あさひ

『ちゃぱちゃぱ』
わあーい!
ぱっぱっ
ちゃぱちゃぱ
うっちゅーら!
ふわああ──
わわーい!
どっどっ
ばああーん!
ふわああ──
うっわわーい!
にゃーにゃ!
ぎゅっ。
すうすう。
(おおっ、みんなのおはなし──
 おでかけのよていかな!?
 ビーチ派のひと、おめでとう!
 みんなとあるく、すなはま──
 うちよせるなみ──
 あさひもビーチにいったことがあるんだよ!
 ゆうえんち派のひと、ちょーおしかった!
 なぞのきぐるみ──
 みんなのわらいごえと、こわがってなきだすこども──
 あさひもゆうえんちにいったことがあるんだよ!
 きゅうでん派のひと、がんばった!
 ──きゅうでん!?
 いったことないよ──
 それはいいものだって、みんながいうの。
 もしかして、おにいちゃんにだっこしてもらうくらい
 すてきなばしょ──
 いいところなのか?
 よーし! とりあえずだっこしてもらおう!
 ふー、きもちがいいぞ。)

ヒカル

『手に汗握る』
やっぱり一番盛り上がって
熱くなれるのは──
劣勢からの逆転。
残り時間が一分を切ってピンチのマークがついているのに
耐えて耐えて命をつないで
そこからついにつかみ取ったチャンス──
たとえば、自分の力を実感する
うまくいった試合もいいけれど
追い詰められた場面でしか出てこない
自分自身でも驚くような──
あれを底力というのだろうか。
チャンスの女神の前髪というのかもしれない。
ともかく──一緒に戦ってくれた味方と
ぎりぎりの意地の張り合いを楽しませてくれた相手チームに
感謝をする瞬間だ。
それにしても、真剣に挑むという意味なら
相手がいる力比べだけじゃなくて
自分自身の中身と戦う時もある──
日陰の過ごしやすい場所で
開いた本に向き合う小雨も──
物語が佳境に差し掛かったと思われる頃の
額も汗ばむ、あの真剣なまなざし。
宿題に真面目に取り組む吹雪の
答えを見つけた時の瞳の輝き。
戦いに集中していたことに気づいて
ふと目を上げた時に
同じように本気で挑み続ける仲間がいたことを
初めて知るというわけだ──
人はいつでも挑戦を続けるのをやめない
暑苦しい存在だ。
今日も──
曇り空とはいえ、蒸し暑い時間もあった日。
水分補給を忘れずに
適度に休憩もして──それが難しいんだけど、
そしてしっかり栄養をとってよく休んだら
明日になれば
また──
時々は身の丈にも合わない場合もある
好きなことを──特別なことを始めるのだろう。
でも、今回のフェスは明日の朝で終わりなのか。
悔いのないよう──しっかり遊んでおきたいものだな!
ホラガイは買い取ってくれるというものの、
くじ引きしておきたい人はきちんと使い切って
それからフェスTのメインギアパワーのかけらが必要だったら回収して
そして、よく遊んで──
明日を迎えることができたら
きっと楽しいだろうな!

海晴

『特別の贈り物』
霙ちゃんのこと──
たまに、頼りないと思うことも
あるかもしれない。
でもそれは、張り切ってみんなの先頭に立つ性格では
ないからで──
あの子がちゃんと家族のことを見ていて
必要な時は支えてくれようとしているんだと
気が付いている子も多いはず──
そんな霙ちゃんの部屋の中だったら
少し散らかっているとはいえ、
探せばみんなの助けになるものがたくさんある。
もちろん、春風ちゃんが疑問に思っていた
大切な人に声をかける勇気だって
見つけにくいだけでちゃんと見つかる。
霙ちゃんも、普段から掃除していればもっとよかったのにね!
ここしばらくの暑さが落ち着いて
今日は雨でじっとりとした日になった。
こんな時に買い出しに行くのは大変──
おうちでは、帰りが遅くなりそうな春風ちゃんを心配して
誰が迎えに行くのか話し合いが始まっている。
そのまっただ中に
霙ちゃんが見つけ出したのが
部屋から出てきたという
男物の大きめの傘。
愛用している防寒用のマントが入るサイズはそれくらいしかなくて
ちょうどよくあらわれてくれた
大きめサイズを持ち歩けるのは、
年が上のほうの霙ちゃんと──
あとは、わがやの頼りになる弟くん。
買い物先で合流した春風ちゃんの様子は
本人たちの他には誰もわからないけれど
きっとあの子のことだから
こんな運命みたいな機会があったら
自分の気持ちを少しでも伝えられたに違いない。
もう少し一緒に買い物ができたらいい、
できれば──もっと一緒にいられたらいいと。
どうだろう?
ただの予想だけじゃなくて、私の気持ちも入ってしまったかもね。
一緒にいるのがいい、
できればふたりきりならもっといいなって──
急に雨に降られるとか
しとしと雨がやまないとかって
とっても弱ってしまうことなのに
たまに──
どんな日も真面目に過ごしていれば
いいことだってあるという
不思議な予感がいつもある──
そんな希望や夢が
雨にかかる虹のように
ときどき、私たちの前に現れるときもあります。
春風ちゃん、今日はお疲れ様!
キミもお迎えのお仕事ありがとう──
ずっと雨の日で大変だったでしょう?
あとはおうちで楽しく過ごす時間がやって来るのは間違いない!
私の予報はよく当たるんだもの──

