
戻ってくることができると
信じるのは──
たまに休日の良さを実感するこんな日だ。
ふう──仕方ない。
明日からも忙しく過ごすとしよう。
ああ、その前に宿題を済ませておくのも大事だな。
実はなんと、みんな余裕のあるうちに終わらせておくのだそうだ──
なるほど──それは焦らずに済む賢い選択だ。
その知識を学べるのも、みんなと今日を楽しく過ごしたからなのだろうな。

海晴

『サタデー』
あのあわただしい
平日を乗り越えて!
どうにかこうにか辿り着いたのは
はてしなく長く遠い先にあるように見えた
あの──やさしく穏やかな週末。
ああ、ついに
こんなに心の余裕を持てる時間が
私にもやって来るなんて。
かわいい家族と遊んで
みんなとおいしいものを食べて
どんな時の表情も忘れないでいれば
また次の週も乗り切れるに決まっている──
そう、なんだか
まだまだまだまだ
学校でお仕事で押し寄せてくるのは、
前からうわさには聞いていたけれど
忙しくなる時はいっぺんにやってくるという
急な用事のあれやこれや。
お休みくらいは
とらないと──
若さだけでは、なかなか乗り切れない!
一人だけでは立ち向かっていくこともできない──
この週末に、おうちのみんなにいっぱい
なぐさめてもらわないと。
やっぱりみんなは
いつも明るいし
うるさいし
元気でいっぱい。
一緒にいたら、こちらは落ち込んでいる暇もない。
このあいだの休日の
土日に遊んだ時と
なんにも変わらないで、
遊んでほしがって
くっついてぶらさがるの。
こんなにちっちゃい子でいっぱいの家では
もう、人は
世の中の押し寄せる理不尽とはちゃめちゃに
ぶつかり立ち向かっていく以外のことは
何も考えられなくなるからね!
おすもうも
したから──
この低い安定した態勢で忙しさにぶつかっていくのは
ちょうどいいかもしれないわね!
ふう、明日もまた
急な用事が入ったりしなければ
このにぎやかなおうちの中で
どたばたしながら過ごしてもいいの。
笑ってばかりいる子も泣いている子も、
まだそんなに
急に大きくならないでいてね。
まだまだ未熟なお姉ちゃんに
また、こんな週末をくれたらうれしいです──

『むずかしい』
うーん……
やっぱり、どう見ても
みんなのアルバムをしまっておく棚に
新しい分が増えている──
それも、かなりの
急激なペースだわ。
おそらく原因として考えられるのは
ついこのあいだの連休ね。
他に何かあったかしら?
思いつかないから──たぶんないと思うけど。
とうとう──
棚は埋め尽くされていくのね。
そしてもうすぐ、
片付けの時が来て
古いものから押し入れへ移される──
いえ、移されるならまだいいわ。
きっと、そうはならず
アルバムを開いて思い出話ばかりが続き
部屋はいつまでも片付かないで
すべてはそのあたりに雑に積まれていく──
それを繰り返して
アルバムの棚を片付けるのは
どんどん大変になっていくの。
この話の一番の問題は、
片付けが進まないのを
重要な問題として認識している人が
あまりいないということね。
たとえば、いま手元にある
立夏ちゃんの写真。
入らない服があるから
しっかり運動をして
いつかダイエットに成功した時と比べるために
とっておいてほしいと言われたんだけど──
どこにしまっていいのか、
この散らかりようではわからないわね。
そもそも、そんな写真は
とっておく必要が本当にあるんだろうか?
多少は減量のモチベーションに関わってくる可能性が?
それ以前に、ダイエットに成功したことはあまりないんだから
私が律儀に約束を守って
こんなほこりっぽいところで困るのも理不尽な気がするわ──
もしかすると、たった今も立夏ちゃんは幸せそうに
おいしいものをほおばっているのかもしれない。
今までそうであったように──
でも、今度は反省したんじゃないかと
信じてあげないとかわいそうじゃない?
でも、勝手に信じて
私一人で怒っているのも損じゃないかと思うの。
どうしたものやら──
まあ、疲れた分はあとで
何かおいしいものでも食べることにしよう。
そういうことなら立夏ちゃんは詳しいだろうし──
ダイエット中にそんなことを聞くのも酷なのかな?

