2021-01-01から1年間の記事一覧

氷柱

『ありがとう』澄み切った青い空を見上げて吸い込んだ冷たい息で体の中からまっさらに洗われていくような──こんな冷たい冬の日に身を寄せ合って私たちは年越しの日を迎えました。年に一度くらい、こんな日だけは少しくらいのことには目くじらを立てずにちっ…

夕凪

『おせち研究所』ででっででっ今日も鼻歌が聞こえておせちの中身が一つ一つできあがっていくよ!つやつやの黒豆。みんながよろこぶよろこんぶ。でもちょっと待って!本当にこんぶがあるとその一年──すばらしいよろこんぶになるのかな?そう疑問に思ったのは…

あさひ

『のびのび』あれっ!?あばー!もちもちのびーっ!……しゅん…………うん!ふえー!あっばえー!どええーい!もっちっ!ねっ。(みんながたべている おいしそうなやつ! え? あかちゃんは たべたらだめなの? それならしょうがないな…… じゃあ、はやくおおきく…

ヒカル

『星空』暮れるのも早い冬の帰り道──今日も暗い夜空にまたたく星がひとつ灯り、またひとつ──冬の澄んだ空気があの輝く光を地上の私たちに届ける。日が落ちた後と──あと朝が来て暖かくなるまで。遠い彼方まで見通せそうな冷たい空気は、朝の眺めに見る街並み…

さくら

『もちもち』はたしてそれはゆめなのか?それともほんとうのことなのか?さくらのおにくはきのうよりももちもちむっちりしてゆく。たのしいのはねんまつねんし。すてきなクリスマス。さくらはおいしいものをいっぱいたべたな!らいげつのおたんじょうびでう…

観月

『いい天気だ』薄曇りの冬空に冷たい北風。学校で習った縄跳びの飛び方を教えてくれる夕凪姉についていってお庭に飛び出した子供たちみんな、少し我慢してすぐ戻ってしまった。風は生まれたてのように清浄で澄んで真っ白じゃ──お空の上を飛んで人の営みを見…

青空

『サンタさんがきたよ』おもちゃ!ほん!おかし!ふゆのよるがあけると──おうちのなかはなにかがふえている。まだゆめのなか?いや、これはクリスマスのひ!ねえねえ、どうして!サンタさんはどこからやってくるの?みぎから?ひだりから?トナカイにのって…

『たのしもうね』ほしは──光り──今年もクリスマスがやってきます。一年の一度、寒い冬の透き通った空気の中で訪れるやさしく幸せな祝福の日。せっかくだからと願い事ばかりがあれもこれも──いつまでも尽きない。いつまでもわがままな願いばかりが──本当にず…

立夏

『サニデイ』あーあたいへんだ!また立夏が調子に乗ってる。何かといえば歌いだし、うれしくなると踊るしすーぐ大きな声。こんな調子だとまた氷柱ちゃんに怒られるし、オニーチャンの前に出てはずかしくなるし!こまったな。でも、しょうがない。だっておや…

あさひ

『こさめ』つーたったでえい!たったかたとお!あーたん、ばうわあーい!あば!こさめ!こさめーっ!だあーいぶ!あはははっちゅちゅちゅっ。(きょうもげんきな あさひがきたぞ! あさひがげんきだと みんなうれしそう。 やっぱり、げんきなおんなのこが い…

小雨

『長い旅』机の明かりを落として日記を閉じ、長かった一日が終わろうとしています。年末らしく何かとあわただしく、いっぱいの荷物を運ぶ子供たちと楽しいクリスマスを迎える準備──おなかをすかせた子たちや、鼻水が出ているのも気にせず笑い出し踊りだす子…

ヒカル

『氷柱が寂しがっている』今日は日向で過ごすにはいい陽気だったな。みんなの手で庭に運ばれて水をかぶった鉢植えの花も久しぶりに鮮やかさを取り戻した感じだ。日が暮れたら油断はできないし、それに年末にかけて寒くなるっていうから今だけなのかもしれな…

氷柱

『アルンハイムの女王』朝目が覚めて玄関から飛び出して行った子、裏口を出て寄り道して表の庭を歩く子、一日の用事を済ませて帰ってきた子。暖かい部屋の中で飲み物を手にして眺めている子──残念ね。庭の花壇は真っ白な霜に覆われ、裏山の方へ続く緑が茂っ…

吹雪

『イノセンス』世の中は私の知らないことがまだまだたくさんある──クリスマスに限ってみても、この時期の一番の楽しみだとみんなが待っている日であるのに、サンタクロースがどうして良い子のもとへプレゼントを届けてくれるのかも小さい妹たちに説明するの…

観月

『流転の定め』風も水の流れも、大地の形も──時に忙しく、時にゆっくりと姿を変え、とどまらず変わっていくものだ。兄じゃも見たであろう。凍りついた水の流れ、葉を落とした立木、水墨画そのままに何もかもが止まってしまうような冬の世界でも、冷たい風は…

