立夏

立夏でも悩むことはある』
ああ!
どうしたものか。
すっかり麗ちゃんにも気づかれて
心配されている──
そう、
季節は二月。
楽しかった節分を終え、
にぎやかなわがやに
また次の大さわぎがやって来る。
女の子だけの家だったときは
思いもしなかったような
大変で、
悩み事が多くて
失敗ばっかりで──
でも絶対
避けて通るわけにはいかない感覚が
胸のどこかで
熱い思いになって燃え上がる。
苦さと甘さと素直な気持ちでいっぱいになる
その日が──
もうすぐ近づいてくる!
それにしても、オニーチャンがチョコが好きでよかった!
立夏も好きだし──
何をあげたら喜んでもらえるか
想像しやすいんだもの。
まあ、それでも
というかチョコが好きだから
悩むところでもあるけれど──
それでも、オニーチャンが好きで
とても悩むほうが大きいんだけど──
せっかくの
愛の告白は成功させたいのが
みんな同じ気持ちなのに、
お菓子作りは才能と努力で差が出るからなあ──
今から努力して
追いつくのか?
だめなのか?
うーん──
こんなに悩むなんて立夏らしくない。
いつもなら突き進んでから考えるっていうのに。
って、麗ちゃんも言ってた。
考えなしのリッカをこんなにも複雑にしてしまうのは
世の中にチョコと
オニーチャンしかないというのに、
なにしろまとめてやってくるから
少しは考え事が増えても仕方がない──
でも──
こうしている間に、その日は近づいてくるのだ!

立夏

『準備』
そろそろ
始めたほうがいいとわかってる──
重い腰を上げて
いつかは、やらなければいけないことなんだから。
先延ばしにしても解決しない。
でも、なぜか
そのうち──
調子のいい時、
気分が乗っている時、
そのために今までコンディションを整えてきたと
言える時──
待っていれば、やがては今よりも
もっとベストなタイミングがやってくると
考えてしまうの。
今まで別に、そんな経験のほうが少ないはずなのに──
なぜかしら?
ありもしないような可能性に期待してしまうのは。
あ!
今の時期にこんなことを言ったら
誤解されてしまうかもしれないわね。
違うの──
そういうわけじゃないったら。
なにしろ、季節は年度末。
来年には進路も決めないといけないと言われているし
これではまるで
今までの予定を変えて
優秀な成績が必要になる
将来ある
女子校へ!
進学校に進む考えがあるみたいじゃない。
そんなふうに思われたら、
時間の余裕がある三学期や
春休みの間に
鉄道の本を読んで優雅に過ごす計画が
台無しになってしまう。
だから、今のところはそんな気持ちはないって
はっきり言っておかなくちゃ。
でも──
うーん──困ったな。
この本も問題なのよね。
なにしろ、目の前に近づく
大きな悩みは、
春になって冬服を片付けるお仕事が
近づいているということなんだもの。
この本も──押し入れに運ぶ分も少なくないはず。
いつも手元に置いておきたいのに──
それが難しいのよね。
なんだか最近、おうちの中がそわそわしているような
感じがするのは、
きっとみんなも同じことで悩んでいるのでしょうね。
片付けたら仕舞わないといけないものがある──
そう考えると、部屋を散らかすことにかけては誰にも負けない立夏ちゃんも
好きなおしゃれをできなくなる悲しさに向き合うことになるわけだから
少しは同情してしまうかもしれない──
それはそれで、片付けはきちんとしてもらわないと困るけど。
はあ──
でもまあ、まだいいわよね。
春の足音が聞こえても
冷たい冬はまだ長く、
凍える寒さに耐える日々は続く──
これから迎える暮らし良いお部屋の一大事に向けて、
もう少し、考える時間をもらわなくっちゃ!
──みたいな話をすると、
不思議なことにみんなが「そっち!?」みたいな顔をするの。
なぜかしら?

