観月

『新しい予定』
連休が来ても
お出かけの計画を立てるのは
そう簡単なことではない。
つかんだと思うと
指先から逃れ──
追い詰めたときは
煙となって消える。
形がとどまらず
おそろしい──
先の予定とはそういうことじゃ。
海晴姉じゃも
お天気予報が当たらなくて悩んでいた。
どこにでも
あやしいものはあるのじゃな。
用心せねばな。
ということもあって
大変だったようだが
ホタ姉じゃがママと交渉して
家族みんなで食事の予約が取れたという。
みんながおどろいて
ええっ!?
本当に!?
わいわいうるさかったことじゃ。
わがやで本当に底が知れぬ脅威は
あんなにさわがしい
子供たちのオーラなのかもしれぬ。
とか、そういうよくある感じのオチはおいといて
どうも詳しい話を聞くと
前から、お料理のレパートリーを増やすための
食事などを何かの機会にと
ママに言っておいたのだが
なかなか予定が取れなくて代わりにとお料理本をもらい──
そして、もらった本のお料理を
じっくりと時間をかけて全部作ってみせ、
いよいよ食事にお出かけしかないと追い込んだところで
それでもなかなか腰が重いママの様子に
理屈ではらちがあかぬ、
子供っぽく甘えて
どうしても行きたいと駄々をこねて
いつも良い子のホタ姉じゃのお願いは
ついにかなったという──
ところどころ話を膨らませている様子で
どこまで本当だかわからないホタ姉じゃの説明によると
そういうわけだそうな──
おそろしいのは人の業──押さえつけてもあふれ出るオーラの
本当におおあばれをしたときなのだと
そんなお話であったな。
ホタ姉じゃのお話に出てきたお料理の本は
書き込まれたメモと──
色のついたふせんでいっぱい。
いつからみんなのそばにいて
家族を支えてきたのか
いったい誰が知るであろう。
でもまさか全部は──いやそんな──しかし、うーん──
まあ、おそろしいことばかり考えても仕方ないな!
そういうわけで連休には一つお出かけの予定ができた。
楽しみじゃな!