観月

『いい天気だ』
薄曇りの冬空に
冷たい北風。
学校で習った縄跳びの飛び方を
教えてくれる夕凪姉についていって
お庭に飛び出した子供たちみんな、
少し我慢してすぐ戻ってしまった。
風は生まれたてのように清浄で
澄んで真っ白じゃ──
お空の上を飛んで
人の営みを見守るものたちも
楽しそうに舞い、
忙しそうな街を喜んでいるよう──
たくましく生きる者たちを
ずっと見てきた神様は、
人が生まれる前から
変わらぬ姿で浮かび、
人の賑わいを見つめると言うが、
ここ数日はその姿を
遠く見かけることも多くなってきた。
いよいよ年の瀬が近づき、
見つめ──守るお仕事も
忙しくなるのであろうか。
わらわも大掃除、
おうちのみんなも年越しの準備。
年賀状にもごあいさつの
手作りのハンコを押さないといけないし、
どこもかしこも
おおわらわ。
あのお空からのありがたい加護で
何事もなくみんな健康に
年を越せることを祈ろうかの──
わらわにいろいろと教えてくれた
やさしいおばあは
人を守る神様のお顔はやわらかい表情で暖かくて
いつも変わりないと言っていたが、
わらわの見た感じでは、
青空やあさひが生まれた年に
見守ろうとしているような福々しいお顔が増えたし、
兄じゃが大変そうなときも新しいお顔を見たし、
風邪ひきの子がいる時期は
心配そうに見守るお顔もあった。
神仏の力も
人々の営みも昔から変わらないが、
毎年ちょっとだけ変化しながら
続いていく様子では
あるようじゃな──
そういえば、最近見かけるようになったお姿は
あでやかでまばゆいようで、
いったい何を見つけて
わらわのおうちへやってきたのであろうか?
子供のわらわには──修行不足でわからぬことばかりじゃ。
今は良い子にして、
おうちであたたかく風邪をひかないように気を付ける
日々の積み重ねが
いちばん大事な鍛錬──
兄じゃの身も、忙しい年の瀬を無事でいられるよう
守ってもらえているぞ──
わらわからも頼んでおいたのじゃ。