『テンションMAX注意報』
立夏ちゃんはいつも
一人でさみしそうな子をほっておけなくて
ついにぎやかなところへ
誘い出してしまうんだって。
あなたも覚えがあるかもしれないわね。
ちょっと一休みという時と一人の時を区別できないのが
わりと問題を含んではいる気がするんだけど
まあ、リッカちゃんに言ってもそんなことは
今日明日ですぐ解決するものではないと
みんなが知っているから
あれこれ言いながら仕方なく強引な腕に引っ張られていくの。
さみしくして
遊んでほしいのはどっちのほうなのかと
疑問に思わない?
まあいいけど。
連れて行かれる先は
にぎやかで
人が集まる場所とか
あとは、面白そうなものがある場所!
私ね……
あさひちゃんは眺めて楽しむ
面白さを求めて一緒にいるわけでは
ないと思うのよね。
でも、何時間でも見ていて飽きないから
ぜひおすすめだと紹介されたの。
ふーん……
そりゃあ、遊んであげるのは大事なことよね。
いえ、立夏ちゃんじゃなくて、あーちゃんのほう。
でも、寝顔を見ているばかりが
赤ちゃんとのお付き合いとして一般的なことなのか
私には何とも言えない気がする。
むにゃむにゃ口を動かして
いくらでもいくらでも
小さな体に食べたいだけ食べられるという夢を見ているようで
赤ちゃんがうらやましいと
しみじみしているよう。
もうそんなに自由に想像力を広げられるようなことはできないから、
と言うの。
そんなことないわよね、
自由すぎるくらい。
食べてもなくならない大盛りを
いったいどれだけ大きなお茶碗に入れる夢を見ているのだろうって。
お兄ちゃんのお茶碗ほどではないかもしれないけど、
だって。
そりゃあそうよね。
あなたは今日も悩みなんてないように
春風姉さまがすすめるままにおいしく大盛りをたいらげる。
果たして本当に私ときょうだいなのだろうか?
胃袋の容量は遺伝に左右されないのか?
立夏ちゃんは元気に育つあーちゃんを
お兄ちゃんにそっくりだと言うけれど
家族だから似ている部分にしていいのかな、それは。
あーちゃんは今日も元気みたいだったわよ。
その点ではあなたと似ていると言えるかもしれないわね。

あさひ

『もぐもぐ』
くんくんっ
ぱくっ!
ううーん
うん
にっこり!
おおーい
にゃーにゃ、
これこれ
あぶう
もぐもぐ
ふう
ふうふう……
ううんっ!
ぱくり。
えへへっ。
(きょうもよくたべる
 あさひがきた!
 いいにおいはするし
 きぶんがいいから
 やまよりたかいごはんをたべ
 うみよりおおきいこっぷでのむ。
 でも、なんと
 やまよりうみよりおおきいものが
 このよにあるという。
 それは、うちゅう!
 あさひがいつか
 うちゅうよりおおきいおさらで
 たべられるよう
 おにいちゃんもおうえんしてね。)

青空

『おてがら』
ううーん
むむむ!
って、
なやんでいるひとのところへ
はしっていって
ひざにのる
そら!
おはなしきくよ、
こたえるよ!
そらがやってくると
なやみはふきとぶ。
いきおいで、
どさくさで、
そらのおうたと
だっこのおかげで
いろいろあって
いいこたえが
おもいつく!
ことがある。
おにいちゃんは
こまったことある?
ないの?
じゃあ
こまって!
いますぐ
あたまをかかえて!
そらがたすけにいくからね。
きょうはそらが
はしっていったさき
はるかがいて
ばんごはんはなにに
しようかしら、
おうじさま
よろこぶおかずは
なにかしら。
かんがえこんでいるひとのところには
かならず
そらがゆく!
はるか、
そらのかおをみて
だっこして
そうだ、いいことをおもいついたぞ。
たまごがあるから
そらちゃんがだいすきな
よくたべまくる
あのおいしい
おむれつにしましょう、
たまごもあるから
そうしましょう。
そらちゃんがげんきで
よくたべるおかげで
なやみがかいけつできた、
ありがとう!
うれしい!
だいすき!
そらちゃん。
だいだいすき、
おうじさまもよろこぶの!
はるかがわらってた。
よかったね!
それでね、
そらちゃん、
おむれつになにいれようってきくの。
ちーず?
じゃがいも?
まさか
なっとうまで!?
そら、ぜーんぶいれてねっていった。
ぜんぶだからね!
はるかがいれるのわすれていたら
そらはかなしくて
わんわんなくからね!
おにいちゃん、おむれつに
なにいれるといい?
なにがすき?
ちーず?
じゃがいも?
なっとう?
ま、まままっ
まさか!
もしかして!
おとこのひとだから
ここはやっぱり
ぼりゅーむいっぱい
きゃべつでおこのみやきふう?
はるかがきいてきて、
だって。
なにがいいー?
ぜんぶがいいなら
そらとおそろいなの!

