夕凪

『びじん』
ごきげんいかがですか?
夕凪だよ。
お兄ちゃんはお茶会はお好きですかっ!
夕凪はねー
よくスコーンで口の周りがべとべとになるよ。
それでねー
お茶の入れ方を教えてもらおうとすると
麗ちゃんが途中で止めるよ。
余計なことをしないでちょうだい。
私はおいしいお茶が飲みたいの。
みたいな。
あー
わ、
わかった!
ゆうな、わかりました。
ホタお姉ちゃんより
麗ちゃんのものまねのほうがカンタンだ。
でも、麗ちゃんは夕凪のものまね遊びをしないから
うまく対抗できないの。
相手にされないっていうか
受け流されてるよ……
まあ話を戻すと
そもそもホタお姉ちゃんも
あんまり言わないよね。
さっきみたいなこと。
夕凪たちのほうから飛びついて
椅子に座らせて
にこにこお茶を入れている。
なんでも得意な
夕凪の優しくてかわいいお姉ちゃんが
ときどき、日記を代わりに書いてしまったりするの。
もー!
夕凪、代わりにお茶を入れたり
できないじゃない。
おかわりいかがですかなんて
できないから……
ティーバッグでつくる。
で、お菓子は
家の中を探してどうにかこうにか持ってくる。
ジャムも塗ってあげたいけど
それは落ち着かないからやらないほうがいいんだって
麗ちゃんをおもてなししてあげようとしたときに言われた。
じゃまだから……
みたいな!
ひどい!
人間には向き不向きがある、
という話と
とことんやってみなくちゃわからないという話で
お兄ちゃんはどっちを信じる!?
夕凪だって
できないはずはないと思うの。
また一緒にいられる
休日のお茶のときなんかに
お兄ちゃんにくつろぎの時間をお届けして
ホタお姉ちゃんを悔しがらせてみたい……
ティーバッグだけど。
で、お茶の支度をしながら
横で大人しくしてるね。
すぐには
静かにならないかもしれないけどね。
お兄ちゃんがゆっくり
おいしそうな顔をしていても
喜んでえへへって言うのもがまんしています。
そこはホタお姉ちゃんはヘタなんだもの。
夕凪のかわいいお姉ちゃんは
すーぐにうふふって言っちゃうんだもん。
だからこんど比べてみてね。
夕凪、うるさくしないと決めたら
ちゃんとできる気がするの。
ほほえむだけにして
お兄ちゃんのおそばで
なんだかしぐさがきれいな夕凪。
お茶の終わりまでなら、いい子にできると思います。