真璃

『大根おろしの秘密』キッチンに立つ女の子は今日も忙しい。そして──新しい歌を覚えた魔法使いのように何かいいものを生み出せそうな期待で胸がいっぱい。見て!これは大根。言わずと知れた冬の食卓を支える頼もしい食材。雪のように白いその肌がキッチンに…

青空

『にげろ』うえからしたからさむいのがおそってくるよ。にげて!さむいのからにげこむおうちのなか、おへやのなか、こたつのなか、おにいちゃんのおひざのうえ。みんなみんなさむいのいけないっていってるね。おそろしいっていってるね。ふゆだからね。おに…

春風

『黄金の腕』日が暮れて、いっぱい遊んだ子供たちがお腹を空かせて帰ってくる頃。楽しかった一日の報告と、毎日するどく見つけてくる新発見。そして──大きくお腹を鳴らす音。さあ、よく手を洗っていらっしゃい。ここから先は春風の腕の振るいどころ。私の出…

立夏

『どっちへ行こうかな?』お姉ちゃんたちに言われるの。ちっちゃな頃から立夏はいつもあっちにふらふら目移りして──どこへ行くのかわからない。どっちへ向かうか誰にも予想がつかない!だから今日も、お庭でおいかけっこをして遊ぶ子供たちは、いつも足の遅…

海晴

『寒い季節は』いよいよ冬も本番。寒さも厳しくなってきた。明日12日から13日にかけて発達する低気圧の影響で天気が大荒れになり、ますます寒くなると思われます!ちょっと目を離すと薄着で遊んで鼻を垂らし、お風呂上りに裸で遊んでいる小さな子供たち─…

綿雪

『このごろ』窓の外から見える景色には、花壇の隅に子供の置いていったシャベル。アヒルの顔が付いているのはさくらちゃんの持ち物なのかしら?ドアの向こうから聞こえてくるのは──寒がりな悲鳴と、うがい手洗いに急ぐ足音。今日も家の中はにぎやかで楽しい…

星花

『長く伸びる影を追いかけて』季節はもう冬。暗くなるのが早い時期。寒くなるのも──日の落ちた帰り道が寂しいのも冬だからしょうがない。夕方になって長くずっと遠くまで私たちよりもあわてて伸びていく影と一緒に歩いていくように──急ぎ足の帰り道です。あ…

『ウィッシュ』最近寒いですね!お兄ちゃん、コーヒーでも入れようか?あったかくしてください。まだ12月に入ったばかり。これからが冬本番だというのにどうなってしまうんでしょうね?おうちの良い子たちはクリスマスを待ちわびて──ごちそうを食べるんだ…

さくら

『まだこない』やっぱりまだだった──ボウルには生クリーム。テーブルによくあらったいちご。たまごのからをかたづけて──ホタおねえちゃん!そろそろ──クリスマスケーキをつくるの?まだなのかな?さくらはケーキがとってもだいすき。さんかくのかたちがかわ…

夕凪

『夕凪はこたつで』あーおなかすいたな。おやつはもう食べた。晩ごはんの時間はまだだいぶ先だ──お姉ちゃんたちは、食べ過ぎは太るし健康にも良くないって言うけど夕凪はまだ子供だしよく食べるほうがいいと思うんだけどな。食べた分動くから健康になる!こ…

虹子

『どっちだ?』さあ、どうしよう。としのくれのころ、かならずやってきてはひとをたいへんなめにあわせるとんでもないやつ。だれもにげられない──おとなもこどももおけらもあめんぼもおうちのなかでおおさわぎ。ねんまつのけはい、みんなでいっせいにおまつ…

『騒動』宇宙の片隅の塵のようにちっぽけな人間たち。誰が知るだろう──どっしりと動じる気配もないこの頑丈な家の中で、嵐のような勢いではしゃいで駆けまわる子供たちによって、目に見えるものはすべて崩壊し、悠久の年月の経過を待たずに塵となろうとして…

『帰り道』暗くなるのが早くなったわね。私も、外でゆっくり電車なんて見ていたらいけないわ──知ってる?12月になって気の早い子たちは片付けを始めたの。大掃除でバタバタするのはもうわかっているもの──余裕を持って取り掛かってみるのも一案でしょう。…

あさひ

『だっばっば』え!えええっ!?うーむむ、うん!だっばだっばまなつ!だっばっばにゃーにゃ!うわーい!(この あたたかさは きっと── まちがいない! さむいきせつは おわっていたんだな。 はだかになろうっと! もう、さむくなることはない── あさひのか…

立夏

『雨が降ったり風が吹いたり』ええっ!?まさか──12月の始まりの一日がこんなにぽかぽかであったかいなんて!これはきっと今年の冬もそんなに厳しくなく、誰も風邪を引いたりおもちを食べ過ぎて太ったりせずにみんな健康に越せる冬がやって来る──予感でま…