ヒカル

『待っていた日はやがて来る』
もうそんな日は
ずっと来ないかもしれないと──
もしも、やって来るとしても
はるか遠い先のことかもしれないと
なんとなく──
そう思うことが
子供の頃より増えたように思う時もあるけれど。
毎日をなんだかんだ
忙しく過ごしているうちに
いろいろなことがあって
たまに時間を忘れて
いつのまにか
遠くに来たような気がしているうちに
もうすぐ連休だ。
前のお楽しみの──
春休みからしばらく経ったようで
またしばらく
家族でにぎやかに過ごすことになる。
やっぱり今度も
追いかけ合って走り回って
疲れて眠り込む日を
重ねたり──
なかなかじっとしていられなかったりするだろうか。
それとも、初夏のあたたかさで
少しは休むことも覚えて
ゆっくり過ごす時間も増えるかな?
ここしばらく、連休にかこつけて
隙を見つけては踊ったり歌ったりしている子供たちの様子を見ると
これはどうも──
とも思う。
でも、もっと心配なのは
私もなんだか
楽しみにしていて──
どきどきしているみたいで。
このまま、夢中になって
連休を楽しむあまりに
なかなか普通の毎日に
戻れなくなってしまったらと。
そんなことを今から考えてしまっている。
しかたないと思うんだ。
だって、私だって
まだかなって待っていたのは確かなことで──
ああ、本当に
捕らわれてしまうみたいに
戻れなくなってしまったらどうしよう。
そうしたらオマエは助けに来てくれるのかな。
それとも一緒になって捕まってしまうか──
いつか──
私たちのところに
とんでもない経験をする機会が訪れるのかもしれないと
この騒がしい家で過ごすうちに
学んでしまった──
あとは、そんな日々から帰れるかという問題だけだ。
こればっかりは──
何度繰り返したって、わからないと言うしかないって
なぜかいつも、
そんな気持ちになるんだ。

観月

『新しい予定』
連休が来ても
お出かけの計画を立てるのは
そう簡単なことではない。
つかんだと思うと
指先から逃れ──
追い詰めたときは
煙となって消える。
形がとどまらず
おそろしい──
先の予定とはそういうことじゃ。
海晴姉じゃも
お天気予報が当たらなくて悩んでいた。
どこにでも
あやしいものはあるのじゃな。
用心せねばな。
ということもあって
大変だったようだが
ホタ姉じゃがママと交渉して
家族みんなで食事の予約が取れたという。
みんながおどろいて
ええっ!?
本当に!?
わいわいうるさかったことじゃ。
わがやで本当に底が知れぬ脅威は
あんなにさわがしい
子供たちのオーラなのかもしれぬ。
とか、そういうよくある感じのオチはおいといて
どうも詳しい話を聞くと
前から、お料理のレパートリーを増やすための
食事などを何かの機会にと
ママに言っておいたのだが
なかなか予定が取れなくて代わりにとお料理本をもらい──
そして、もらった本のお料理を
じっくりと時間をかけて全部作ってみせ、
いよいよ食事にお出かけしかないと追い込んだところで
それでもなかなか腰が重いママの様子に
理屈ではらちがあかぬ、
子供っぽく甘えて
どうしても行きたいと駄々をこねて
いつも良い子のホタ姉じゃのお願いは
ついにかなったという──
ところどころ話を膨らませている様子で
どこまで本当だかわからないホタ姉じゃの説明によると
そういうわけだそうな──
おそろしいのは人の業──押さえつけてもあふれ出るオーラの
本当におおあばれをしたときなのだと
そんなお話であったな。
ホタ姉じゃのお話に出てきたお料理の本は
書き込まれたメモと──
色のついたふせんでいっぱい。
いつからみんなのそばにいて
家族を支えてきたのか
いったい誰が知るであろう。
でもまさか全部は──いやそんな──しかし、うーん──
まあ、おそろしいことばかり考えても仕方ないな!
そういうわけで連休には一つお出かけの予定ができた。
楽しみじゃな!

