2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『天使』 お祭りは終わった。 物語は終わりを迎える。 シンデレラのもとには 必ず12時の鐘の音が鳴り響き 魔法は解ける。 氷柱もまた、かつてそうであった通りに すっかり甘いものはお断りとなった。 もう戻ることはないのだな。 あの怖いもの知らずの夜は…

青空

『らんでぶー』 はっぴーはろうぃん! とりっくあとりと。 おかしと おかしと おかしのひだよーっ! ほんとは あした。 でも おうちはきょう。 なぜなら したくなったから! おにいちゃん おかし、みつけた? ちょこあるよ。 ぼうのついた あめあるよ。 あそ…

立夏

『楽園の泉』 うわああーん! リカ けがしちゃったよおおー! オニーチャン…… あのね 縫い物をしていたら…… 縫い物をしていたらね…… けっこううまくできて ぴちっと針も糸もお裁縫箱にしまって やった! ひとつとびはねたら タンスの角にすねをぶつけてね、 …

小雨

『みつけた?』 お裁縫道具を託されて 型紙を作ってもらった立夏ちゃんは 一針一針 にらみつけるように 挑みかかるようにしながら ついに見つけた理想の模様と格闘を続けています。 たまーに ああっ! とか ぎゃあっ! なんて声が聞こえてきて 同じ部屋の小…

真璃

『マリーと身の回りとエトセトラ』 フェルゼン! きいた? 立夏ちゃんがみんなを集めて お話を聞いてもらいたいっていうの! いっぱい話したくて なるべくすぐ来てもらいたいけど 慌てすぎると興奮してぴょんぴょんはねるさくらちゃんや青空ちゃんが転んでは…

春風

『コントロール』 天も高くすっきりの青さが澄みわたる秋の放課後。 のどかな日、春風の帰り道は 右を見て左を見て 後ろを見てさらに右左を見て ヒカルちゃんの腕をぎゅっとして もう心配ないからね、 春風がついているからね! 勇気付けてあげると 春風のほ…

綿雪

『うるとらファイト』 まだちっちゃいから バナナがはんぶんしか食べられないのは おうたのさっちゃんと ユキの小さな妹のさくらちゃん。 半分にして分けましょうねってよくお話しするから いつもユキのところにやってくるようになったの。 本当は半分でおな…

『いけないことひとつ』 わかっているの。 隠しても しらばっくれても 秘密の全てがやがては明るみに出るということ。 知るべき人のところに確実に答えは届き 特に知らなくてもいい場合はまあ──そういう場合もあるわ。 なくし物はやがて戻ってくると探したと…

海晴

『秋の夜』 街をオレンジの暖かな色に染め 軽快なこうもりのダンスと 狼男の歌声が聞こえるような 気分だけはするときもあるかもしれない そんなふうになれたら楽しいお祭りがハロウィン。 小さなかわいい妹たちは なんでも疑問を持って聞いてくるの。 いっ…

『見つかった!』 遠くから恋する乙女のように見ていたことに まさか気付かれていたなんて…… おかしいな? 隠れていたつもりだし お兄ちゃんの時には見つからなかったのに。 でもいいですね、おさむらい! ヒカルちゃんの武将姿は さぞかし凛々しいだろうと…

ヒカル

『ターゲット』 あれっ? どこかから視線を感じるような…… 家の中で 誰かがこっちを見ている? そういえば 放課後の、最近は急ぎ足になりがちな下校の途中も 首筋をそっと冷たい感覚が撫でていった気がする。 ただ寒くなったからなのか 風邪気味なのかと思っ…

氷柱

『デザイア』 ちょっと目を離すと すぐに羽目を外すのが小さい子供たち。 今日みたいによく晴れて薄着が気持ちいい日でも 大人を驚かせたくて仮装を重ね着したりね。 まだ見ぬ新鮮なおばけではあるけれど 汗をかいてるし…… 夕方には冷え込んできてお風呂が人…

夕凪

『あらいぶ』 夕凪は知ってしまったの。 聞いたお話によれば あの影があるクールなドラキュラは 血を吸うという。 血って…… 他になかったの!? それって蚊じゃないかなあ? 生きている死体だから 人間の命を吸い取って糧にする、 みたいなことなんだって。 …

星花

『チャンス』 いつも見ているはずなのに 今までにないくらい透き通った青色のような気がする どこまでも高い秋空に 白くまっすぐにためらいのない線を引く きれいな飛行機雲。 気持ちよく晴れた 一年でいちばんさわやかな季節の空気を吸い込んで目が覚めるみ…

吹雪

『変身』 もうすぐハロウィン。 良い霊や悪い霊が地上に戻ってくるため 悪い霊におどろかされないように 先におばけの仮装をしておどろかすようにするお祭りです。 霊というのは── 肉体としての生命が消滅した後 目に見えなくなって 天国や地獄へ行ったり 祖…

