夕凪

『休日は寒くてはいけない』
うわわーん!
寒くてだらだらしていたら
お兄ちゃんが──
大好きなお兄ちゃんが──
夕凪の大大好きなお兄ちゃんが
お出かけの約束を忘れて
海晴お姉ちゃんとお出かけしてしまった!
約束したのに──
約束したかな──
横で見ていた吹雪ちゃんは
あれは生返事だと言われたけど
まあ約束でいいと思うから
きっと約束した!
ああ──
こんなことならお兄ちゃんにくっついて
どこまでも離れないでついていけばよかった!
こたつを出すのに家族で協力し合って
ついに暖かいこたつがあらわれ
みんなで踊りながら
お兄ちゃんを探しに行ったときはもう──
こんなに悲しいことがあるなんて。
寒いせいで──
夕凪がもぞもぞして
お布団から出なかったせいで──
夕凪はおでかけついでに寄り道の買い食いができなくてもいいから
休日をお兄ちゃんと一緒に過ごしたかっただけなのに!
買い食いができたらもっといいのは確かだけど──
あんまり悲しんで転がっていたから
見かねたホタお姉ちゃんが出してくれたアイデアは、
寒い日に温かいお料理を作って待っていたら
喜んでくれるんじゃないの?
というもの。
なるほど──
その手があったか!
夕凪のいいところや大人っぽいところを見せられて
最高じゃないか!
これも寒い日になって
お兄ちゃんがきっと、おうちを恋しがっているからこそ。
なんだ、寒いのも悪いことばかりじゃないかもしれない!
よし、これから
ホタお姉ちゃんにばっちり教わって
夕凪は温かいものをつくるからね。
しゃれたシチューとか──
野菜が星の形になっているとかそういう!
でも、こたつが出たから
あたたかいのはそっちに持っていかれちゃうかな──
負けられないな!
でも、こたつに勝つのはなかなか大変そうだな──
まあ、やるだけのことはやってみようっと。