『連休の終わり』
長い連休もいったん落ち着いて
今日はみんなが学校に出かけていきます。
登校時間が過ぎて──
急に静かになった朝の風景は
なんだか少し寂しい。
でも、すぐに週末のお休みがやってきますね。
まだまだこれからも
うるさくなりそうです。
どこにも出かけることのできない連休だったけど
子供がたくさんいるおうちは
それなりにいろんなこともありますね──
さくらちゃんがとっても喜んだカレーパーティー
青空ちゃんは虫の観察がはかどって
お庭が今までよりも大好きになったみたいだし
吹雪ちゃんもついに数式で
初恋の味はレモン味だと証明してしまいましたね!
ヒカルちゃんの足の捻挫は大丈夫かなあ……
……
……
えっ?
吹雪ちゃんの証明と
ヒカルちゃんの捻挫の話は知らないって?
ええっ!
まさかそんな──
吹雪ちゃんだって
この数式を理解するのはお兄ちゃんしかいないと言っていたから
すっごく難しい
大人の数式だと思っていたのに──
お兄ちゃんに見せないのは
なんだかんだで少し自信がないのかな?
あ、そっちじゃない?
そっちも気になる?
ヒカルちゃんのことですね──
すぐみんなに弱みを隠して
平気な顔をしてみせようとする
みえっぱり!
捻挫の原因は
転ぼうとした私を助けてくれたことだから
何にも言えないけど──
いつも誰かを助けるときばかり
怪我をするヒカルちゃん。
もっと頼ってほしいと
思うたび──
また迷惑をかけてしまい
ヒカルちゃんはなんでもないような顔で
優しく笑っているの──
ホタ、吹雪ちゃんの恋の数式を理解できるのは
お兄ちゃんだけだと聞いたけど
ヒカルちゃんのことを助けてあげられるのも
お兄ちゃんだけだと思うんだ──
子供のお世話できっと大変な休日続きに
こんなお願いをするのはいけないかもしれないけど
少し様子を見てあげてほしいの。
ヒカルちゃんは私たちの大切なお姉ちゃん。
なんでもできるヒーローだけど
たまには誰かに──
守ってもらえたらいいと思う──ときもあるの。

青空

『みつけた!』
どこだ?
あっちだ!
くさのかげ──
いしのした──
はっぱのうらに
いつもいる。
くろいむし、
みどりのむし、
ちゃいろいむし
なんでもいる!
おにいちゃんに
ありのすのばしょも
おしえなくっちゃ。
あのね──
このごろ
むしが
よくいるの。
おにわをよこぎる
なぞのかげ──
むしか!?
と、
おいかけたら
それはむしだった!
まいにち
ふえる──
きのうより
いっぴきふえる。
おとといより
にひきふえる。
そのまえより──
ひゃっぴき
ふえて
ふえつづける。
よかったね。
たのしいむしさがし。
はるがきて
もうそのうち
なつがくるからなんだって。
そうなんだー!
おぼえたよ。
はる!
なつ!
そのあとは
もっとむしがふえるにちがいない!
こんなに
むしがふえるんだから
ねこもふえるかもね。
おどうぐばこの
たからものも
ふえるかもね。
おうちのみんなも
ふえるかもね。
はるがきて
なつになるからね!
むしむし、
あっちを
とぶのも
むしなのか?
あたまのうえで
うごくのも?
どこもかしこも
はるの
むしだらけだよ!

さくら

『たまねぎたべようね』
わーい!
カレーだ!
さくらはカレーがだいすき。
おうちのお兄ちゃんも
みんなも
みんなみんな
カレーがすきで
たまらない。
にこにこしちゃう。
こっちのおかおも
どのおかおも──
にっこにこ!
だけど、
くすんくすん。
ぐすぐす
うええーん!
カレーには
たまねぎをいれなくちゃ。
まないたのうえに
たまねぎが
あらわれたとき
みんなはしくしく
なきだすの──
なぜなくの?
たまねぎが
たべたくなくて
おそろしいの?
だれひとり
にげられない──
たまねぎをまえに
なきだすことだけは。
みんながなくと
さくらもかなしくなってしまう。
すぐなくさくらが
またないちゃう──
あ!
みて!
ふぶきちゃんが
へいきなおかおでいる!
まないたのうえの
たまねぎに
ふぶきちゃんだけが
たちむかえる。
たまねぎに
つよいこが──
にじゅうにんきょうだいに
たったひとり
いるのかもしれないの!
みんながふぶきちゃんをたよる。
さくらもつられて
ふぶきちゃんに
たまねぎをわたす。
なんだか──
ふぶきちゃんも
にっこにこしているかも
しれないの。
そんなふうに
みえるよね?
みんながわらうと
さくらもなぜか
わらっている。
ちょっとおもしろいと
ころころわらうさくらが
きょうもまた
お兄ちゃんの手をとりにいって
にっこにこ。
あのね!
カレーだよ。
たまねぎだよ。
きょうはだれも──
なかないよ!
お兄ちゃんに
そんなおはなしを
おとどけにいきたいの。