『かがやく蛍』
蛍です。
あの──
もしかしたら蛍のお兄ちゃんは
もう知っているかもしれないけど、
蛍はみんなのお世話をするのが好きです──
お腹がすいている子に
おやつを作ってあげて、
服がほつれている子を見つけては
繕ってあげて、
泣いている子のところに駆けつけて
だっこして連れて行く──
おうちに小さい子がいるからいいけれど、
もしもそうでなかったら
どうなっていたんだろう?
氷柱ちゃんだとかにしつこくして
嫌がられていただろうかと思うと──
そんなことにならなくてよかった!
氷柱ちゃんには、ほどほどにお世話をして
隙を見てはさらに親切にして
逃げられてしまわない場面を見つけることができる環境で
よかった!
今日は節分です。
鬼の役はできなかったけど──
豆をまきたいみんなに後ろから届けたりできて
楽しい一日でした。
これで病気も怪我もみんな逃げて行って
いい一年がやって来る、
とまでは都合よくいかないかもしれないけど
みんなの幸せを祈れる日が来て
一緒に楽しく過ごせました。
これから──
いい子ばっかりの家族みんなに
すばらしい福がたくさん、
山のように積もって
大変なことになってしまうのを
願うのは──
もしかすると世話を焼きすぎているでしょうか。
それとも──蛍の性格に関係なく、
みんなが同じ気持ちだったら
ちょっとうれしいかもしれないな──
まだまだ寒い日が続きますが、
ひとりひとりが気を付けて過ごして
ようやく春の気配が遠くに見えかけてきたような
そんな節目の
お祭りの日です。
みんな、楽しんでくれたかな──

虹子

『おにがくる!』
おえかきしようよ。
これは、なかよしかぞく。
かしこいそらちゃんと、
ほめてあげるふぶきちゃんとさくらちゃん。
みんなにこにこ。
そらちゃんのたからもののこいしも
たくさんかいてあげようね。
これはこさめちゃん。
きょうも、とってもがんばりや。
かびんのおみずを
さむくてもとりかえてあげるのは
こさめちゃんにしかできない!
すごい!
これはおに。
もうすぐせつぶんだから
やってくる……
おにをやっつけられるように、
つよいおにいちゃんと
にじこもかいておかなくちゃ。
みんな、もっと
つよくかいたらよかったかな──
みぞれちゃんは、そんなにこわがることはないっていうの。
おうちでは、じゃんけんにまけたこが
おめんをしているだけだから。
おまつりだから。
ほんとうのおになんて
そんなにあえるものではないって。
でも、おめんを
かぶったひとのなかに
まぎれていたら
こわいよね!
みぞれちゃんも、こどものころは
おにをこわがって
かくれていたんだよって
みはるおねえちゃんがおしえてくれたよ。
だからみぞれちゃんは
おにのでるようなところにはいかないで
おうちにいるんだって。
なるほど!
かしこいな。
おでかけのときも、
うきうきしてあかるくしていれば
おにがよってこないきがするから
おいしいものをおみやげにして
うれしくなるようにするんだって。
なるほど!
おみやげには、そんないみがあったんだね。
あしたはせつぶんのまめまき。
おにをおいはらい
ふくをよび
みんなのけんこうをねがうおまつり。
いちねん、おうちのかぞくがかぜをひきませんように。
おにをおいはらうくらいつよいひとなら
それはきっと
いちねんどころか
いっしょういのちのあるかぎり
けんこうでいられそう!
にじこも、できるかな?