真璃

『すてきなプラン』
連休!
言葉にするだけでときめく
魔法のよう。
好きな人と──
お互いの顔を見つめ合って
時間も忘れ──
マリーは家族みんなで過ごすの。
わたしのフェルゼンがいて
みんなといられる
このおうちが──
今は世界のどこよりも
うつくしく輝く宮殿。
よく遊んで疲れた体で帰る場所──
愛する人たちの待つ場所。
旅に出ても
遠くへ向かっても
マリーのおうちはこの場所なの。
変わることはない──
それはたとえ
連休にどこかへ足を延ばし
いろんな経験をして
はしゃいだとしても。
あるいは、いろんな計画を
夢に見ながら
結局はおうちにいて
公園に出かけるくらいで──
そのときはたぶん、お手伝いやお菓子作りが
少し上達した後だとしても。
どうなるのかしらね?
もともと人数が多いから遠出はむずかしくて
今からだと急な予定もなかなか──
いくらマリーが楽しいことが好きで
たまにわがままだって言う
かわいい女王様だからって、
みんなが納得する連休の計画を立てて
滞りなく実行するなんて
子供だから、なかなかできる気がしない──
どこまで本当になるかわからないけれど
こうして計画を立てている時が
一番楽しい気がするわね!
なんて──
今はまだそれでいいの。
ちゃんと──
どんな連休を過ごしても、帰って来てゆっくりする場所は
もうわかっているのだから。
そういえば──
計画を立てるのが楽しいのと
同じくらいよく言う言葉で
どこに行っても帰って来てこの家で過ごすのが一番、
だとそういうこともあるらしいけれど。
こればっかりは、それを実感できるくらい
遠くに行ってみないとわからない感覚だわ。
はたして本当にマリーも
どこに行った後でも、そんな気分になるの──?
なるとして、いつごろの未来なのかしら──?
まだ今年ではなさそうだけどね。

『おでかけの予定はない』
もうすぐ大型連休。
行楽にはとても良い季節。
お弁当を持って
どこかに行けたらいいねなんて
よく話題になるものの──
いまのところ、具体的な予定はなし。
たぶん混雑する電車やバスは
使えないだろうなと──
そんな共通認識があるくらい。
どこどこに行きたいとか
何を見に行きたいとか
動物園が人気だとか──
そんな話があるたびに
一応、移動経路を調べてみて
私がみんなに報告したら
なんとなくその話は立ち消えという感じ──
わかっているのよ。
詳しく調べても
特に結果につながらず
報われることもないって。
ただ単に気分でやってるだけで、
可能性はゼロではないかもしれないくらいで
本気にしているわけではない──
でも、みんなに言わせると
もしかしたら、とか
万が一、とかは
希望があると思う時に使う言葉であって
あきらめているわけではないんじゃないかと
そう見えるらしい──
うーん、そうなのかな?
ともあれ、埋まっていくノートのページとは裏腹に
予定は白紙。
これが連休に
まだ無限の可能性があるとみるか──
結局決まらないまま迎える休日を見ているかは
人によるらしい。
どんな未来が待っているとしても
私たちは連休を迎えて
家族みんなで過ごすことになると思う──
だいたいそこは決まっている。
そのへんも共通認識。
私は今日も
決まるとは思えない予定を立てて
時刻表を眺める──
家族のみんなから見ても
私自身からの視点でも──
そうするのだろうと、
そこは変わらないらしい。

小雨

『緑の季節』
冷たい北風は
やがて力強い木々をはぐくむ
やさしい日差しに変わり、
芽がふくらんで
花も開き、
いま、私たちの街の景色は
伸びはじめた緑の葉で
目にも美しく──
ほんの少し前に寒さが緩んだと思ったら
もうすぐあたたかく
汗ばむような季節。
日々を忙しく
毎日いろんな出来事を重ねて過ごしているうちに──
時間が過ぎて
季節が巡るのも早いものです。
こんな時期は
怖がりの小雨も、お庭を歩いたり
公園へみんなと行ってみたり──
なにかと大胆に過ごせそう。
春を迎えたわがやに
次は、なんとすぐに
初夏がやって来るという。
どうなってしまうんだろう──?
小雨がこれからも
大胆な季節を過ごすというの?
それとも、やっぱり
いつのまにか忙しいうちに
時間の早さを感じたりするのかな?
まだ小雨にはわかりません。
たとえば──
20周年の企画がなんと25周年になったり
カウントダウン明けを楽しみにしていたら
詳細は後日だったりするけれど
やがて──そうして期待したり日々が過ぎたりする先に
待っていた楽しいことが、ついにやって来たりして。
いそがしくて
どんどん移り変わっていく世の中でも
次の季節はやって来る。
街の景色は
そろそろ青葉の頃──
小雨がどうなっていくのかは
ぜんぜん予想もできないけれど
お兄ちゃん、これからも
どうぞよろしくお願いします。
すべてがまぶしく輝く季節に──きらきら元気な小雨でいられたらと思います。