小雨

『はりきり』
トントントン
グツグツ……
いいお味は出てるかな?
お兄ちゃん、キッチンへようこそ。
今のお料理番は小雨ですが
御用が務まるでしょうか?
お姉ちゃんたちが忙しい時は
小雨もこうしてお手伝いに立ちますが
教えてもらった通りに
みんなの役に立つお仕事ができているでしょうか。
おなかが空いた子がやってきたら
すぐにお好みのおやつを用意してあげたいし、
火を使う時は目を離してはいけないし
なにしろ小雨はのんびりしているので
このあとの用事も
寒くなって服がたくさん必要になる季節に
頼まれていた繕い物、
お掃除の手伝いに気が付いたところのお片付け、
洗濯物も晴れているうちにぱぱっと広げて
ああっ、それに忘れたらいけない
自分の宿題も遅くならないうちに済ませてしまわないと。
夜が暗くなるのが早くて
小雨はすぐ眠くなり、あまり夜更かしができないこのごろです。
日々忙しくて
気が付くと
時が飛んで過ぎ去るよう。
あと少しで可憐ちゃんにも会える楽しい日です!
一週間がこんなにあっという間なのだから
それは気が付いたら11月も半ばを過ぎ
年の瀬も近づいてくるというもの。
小雨はこの一年いったい何をしていたのでしょうか?
ばたばたあわてていたような記憶しかないというのに!
でも、毎日することがあって
落ち込んでいる時間もないくらい
こんな小雨でも必要としてもらえる家が
実はあわただしくても
小雨に合っていると感じる時もあります。
いけない!
お兄ちゃんが来てくれたというのに
小雨は自分の話ばかり聞いてもらっているみたい。
あの、小雨はいつもお兄ちゃんにお世話になっているんだから
たくさんお返しをしたいです。
いつも期待に応えられるか自信はないけど
今日も小雨はこの家で一生懸命です。

『ブラックカース』
どたばたと床を踏み鳴らし
今日も夕凪が踊っていると思ったら
ついに星花までつられたように手を握りながら回っている。
この分では吹雪までもが
陽気にくるくる回る日も遠くはないだろう。
かつて立夏
小雨と麗の手を取って輪になるのと同じく
歴史は繰り返すと
この目で確かめることができるのだ。
思えば私も小さい頃は
ちょっと目を離すと
みんなを誘って踊りだしてもおかしくないくらい
何をはじめるか予想もつかない子だと
さんざん言われたものだ。
海晴姉の見張っている隙をついて
まだもみじのような手を小さな妹たちとつなぎ合わせたことも
一度や二度ではなかったに違いない。
包み隠すことを何も知らないみたいに
自分の気持ちに素直になることだけを知っていた
あの豊かな時代。
私はよく覚えていないけれど
それは愉快なものだっただろうな。
昔から子供たちを慰める
我が家の絵本には
姉妹の多くが手に取ったしるしの
指の跡や折れ目が見つかり、
誰もがその内容に従って
笛や太鼓が流れ
明るい気分になったら
タイやヒラメの踊りに合わせながら
明るく飛び跳ねることを覚える。
体に染みついた
面白さの表現は
もう誰にも止めることができず、
周りの目を気にして踊りをためらうことが増えても
何も変わらない。
きっと夕凪や星花には
愉快なことがあったのだろう。
ふむ、となれば
家族にいいことがあった日に
私たちが踊る理由がないと一体誰が言うのだろう。
ためらうことを知らない者たちのように、
そしてわずかばかりに周りの視線を気にしながら
したいようにするようにと
私たちはすでに決められているのだ。
たまにそんな気分にならないか?

