『雨のあと』
梅雨が明けたそうじゃ。
これからは良く晴れた暑い日が続くという──
このあいだまでの
いつやむのかわからぬしとしと雨は
もうないということじゃ──
昔から、雨をもたらすのは
竜の神様と決まっている。
そう──滝を登って姿を変じ
雷雲を身にまとう、あのものじゃ。
灰色の雲の隙間からちらりと顔を出して
玉のような瞳を地上に向けたのが
見えた気がして──
子供たちは、濡れるのも忘れて
背伸びをして追いかけた。
あの長い雨の頃は、もう過ぎて行った。
これからは──
また大変になる季節。
かんかんのお日様に
人がかなわないのは
これも昔から決まっていること──
お帽子をちゃんとかぶって
お水も飲んで
木陰でお休みもして──
ちゃんと大人のいうことをきいて
遊ばないと
きっと、困ってしまうぞ。
ごはん抜きになって怒られてしまうのじゃ。
それにしても人々を恐れさせるものは
いつも見上げるはるかなあの
大空からやって来る──
重たい曇り空はいつも
立夏姉じゃや夕凪姉じゃたちが困って
おうちの中でわんわん言って──
早く遊びたいと
窓から、上ばかり見上げていたものじゃ。
今日からすっかり良く晴れて
見上げるのもまぶしい
いいお天気のもとで──
人はどのように
泣いたり笑ったりすることやら。
木漏れ日の差す場所に隠れて
緑の葉に守られながらようやく見上げる
激しい季節に──
やっぱりお天気に振り回されっぱなし。
人間はそういうものじゃ。
兄じゃよ、明日もし晴れたら
暑い中で小さい子たちが無茶をしていないか
わらわと一緒に見に行くのじゃぞ。
二人並んで
手をつないで──
真夏の暑い日を過ごすのじゃ。
これからも、一筋縄ではいかないにぎやかな日々が続くぞ──