春風

『パンがなければ』
春風もまだまだ
お年頃。
なんでもカンペキにこなすなんて
なかなかできなくて──
朝ごはんはどうしてもパンがいいって子がいるのは
わかっているのに
買い忘れてしまった。
しゅん──
でも、そんな時に頼りになるのが
こんな弱い春風を支えてくれるお姉ちゃんたち。
海晴お姉ちゃんのアドバイスをもらって
大丈夫!
霙ちゃんならパンの買い置きくらいたくさんあるに違いない、
っていうから頼んでみたら
本当に出てきたの。
いつも頼りになるお姉ちゃん二人です!
霙お姉ちゃんのお部屋からは
四次元ポケットみたいにいろんなものが出てきて
ないものなんて一つもない!
という、二人の太鼓判だったけど
春風の一番欲しかったものを
出してくれるのは
少しもったいぶっていたみたい。
春風が結婚できるまで待っていてくれたのでしょうか?
もちろん冗談です。
私の王子様が霙ちゃんの四次元ポケットから出てきたみたいになってしまいますね!
でも霙お姉ちゃんなら、そんなにすごいことだってできるかな──
なにしろ春風の自慢のお姉ちゃんなんだから。
というわけで、明日の放課後は
春風はおつかい。
ついでに、連休の分のお買い物も済ませておきたいなと思います。
こんな時──
王子様が一緒にいてくれて
いろんな相談をしながらお店を回れたら
それはまるでデートみたいではないかしら──
だけど、一緒に行きませんかと
誘う勇気も──
考えるだけでドキドキする胸を落ち着かせる方法も
霙お姉ちゃんのお部屋からは出てきません。
なんでもあるっていうのは、さすがに大げさでしたね!
ああ──それにしてもどうしよう。
まずは、何か必要なものがありますかって
さりげなく聞くところからはじめたらいいのかな──

『ときめく気持ち』
新しいおろしたてのエプロンを身に着けて
うきうきしながら駆けてゆく
そんな蛍がいるという──
曇り空はいいけど、やっぱり蒸し暑い日。
洗濯物も乾きにくくて
今こそ、こんなこともあろうかと
最近作っておいた新しいやつを
お披露目する日だ。
のんびり自分のペースの針仕事で
ついに仕上げた割烹着で家事を進めて
いつか使う時を想像しながら
可愛く仕上げようとしてみたエプロンでキッチンに立ち──
忙しい時期だから、すぐ汚れてしまうのは
しかたのないことだけど
私たちの日常にやって来てくれた、ふたりの出会いのあかし。
なんだか──やっぱり楽しい。
気分が変わる新しい出来事は
小さくたって、やっぱりいいものだ。
色合いを考える時だって
今まで使ってきたのが
新生活を乗り越えてきた春の装いで──
ふと、よみがえる思い出だってある。
つまみ食いする子を追いかけた日のこと。
蛍もついに塩と砂糖を入れ間違えたあの日のこと。
時間がなかったり疲れていたり
満足なお仕事がなかなかできなかったりもする日々。
ときどき、みんなに喜んでもらえたこと──
これから迎える夏には涼しげな青を選んでみました。
どうですか?
イメージが変わって
知らない蛍のようで
お兄ちゃんも楽しくなって来たでしょう!
なんて。
冗談も言ってしまったりして。
でも、ちょっとだけ新しい景色の
まだ見慣れない蛍、
そしてみんなにも作ってあげた夏服で
新鮮な気持ちのきょうだいたち。
こんなふうにして過ごした今日が
誰かのときめきになったりして
軽い足取りで前に進む助けになれたら──
そんな想像もして
ひとりでまた──くすくす笑ってしまったりもしているんです。
ええと、こっちが砂糖で
こっちが塩。
いくら新しいおろしたてだって
お料理の能力を劇的に高める力はないみたいだから。
蛍がそんな魔法を身に着けるにはまだ小さいので──
昨日より少しだけ楽しくなった気分が続いているうちに
とりあえずがんばってみたいという気持ちに頼って
笑顔がもう一つ、もっともっと増えて行ったらいいなと思います。

