『夏のラジオ』
新生活が始まって少しの時間が過ぎました。
街の景色も
見るものすべてが輝くような季節──
みんな、楽しい毎日を過ごしているでしょうか。
蛍はとにかく
この季節に乗じて
世界中の楽しいものを全部集めたい。
手のひらの上に乗せてみたい。
目の前に並べて
壮観であろう景色を眺めてみたい──
と、今だけの気持ちのいい時期に
大きな野望を抱いて暮らしています。
お菓子を用意してテーブルに季節のお花も飾って
お話したいことがいっぱいの子供たちを誘って
輝く毎日の経験を
頭からしっぽまで
蛍のもとに運んできてほしい。
それが叶うなら
夢のほとんどは現実のものになるというのに──
なにしろ、元気な子供たちは
もっといろんな景色を見つけに行きたくて
いつもうずうずしているものだから──
蛍の用意するテーブルに
全てのいいものが集まることはそんなにない。
春なのに──
おいしいものがたくさんある頃なのにね。
これからの時期、お出かけの話題が増える
行楽の夢が広がる日々がやって来ます。
やっぱり楽しいのは連休。
そして、連休の計画を立てる時間──
どこも混んでいるから、なかなか思ったようにはいかないけど
みんなでお買い物に行くくらいでもできたなら──
とてもいいと思うのだけど!
蛍のところにお話に来て
みんなの夢をいっぱい預けてください──
叶うかどうかはともかく、喜ぶ人がいるようです。
腕によりをかけたお菓子があるの。
食べて行ってくれるだけでも大歓迎。
ここにはどんなお話も集まって来る──
そして野望を抱く子がいる。
もっと、もっと
みんなのいい顔を見たくて待っている──
さわやかな初夏がやって来るまであともう少し。
蛍はいつでもここにいて
みんなを変わらず愛しながら、通り過ぎる春を過ごしています。
立夏
『夢を見た』
うーん
むにゃむにゃ──
はっ!?
さっきまで見ていたのは──
まさか夢だったの!?
人はたぶん、誰もが夢を見る。
誰もが、ぐっすり眠ることから逃げられない。
眠る時に夢を見ることから逃げられない──
世の中を悟ったような
頭がいいお姉ちゃんでも
寝言でむにゃむにゃ
もう食べられないよとか言い出す。
宇宙の夢を見ていたんだって──
宇宙くらい大きなどら焼きか何かかな?
夢のある話だ──
夢だけど。
いつかの未来に願う希望と
眠ったときに見る出来事のことを
どちらも同じ夢だというのなら、
先に夢だと呼ばれ始めたのはどちらなんだろうか──
今見ているのが夢なのか
さっきまでが夢なのか、
聞いてオニーチャン!
立夏のやさしいオニーチャン!
とりとめもないお話でも
聞いてくれる素敵なオニーチャン!
なんと夢の中では
春休みはいつか終わるものだという
そんな不思議な世界だったらしい──
信じられない!
みんなが楽しく
あんなに素敵な笑顔をしている
心ときめくきれいな景色ばかりだった
あの春休みが──
あんなにいいものが
いつか終わってしまうなんてことが
本当にあるだなんて!
人の想像力とはとんでもないものだ。
ああ、夢でよかった。
だけど、その夢の中では──
やっぱりオニーチャンはやさしくて
いっぱい遊んでくれて
元気に学校へ行って
かしこくなって帰って来たら
ほめてくれるんだって!
たまには手をつないで登下校してもいいって。
夢のようだ──
夢だけど。
でも、立夏に大好きなオニーチャンがいるのは本当だし
今は楽しい春休みなのも確かなことだ。
ああ──
明日も楽しみなことばっかり、
立夏の毎日は続くんだネ。
麗
『おねむ』
春休みも残りあとわずか。
わがやのブームと言えば
お昼寝。
春眠暁を覚えずともいう──
それに、お休みするのは大事。
春休みに一生懸命遊んで
これから新しい暮らしに飛び出していくみんなには
どうしても必要なのが
お昼寝なのね。
まあ、お天気が悪くて
ふて寝くらいしかすることがないみたいな子も
いないでもないけれど
なんだかんだで良く寝たらすっきり。
新生活を迎えるために大事なのは
何より睡眠だったのね──
というのが
一応、共通認識ということに
なっていると言えなくもないけれど
その実としては
お休みしていれば手がかからないし
大人たちは春休みでもなんだかんだ忙しいしで
放っておかれているだけのような気がする。
なんだかだらだらしている気がするし
つられて私も
することがあったはずのような
今はゆっくりしていれば
それでいいような──
なんだかよくわからない様子になっている。
せっかくしゃきっとした気分の新学期がもうすぐなのに
これでいいの?
と、そう思うとしても
別に革命を起こしてまで
今のうちにやっておきたいこともないもの。
こうなることをおぼえておいて──
来年の春休みは充実した暮らしにしたいわね。
いえ、別に来年なんて気長なことを言わなくても
近いうちに訪れるのは五月の連休。
その時こそ、特に明確な目標もなくだらだらすることもないように
しゃきっと前を見据えていたいものだわ。
あなたも新学期の準備はできている?
これから始まるのは未来をよりよく過ごすため──
五月の連休に、来年の春休みに、
そして何気ない普通の毎日に。
お昼寝ばかりでは
もったいないと思うような日を
その時こそは。
というわけで、今のところは流行に合わせて眠っていいでしょう。
誰の体にもメンテナンスは大事なんだから──すうすう。
さくら
『おやすみ』
おやすみのときこそ
しっかりおやすみするのがだいじ。
そうしないと
いっぱいあそぶのも
むずかしい。
つかれてしまう。
さあ!