あさひ

『わおっ!』 ほお ほわあー。 ぽっかぽか── ぽっかぽか。 ずずず…… !? ふわっ!? あわわわっ おば…… ふんばばば! ふー。 にゃーにゃっ♪ にゃーにゃっ♪ わおっ わわわ── わあーお! にこっ♪ (おひさまがあかるいと あったかくてきもちがいいよ。 なんで…

小雨

『シーズン間近』 のどかな日差しと 落ち着いた気分で 空いた時間の隙間には 一冊読み終えたら 次の一冊。 また一冊。 止められないというのも違うけど つい次々と手が伸びている。 忙しくばたばたすることもないとき 退屈そうにしているだれかがいたら 小雨…

観月

『まだら』 雨が降ってもいないのに くつしたもおくつも 白と茶色のまだら模様。 スモックにもぽつぽつ泥が飛んで 蛍姉じゃが見たら頭を抱えてしまうか また涙目になるか やさしくやわらかな顔を寄せて ぬいでね と声をかけ、ひっぺがすかのいずれかであろう…

『寒がり』 ひどく暑くなったり想像をはるかに超えて寒くなったり 極端な天候が続くとき 人の世間話では体調の心配をするそうよ。 うっかりしたら健康を崩しやすいのはまさしくその通りだけど 余計な心配をしているなあっていうか そんなの言われなくっても …

夕凪

『かぐや姫』 ふるいむかしのそのむかし。 月から来たかぐや姫のおはなし。 神秘的なお姫様と 宝を巡るおもしろい物語と 少し悲しいお別れ。 あれってさ いいなあー 女の子の憧れだなあ 夕凪でもそう思うんだからよっぽどだなあ 誰でも一度は 雰囲気にひたっ…

真璃

『たいこたたき』 とんとん たんとんとん ゆかいな音が聞こえてくるのはどこから? 蛍お姉ちゃまのまないたの音かしら。 夕凪ちゃんが新しくひらめいたおもちゃを組み立てているの? それともまさか おばけ!? フェルゼンに守ってもらわなくては! 腕の中に…

星花

『たいへん!』 たいへんなの! 楽しいお出かけのデパート。 みんなで歩くだけでも楽しいのに 深まる秋の連休真っ最中。 家族そろって 今この時期だけのおしゃれな装いをした街を見に行くの。 盛りあがるに決まっているんだけど 盛りあがりすぎて 盛りあがり…

ヒカル

『相談』 過ごしやすい秋の日の連休。 今日はちょっと寒いけど。 でも、みんなやりたいことが多い特別な休日。 朝からかなり優勢だった意見は ショッピング。 なんだけど…… デパートに服を見に行きたい子や 今の時期だからこそ食べ歩きに行きたい子も むしろ…

虹子

『いざゆけ』 みずいろのあめのおとが よなかにしていたよ。 たくさんふるから よくはれた。 くもりぞらのね、 あさからもくもくもくのくも すっかりきれいになくなるってわかっていたの。 きょうははれのひ。 にじこがあそびにでかける おてんきになります…

海晴

『きなこあめ』 思いがけずおいしいものを食べる機会に恵まれて 次の日、鏡の中のほっぺたが心なしかふっくらやわらかそう。 落ちないように支えないといけない気がして手を添えると ぷるんぷるんした感触を認めてしまうの。 健康の維持は毎日の積み重ねが大…

綿雪

『ドライフラワー』 お庭の花がいつもぴかぴか きらきらしていた季節。 暑さにぐったりうなだれても 水をあげれば丸くなった光の粒が散りばめられて いつも見ている人に元気をくれた夏の日々でした。 大きな歓声も つられて開く笑顔も いつのまにかなくなり…

『失われた季節』 くもり続きに覗いた晴れ間には 七色の可視光線およびスペクトル外の光線に変化が現れ 家庭的な感覚を刺激する何らかの成分を発生させるのか 久しぶりに夏が舞い戻ったかのような鮮烈な光が差した今日、 蛍の先導で人々は日当たりのよい場所…

氷柱

『喝采』 今年もノーベル賞のシーズンね。 普段は理解ができないものには興味がないくせに こんなときだけミーハーな人たちが、 って言い方をするとまた海晴姉様に怒られるから柔らかく言い換えると ええっと、ほら、 話題性に飛びつくばっかりの節操のない…

さくら

『ノーベルしょう』 ことしノーベルしょうをじゅしょうした さくらです。 そういうごっこあそび。 ノーベルお兄ちゃんしょうを おうちのかぞくがじゅしょうするのは このまえのお兄ちゃんにつづき みっかぶりとなります。 お兄ちゃんけんきゅうは おもしろい…

春風

『濃霧の森』 白く包み込むお空の神秘的なカーテン。 湿った足元は冷たく 心細くて寂しい気がするの…… いつもより少し見通しが悪いお天気。 春風を育ててくれた大きな街の景色も すっかり霧の中に埋もれて見えなくなってしまう こんな日もたまにはあります。…