星花

『誤算』
うーん
うーん──
暑い日が続き食欲がなくても
体のためには
きちんと栄養をとったほうがいい。
消化に良いものを。
栄養がたくさんあるものを。
見た目もなるべく
季節感がある涼しい感じだといいな。
そして何より
おいしくて
みんなと食べるのが楽しくなるようなものを──
というわけで
近くにいる子たちが呼ばれて
試食する機会がこの頃多いような気がします。
こ、これでは
おなかがいっぱいでお昼から眠くなってしまう──
ただでさえ暑さを避けて
涼しくて気持ちの良い場所でゆっくりすることが多い日々。
これでは体がなまってしまい
学校の校庭にみんなが集まるドッジボールもサッカーも
星花は後れを取ってしまう──
今日もまた、だらだらしてすごしがちです。
暑さもあるから仕方ないのはそうだけど──
そして、あちらのほうでは
これからの夏本番に備えて
やっぱりきちんと涼しくて──かといっておしゃれには気を使いたい
そんな子たちが研究をがんばっている様子。
今は、吹雪ちゃんを囲んで教え合っているみたい。
少し曇り空で涼しい時間もあるから
吹雪ちゃんも新しい趣味の開拓を始めたのでしょうか。
むむっ、このままでは
だらけていることにますます罪悪感と
焦りがふくらんでしまう。
星花だけが取り残されていく──
でも暑いし──
おなかはいっぱいだし──
うとうと──
その時が来れば、星花もお手伝いで
おうちを駆け巡ることでしょう。
しっかり味見した夏のメニューも
これから自分で作る時にも役に立つはず。
休むべき時を見つけたら
きちんと休むのもちゃんとした仕事の一つ。
やがては──
凛々しく駆けてゆく星花になるはずだけど
今の姿からはそんな未来はなかなか想像できないのでした。
むにゃむにゃ
また、呼んでいる声がするような気がします──
あれは試食のほうなのか、それともファッションのほうからなのか──
はたまた──蜃気楼のようなたゆたう夢の中から──?
お兄ちゃんも、今日も暑くて大変な日、お疲れさまでした。
おうちでは星花とゆっくりすごしましょうね。

吹雪

『真夏を過ごす』
……
……
今日も──
暑さは続くようです。
命にもかかわる危険な酷暑。
こういう時、人々は
なるべく薄着になり
ときどきアイスを食べて
過ごします──
女の子なのにあまり肌を出すのははしたないと
困っている声も聞いたけれど
ある程度は火を使う食事の支度や──
日常生活を支える家事の一つ一つで
汗を流し
体力を使い
やがては言葉も少なくなり
涼しい部屋でゆっくり休むとき
ともに激しい夏と戦い日々を過ごそうとする
同じ仲間の顔を見て──
何か納得したような視線を交わす。
そして──
暑い日々を乗り越えるための計画が
とめどもなく生まれていく。
そういうこともあるようです。
せめて、涼しくても
女の子らしさは忘れないようにと
なんとかして可愛い夏ファッションを維持しようとする
情報交換が
あちこちで行われているようで──
みんなが持ち寄った新しいファッション雑誌も
アイスをこぼしたシミでいっぱい。
はたして、努力の結果は
あらわれるのでしょうか?
私は──これほどの暑さの前では
身だしなみに対する慎みも
ある程度は失われるという意見を支持します。
……
大変な日々を乗り越えるために
みんながそれぞれの工夫をしている
その時間はこれからも続くようです。
冷たい料理やデザート、
おやつの時間をなるべく楽しく過ごす工夫、
そしていくつかは作り方も教えてもらいました。
もしも冷蔵庫のそばで──私を見かけることがあったら
ただつまみ食いをしているだけとは思わないでください──
そのような可能性は低いはずです。
……
……
そのはずです。