吹雪

『シルエット』
冬の名残の枯れ枝は
今では朽ちて弱く
線を引いて遊ぶときも
ちょうどいい長さは
なかなか見つからないようです。
かけっこのスタートラインも
飛び跳ねる先の丸い印も──
なにしろ印で区切られた外側は
溶岩として扱うというのです。
それを区切ることのできる──
朽ちかけた細い棒に込められた力は
相当なものだと思われます。
自然界が内に秘める驚異はいつでも想像を超える、
ということが言えそうです。
さて、季節を問わず
棒を使う用事が
子供にも大人にも、
かけっこをする場合もそうでない場合も
必要な時があります。
靴の先で線を引けるなら
それでいいのだけれど──
私が数日前に体験した遊びですが
キミは知っていますか?
庭に走り出て行ったら
影の部分だけを踏んでいって
そのほかの場所は溶岩になる、
という遊びです。
小さな子供がいる家の庭は
簡単に溶岩になることができる──
と言えるでしょう。
日のある場所に落ちては怒られ、
子供たちの手で
救出されることを
何度か続けたので──
私も考えました。
棒を手に持ち、
線を引いて記録する。
自然界にある魔法のように
転がっていた棒によって覚えるのは
影の広さ、
時間による変化、
安全な領域の移動──などなど。
学ぶことはたくさんあります。
最近は日当たりが強い日も多く、
運動能力に制限が
増えるのと同時に──
くっきりと濃い影が落ちて
安全地帯を増やしています。
地道な努力はある程度の効果を見込めます。
そろそろ──
知識の蓄積が
みんなの運動能力を上回る時期がやってくるはずです。
キミはどう思いますか?
明日は私から遊びを誘ってみてもいいかもしれません──
良い戦績が見込めると考えています。

観月

『スナップショット』
季節は巡り
お庭の眺めも
子供がゆかいに駆け抜けていくように
くるくる
ころころ
めまぐるしく変わっていく。
瞬きの間に
時は移ろい
何もかもは過ぎ去っていく。
美しく
記憶に残したい
このおうちの景色を
どのようにしてとどめよう?
絵を描くのか?
それとも歌で?
いや、とても追いつけぬ。
それではやはり
知恵の結晶──
人の身で作りあげることのできる
最新技術に頼るのが
一番であろう。
世界のどこかで
やはり同じ目的を求めたものがいて──
わらわの手に届いた。
運命を感じるのは
やはり、考えすぎであろうかの。
というわけで
お古の小さなカメラをもって
子供がお庭を走る──
時は春の日が変わり始めるころ。
どこまで駆けても飽きない
この時がついにやってきたのじゃ。
ほら見よ!
花じゃ!
虫じゃ!
木陰には──
もぞもぞする何かの気配じゃ!
ぜんぶ形にして
兄じゃに見せなければ
わらわは見てほしいものがいっぱいで
内側にふくらむ思いで
破裂するかもしれぬ。
夏の若草に
全てが覆われてしまう前に──
写真を一枚、
また一枚。
おもしろいものばかりを
ぱしゃり!
カメラの中身は──胸の中と同じではちきれそうじゃ。

星花

『毎日が挑戦』
お休みの日も
ふつうの日も。
とは言いながらも
やっぱりお休みのほうが
向いている──
新しい挑戦。
立夏お姉ちゃんのカルボナーラ
うまくいったので
みんなも少し
お料理をしてみたい子が多いよう。
星花の腕前でも
なんとかなるのではないか?
そう思いながら向かった
キッチンでは──
あの子もこの子も
そろって真剣な顔で
今は、一つのメニューに向き合っている。
お料理が得意なほうなら
少し難しく
味付けに工夫し、
今まであまり経験がなくても
やっていくうちに
自然と工程を覚えていく──
やるべきことは、
切って
いためる!
そのお料理の名は
野菜炒め。
手間をかけておいしくしようと
こだわるところも多く、
簡単にすませてもそれなり。
そして何より
みんな大好きで
どれだけたくさんあっても困らない。
春夏秋冬の
食卓を支えるのは
お野菜ですからね!
今日もどこかで
料理人の卵は──
野菜炒めの作り方を教わっているのです。
お兄ちゃんはコショウが効いている
ピリ辛でも大丈夫?
それともお味噌の優しい甘味が
みんなと同じように大好きなのかな──
星花はお手伝いをするほう。
ホタお姉ちゃんに教えてもらって
少しだけなら
味付けにこだわる腕前も
あるほうです。
ケガをしないように気を付けて
がんばるぞ!

立夏

『料理人登場』
おいしいものを
食べよう!
まもなくわがやに連休がやってきて
楽しいことや
なんでもできる時間を
みんなが好きなだけ置いていっては
やがてどこかへ去っていくという──
リッカは考えたんだ。
遊んでばっかりで
おなかをすかしていては
夢のように過ぎ去る休日が
もったいない。
少しくらいは
自分で作れるようになったら
それはとてもいいことじゃない?
ホタおねーちゃんは言ってたの。
もしかしたら立夏ちゃんには
ひそかに眠る
料理人の才能があるんじゃないかって!
ホントだよ!
おせじじゃないよ!
なにしろ──
ちょっといいにおいがすると
すぐにわかって
とんでいく
このすばやさ!
そして鋭い嗅覚──
雑誌を眺め
戸棚をあさり
おいしいものを
求める執念!
料理人に必要なものは
全部そろっていて
あとは
落ち着いて練習をするだけだって。
オニーチャンも
気が付いている?
リッカがうろうろする
明るいキッチンの
その奥では、
オリーブオイルに
にんにくのみじん切りを入れて
炒めたあの匂いは──
いい予感しかしないってこと!
ゆで汁を加えて──
卵とチーズと
ブラックペッパー。
才能が目覚める瞬間が
もう目の前に迫っている!
あと注意するのは
味見のしすぎで
晩ごはんにみんなが集まる前に
なくならないか、
それだけ!
立夏が休日を駆け抜けて
いいものばっかりが
生まれていく──
おなかいっぱいになったら
今度は何をしようかなあ!