海晴

『知らないこと』
まだまだ──
考えても、わからないことばっかり。
春が来て子供たちはお外で遊びたくて
私たちの手を引いて駆けていく。
どこからやって来るのか、
その尽きない体力!
あふれる好奇心!
年を重ねた今では
もう何も知らない──
私たちだって、子供の頃には
あんなに夢中になって走り回って
ママたちを困らせていたという。
うーん──どこから来ていたのか、その元気は。
今はついていくだけで精一杯。
過ぎていく春の陽気──
もうまもなく
汗ばむ季節が来ても
すぐに遠ざかってしまう──
いっぱいに楽しみきれなくても
仕方がないと言いながら。
とはいえ、子供たちがいる以上は
あきらめるわけにはいかない。
手をつないで
おしりもはたかれたりしながら
一緒に毎日を楽しんでいかなくては
あのちっちゃい子たちにも笑われてしまうのだ。
あんまり遠出もできないけど
日帰りでどこかあるかな?
みんなで相談していると──
今度は、子供たちが困ったように
決めかねているの。
知らないところが怖いの?
行ったことがないから
何もわからなくて真剣に考えている。
顔を寄せ合って話し合っている──
いいのよ!
無理な計画を立てても無理だって言うんだから!
私たちは、いろんな意見が聞きたいのにね?
まるで子供と大人が逆になったみたいな
春の穏やかな日には
不思議が積み重なっていくのだ。
そういうおもしろい日だってあると
私もまだ知らなかったことに気付いて、驚くの。
小さい頃もこんなに
かわいくて不思議がいっぱいな子供だったのかな──私もおんなじで。
どんな無茶だって覚悟のうえ!
本当になるかどうかはまだ何も言えないけど
夢を見るのは大きいほうがいいの、なんてね。
大人のほうが、もうすぐ来る大型連休にわくわくしているみたいじゃない?
季節はやや暑くなってきても
日々の過ごしやすさは変わらない。
明日が楽しみになるような毎日も
まだもうしばらく続きそう──
キミも何か希望があったら言ってみてね。
ささやかな冒険の夢はかなうかもしれないし、まだわからない──
明日のことを誰も知らないまま、また楽しかった日を積み重ねていくの。
そんなふうにこれからもいられたらうれしいね──

吹雪

『ウェイター』
小さな子供たちが
よく遊んで
おなかを空かせることが増えたので、
おやつや飲み物を運ぶ
お手伝いの役目がかつてなく必要とされています。
積み重ねたホットケーキ、
なみなみと注がれたミルク。
お手伝いの手はどれだけあってもいい。
背の高い姉たちと、
力のあるキミもいて
ふだんはちょろちょろおじゃまをする
子供たちが協力し合い、
家族の食事は
やがてテーブルへと運ばれます。
こういう時──
いっぺんにたくさん持てるような
力強さ──
こぼさない水平を保てる
器用さと筋力──
日常生活を送る上では
それほど頻繁に活用する場面もなく
小学生とあまり縁のない
お手伝いの能力が──
家族で過ごすことの多いこの春の時期には
もう少しあればと
考えることも増えています──
でも、筋肉は
一日や二日では鍛えられるものではない。
またこれから──
みんなと過ごす時間が続けば
体力も含めて、家の中での仕事も
効率的にこなせるようになっていくでしょう。
まだ今のところ──あまり想像しにくい未来ではありますが、
今日はどうやら
思ったよりも仕事をこなせたようで
お外で遊ぶことが増えてみんな力が付いたのかな?
と、驚いたように声をかけられる時もありました。
いつもよりも
山盛りのホットケーキ。
何人分か、少し多くの妹に届けられるミルク。
いつもよりおなかをすかせて──
多めの量を必要としていそうな胃袋も
一人、二人──正確な数はともかく、日頃より多いようです。
おやつを待つ声がそのまま
お手伝いを探してキッチンへと向かう力になる──
また晴れの日が続くなら
にぎやかな声はますますやまないことになるでしょう。