おやすみのひに
おやすみするぞ!
そのためには
おふろにはいったり──
おやつをたべたり──
なんと、おもいきって
おひるねだってしてもいいの。
さくらも──
ちゃんとおやすみできるかな?
まだまだあそんでいたくって
すぐにつかれてしまわない?
あしがもつれて
おもいっきり
あそべなくない?
ああ──
こんなことなら
やすめばよかった。
すわればよかった。
ねころんでよかった──
そんなふうに
ならないために。
つかれたらやすむ。
あせをかいたら
あせをふく。
やりたいことを
ぜんぶやるために──
おやすみのひ
しっかりじかんをゆうこうに
つかうのだ!
でも、さくらはどうしても
あそんじゃう。
おやつも
いそいでたべてしまうときもある。
あそびたいからなの。
ううーん、よくやすむってむずかしい。
こどものたいりょくには
げんかいがあるという。
かなしい
げんじつ。
でも、へこたれていられない。
さくらはもっと
おやすみのひに
あそびたいの──
お兄ちゃんも、よくやすんでる?
さくらがあそびすぎて
つかれたとき──
おやすみにいってもいい?
いま、どんなおやすみをしたら
いちばんいいのか、
さくらはまだしらない。
おにいちゃん、おやすみのあいだに
さくらにもっと
おしえてね。
あさひ
『どどど』
あーたん
むう──
あ!
おにーちゃ!
おにーちゃ!
どどどっ
どーん!
おにーちゃ!
どんどこ
どこどこ
どどーん!
だっこ!
ぎゅっ。
(あさひだよ。
あさひはいつでも
おにいちゃんにあまえたい。
だったらどうする?
うそをつく?
わざをまなぶ?
いや!
からだでぶつかって
いつでもぜんかい
あまえるちから──
これがあさひだ!
おにいちゃん!
これがあさひの
あい!
だいすきだー!)
蛍
『まだ見ぬ』
雨模様の日でも
肌寒さはもう
たいしたことはない。
春になって歩くのが楽しくなった道、
良い眺めの景色を
一緒に見に行けないのが
みんなにはどうやら、ちょっと物足りないだけ。
そんな時期だからもう
あの冬の頃みたいに
曇りがちな日はみんなが震えて
すぐくっついてきては
暖め合う──
ということも
もうすっかりなくなりそう。
近づいて
抱き着いて
ぴったりしたまま離れない──
そんなふうにする理由なんて
冬が終わったらなくなってしまいます。
蛍にとっては
それも少し寂しい──
すぐくっついたりすることに
悪いことなんてひとつもないはずなのに!
まあ、ちょっと動きにくいだけで──
ぽかぽかほっこり
あったかいのは
あの季節だけの特別だったんですね。
終わってしまってから気付く悲しさ。
あと一年ほどは
きっと戻らない──
と思っていたら
子供たちは何にも気にせず
いつもの習慣みたいに
くっついてくるし
離れないし
動きにくいし
あったかいし──
別に、暖を取る目的がなくても
くっついていいという
シンプルな答え。
自分に正直になることを
教えてもらった気がします!
今日もわがやは
たまにちょっと動きにくいし
あたたかい。
明日から新年度が始まりますね。
これからどんどんあたたかくなっても
みんな変わらずにいてくれるかなあ?
誰も知らない未来のことです──
少なくとも蛍が
急に変わってしまうことはないから
明日も誰かに抱き着いて誰かを抱っこして喜んでいるのは間違いない。
うーん、いいのかな?
まあいいか。
誰もが甘えることをためらわない──そんな未来が新年度にはやって来るといいですね!
綿雪
『ネクスト』
寒い日は苦手。
でも、みんなとお出かけするのは好き──
今日はヒカルお姉ちゃんの指導で
良い子たちが春休みに運動をする日。
このごろ、少し曇りがちな日が多いけれど
花のつぼみも開く季節で
景色はいつも輝いている。
お外で運動ができるなら
きっと、どんなに楽しいことか。
そんなふうに思う時期が来ている──
ユキみたいにすこしだけ体が弱い子は
歩いてついていくだけでも大丈夫。
ヒカルお姉ちゃんは家族思いで誰にでも優しい。
ユキがついていけないこともそんなにないはず。
大丈夫。
なにしろ春だって味方をしている。
暖かくて過ごしやすい季節なら
なんでもできるに違いない──
ちょっとだけ不安になることもある。
でも、いつだって
どうなるかは始めてみないとわからないし──
そしてもちろん、いつだって
新しい挑戦は胸がわくわくして
希望に満ちている──
それは臆病なユキでもみんなと同じなのだった。
楽しいですよね、
無理をしないように準備運動。
張り切って走っていくみんなと同じコースを
ゆっくり──
あたりをながめながら。
春らしい、いい空気を吸いながら。
ユキにもできるんだ、
みんなと同じことが──
そう感じながら。
過ごしている春の一日でした。
体調は──問題なし。
できれば、もっと歩きたかったな。
もっと早足で──
そして何より一番の気持ち、
楽しかったな──
またみんなで歩きに行けるといいですね。
こんなにすばらしい経験は
何度重ねたって絶対に足りない、
どれだけあっても
多すぎるなんてことはない──
そうでしょう?
明日も楽しい日になるはずです──春が来たんだから。