虹子

『ちょうさちゅう』
しらべよう!
おぼえよう!
こどもには、まだみぬせかいが
たくさんある。
ホタおねえちゃんは、へんそうをするために
おにいちゃんのことを
あたまのさきから
すきなたべものまで
いろいろしらべたいのだけど──
おにいちゃんにきいて
いいかどうかたしかめないといけないの。
それに、おうちのおしごとが
あとまわしになってもいけないから──
ほぞんのきくおりょうりを
きょうまでかけてつくっておいて、
みんなのおなかがあんまりすかないようにするんだって。
ホタおねえちゃんはかんがえたね!
だから、おにいちゃんが
すこしだけならいいよっていってくれたから
きょうからついに
おにいちゃんにへんそうするしらべものをはじめるの。
そんなにすぐには
おにいちゃんになれないから──
なんだって
ホタおねえちゃんは、いってたよ。
おにいちゃんの
いいところをしらべるおしごと──
たくさんすすむといいねえ!
いっぱい
かぞえきれないほど
わかるといいねえ!
ぜーんぶ
おぼえておきたいね!
にじこも、しりたいな。
だから、ホタおねえちゃんの
おてつだいをして
おにいちゃんをよくみたよ。
なるほど──
めがふたつ
はながひとつ
くちがひとつ
だったとは!
だいたいにじことおなじだね。
にじこのしっていること!
かぞくだから
にているの。
ホタおねえちゃんも、にじこも
すぐにヒカルおねえちゃんになれるし
おにいちゃんになれるよ。
こんなに
よくみているから
まちがいない!
つららおねえちゃんなんか、おにいちゃんのかおをつかんで
ぐりぐりしながらしらべている。
いいこと、みつかった?
おにいちゃんのこと──
みんな、まだまだしりたいな!

氷柱

『そうはいかないぞ』
ははあ──
そういうことね。
ふふん、残念だったわね。
だまそうったって──
どこかからうわさを聞きつけた
妹たちのちびっこネットワークで
もう話は聞いているんだから。
私のお兄ちゃんはこんなに落ち着いてないし
黙っているとちょっと頼りになりそうな
きりりとした顔もしていない──
ぼんやりした感じが本物なの!
蛍ちゃんといえども
なりきろうとするのはいいけれど
少し、あいつのことを買いかぶっていたと言えるわね。
午後から日が当たって
みんなが帽子を選ぶから
人数分は足りなくなって、しまっておいたのを出してきたという
不自然な帽子をかぶっていても問題ない、このチャンス。
しかも、気温はまだ上がり切っていないから
薄着になる必要もない。
さては──と思っていたの。
実を言うと、さっきから
帽子に隠れて顔もそんなにはっきり
見えているわけじゃないけれど、
そこは事前の情報と
すばらしく回転する脳細胞の助けによって
事実に至るのは難しくない──
なんといっても、家族を見間違えるわけが
ないんだから──
さあ、帽子を取って早く顔を見せて
いつもの蛍ちゃんの顔に戻りなさい。
ほーら、やっぱり──
……

『ぼーっとして』
最近みんなに
心配をかけているみたい──
ごめんなさい。
蛍はときどき、
思い込みが激しいし──
夢中になったら
他には何も目に入らない!
ということもたまにあるんです。
こまった蛍だ。
ヒカルちゃんの話を聞いて、
そんなことできるわけないよねって
冗談で終わる話だったんだけど──
そう、例の
お兄ちゃんとヒカルちゃん
入れ替わり大作戦のこと。
私もお兄ちゃんのことを
なんでもすべて知っているというわけでは
全然ないですが
やっぱり、ヒカルちゃんの望みを
何でも叶えるほどには
いろいろと忙しいこともあって
なかなか大変。
では──
もう一人くらい
入れ替わりに参加したらどうだろう?
この家で、背格好がそこそこ近くて
年も近くて
学校のスケジュールも融通が利いて
なにより──
自分でコスプレをするのも得意で
お兄ちゃんの真似をするのも得意なくらい
けっこういつも
見ている──
それは誰だろうと考えたら
あっ!
ありなのか──?
いやいや──?
でも、あるいは──?
はっ、いけない。
また変な想像をして
自分の中に入っていました。
もし、やるとしても
いきなり他の知らない人の前に出るよりは
慣れた人の前で少し練習して
自信がついてから──
もし、ばれないとしたら──
いやいや。
いつも変なことを考えて
よく迷惑をかけている気がするけれど、
気を付けていれば、そんなくせもなおっていくのでしょうか?
それとも──
そんなに興味があるなら
ついに、思い切って──
なんてことになってしまったら!
大変!
わくわくしますね!
ちがった、だめだめ蛍!
大丈夫──心配いらないです、お兄ちゃん。
たぶん。