星花

『あんよがじょうず』
今日もあーちゃんは
お兄ちゃんのほうへ
まっしぐらに向かっていく。
野生の動物がえさを見つけ
勢いをつけて駆け寄ってくるよりも
もっと迫力があって
真剣で
一生懸命な姿。
あーちゃんはいつもあんよが得意でえらいですね。
お兄ちゃんのほうに歩いていきたい気持ちが
どれだけものすごいのでしょうか。
小さい体に秘めた情熱!
星花はいつもあーちゃんから学ぶことばかりです。
お兄ちゃんは最近、星花たちと放課後を過ごしてくれることが
今までより多く感じるので
あーちゃんも一緒でいられない時間の分を取り戻そうとしているのかも。
お兄ちゃんといられてうれしい夕凪ちゃんが
踊りすぎてばっかりで
このごろ一緒に帰る氷柱お姉ちゃんからよく注意されているみたいに
あーちゃんもお兄ちゃんといられてうれしい時に
踊りだして止まらなくなる準備で
今のうちから足腰を鍛えているということも考えられますね!
といっても、暗くなるのが早くなるこの時期に
みんなのことが心配で
早めに帰るようにしてくれているんだから
お兄ちゃんが忙しくなったら
もうこんなふうにたくさん放課後にはいられないかもしれないです。
やっぱり歳も離れています!
最近そんなことをよく考えたりもして
ちょっと寂しい……
だけど、楽しいことを忘れて
あまり悲しんでいるのもいけないと思うし
夕凪ちゃんが、これからもずっとずっとお兄ちゃんと一緒に帰ることができると
ちっとも疑っていない気持ちこそ
みんなのことを思ってくれているお兄ちゃんを
本当に信じるということかもしれない!
ああっ、星花は夕凪ちゃんからも毎日毎日
学ぶことだらけなんです。
お兄ちゃん、星花はこれから
何があったとしても
お兄ちゃんといるときにこうしておけばよかったと後悔はしないで
あーちゃんみたいに真っ直ぐでいたい!
星花のお願いは
ずっとその暖かさを忘れないでいられるように
また、たくさん手をつないでほしいということです。
聞いてもらえるでしょうか?

虹子

『わすれもの』
ばけばけばー!
だれかがうっかり
しまいわすれた
かぼちゃあたまをかぶって
おばけがわすれものをたしかめる!
ハンカチはもった?
おべんとうは?
おてんきよほうをみて
かさをもっていくかきめた?
わすれているこは
とってもこまる。
ハンカチわすれた、
てがふけない!
おべんとうわすれた、
おなかがすく。
かさをわすれたら
かなしいの。
おばけのあたまを
しまいわすれたら
どこからか
いたずらなこどもがやってきて
おにいちゃんのまわりを
くるくるまわるというよ。
ひゃあー!
わすれものはしないようにね。
あと、なにか
わすれたらたいへんなものは
あったかな。
あーっ、そうそう。あれがあった!
にじこちゃんとあそぶやくそくを
しておかなくっちゃ
にじこちゃんはいそがしくて
あそんでくれないかもしれないよ。
はい、ゆびきり。
おにいちゃんはきょう
にじことあそぶ、
はやくかえる。
わすれていると
おばけがおそいかかって
くらいところへつれていく。
……
ぶるぶる!
た、たいへん!
おにいちゃん、おばけはうそだから
つれていかれないで
にじことあそんでね。