青空

『まいご』
どうしよう!
なやむ──
こっちは
まるいこいし。
こっちは
かくばったこいし。
どっちも、いいかたち。
でも──
あかちゃんそらの
おかたづけのはこは
まだちいさいから、
どっちかえらぶんだって。
うーん。
となりで、さくらが
うんうんかんがえている。
おもしろいほんはどれだ──
そのとなりの
またすぐよこで
ふぶきもかんがえている。
そのよこは
くるっとわをかいてもどってきて
そらがかんがえている。
うーん!
はこをおおきくするには
どうしたら!
だってね、
そうしたら
ふたつのこいしが
どっちもはいるよ。
それをきいた
ふぶきがひらめいた。
さくらにおはなしをして──
あたらしいせかいをみつける
ぼうけんのほんは
まずは、やさしいないようから。
さくらにそんなほんを
おしえてあげて
あとでふぶきがかしてもらったら
いいんじゃないか。
だって。
それはいいね!
だから──
そら、わかっちゃった。
こうするの。
まるいこいしは
さくらのたからばこに。
かくばったこいしは
ふぶきのたからばこに。
いいもようのこいしも
すてられないから
おにいちゃんのたからばこにいれる!
よーし、きまった!
おにいちゃんのたからばこはどこ?
いいもようのこいしと
くろいこいしと
おにいちゃんとみつけたふつうのこいしと、
ぜんぶいれる!
そらのたからものが、どんどんふえていくよ。

吹雪

『事実』
よく知られている通り──
知識量や経験、
受けた教育や出会った相手の影響、
人間が積み重ねてきたことで
選択肢は広がり、
迷った時の答えは
正しいものを選べるようになると
一般的には言われています。
つまり──
まだ小さいさくらが
次の日曜日の買い物の予定で
本を選ぶのに迷っている状況と比べて──
少し年上の私は
迷うことも少なく
自分に合った本もすぐ選べるに違いない、
という理屈になります──
本当にそうでしょうか?
人の言い伝えること──
そして、私がそうであってほしいと時々思う
よくある教えは
おそらく、一部の条件下で例外はあるとしても
多くの場合にあてはまる
理想的な道のりなのではないか──
だとすると。
今、こうして──
家族と買い物に出かける予定があり、
そこで買ってもらえる
自分が一番
欲しいと考えている本は──
今までよく読んでいた
お気に入りのジャンルから選ぶのか、
それともこの機会に
まだ見知らぬ
新しい分野を切り開くべきか──
まだ時間の余裕があるとはいえ、
この問題は──
さくらが悩むのとくらべて
はたして、答えが出しやすいものかどうなのか
それは私には正確なことは言えない──
でも、もしも本当に
積み重ねてきた年月と経験が
答えを出すために有利なのだとしたら──
もしかすると、信頼できる人に相談すれば
答えに近づく可能性はあるかもしれない。
というわけです。
はい──この説明で伝わっていると考えます。
兄であるキミこそ
私に必要な答えに
近い場所にいるのだと──
私が考えるのは
不自然なことではありません。
どんな意見でも構わないので
何か参考になることを聞かせてもらえればと期待しています。

さくら

『さくらのしらべもの』
さむいふゆ!
さくらがふゆを
のりこえるために──
こんどのにちようびは
おかいものにいきます。
あったかくて
かわいくて
さくらによくにあうふくを
みんなでさがすよ。
でも、さくらは
まだちいさいから
どんなふくがいいか
よくわからない──
リボンのあるのがいいのか
さくらいろがいいのか
まよっちゃって
きめられない。
どうしよう?
いまから
かんがえたり
みんなにそうだんしなくっちゃ。
それと──
にちようびは、あとほかにも
ふぶきちゃんは
ほんやさんにいくのだって。
こたつにあたって
よむほんを──
ふゆをのりこえるまでに
もういっさつ
ほしくなる。
なにしろ、こんなにさむいからね。
だれでもほんは
あったほうがいいとおもうの。
さくらも、いっしょにいって
かってもらえるんだって。
うーん、えらんでおかないと──
さくらににあうふく。
さくらのよむほん。
そうして──
かえりはおいしいものを
おかいものしていこうっていうの。
ひとでがたくさんあるからね!
さくらのたべたい
おいしいもの──
しらべもの、かんがえること、みんなでそうだんすること、たくさん。
つぎのにちようびまで
まだまだ
じかんはあるけど
お兄ちゃん──さくらにきめられそうだとおもう?
うーん、さくらはじぶんではどうなるか
まだわからないな。
もしもきまらなかったら──
そのひのおでかけは、
ひとりだけかなしくなってしまいそう。
くすん。