夕凪

『夕凪はこたつで』
あー
おなかすいたな。
おやつはもう食べた。
晩ごはんの時間は
まだだいぶ先だ──
お姉ちゃんたちは、食べ過ぎは太るし
健康にも良くないって言うけど
夕凪はまだ子供だし
よく食べるほうがいいと思うんだけどな。
食べた分動くから
健康になる!
こまったな──
夕凪がお腹を空かしている。
たいへん、お兄ちゃん!
このままじゃ
夕凪が死んじゃう!
こたつを出て
何かないか探しに行こうかなって
さっきから考えているにはいる──
でもこの寒さでは
こたつから出たら死んじゃうんじゃないかな?
たいへん! 夕凪が!
それにしても、おうちのみんなは
はたらきものだ──
早い時期からだんだん大掃除をするなら
今年のうちに必ず終わるもの。
なにしろ一か月もあるもんね。
夕凪はまだ何もしていないけど
これでもしも夕凪だけ大掃除が終わらなくて
いつもみたいに泣いていたら
氷柱お姉ちゃんに見つかって
しかられて
たたかれてしまうかもしれない──
たいへん!
夕凪が──まあいいや。
お兄ちゃんも、
こたつはあったかいでしょ?
出たくないよね?
夕凪につかまって
トランプで遊んでいたって言えば
もうみんながわかってくれるし
どこにも行かなくてすむ。
お兄ちゃん、トランプしようよ!
あーそーぼ!
遊んでくれなかったら夕凪はたいくつで
死んでしまう。
あーあ、かわいい夕凪ちゃんがそんなことに。
でも今なら
お兄ちゃんの行動次第で
未来は変わるかもしれないね!
たいへん!
夕凪をたいくつにさせたらだめだ!
今年もあとわずか、
残り一か月。
でもそんなに焦らないで
毎日を過ごす子が
大家族には一人くらいいたって
いいかもしれないじゃない?
個性豊かなのも
きょうだいがたくさんいるおうちの特権。
だったら楽しまなくっちゃいけないよ──
お兄ちゃんがトランプをしてくれたら
晩ごはんの時間まであっという間。
それどころかご飯も忘れるくらい。
そんなおねだりをする子が
おうちに一人いてもいい──
サンタさんを待っている
良い子が多い今だからこそ、
わがままを叶えてもらえる
チャンスかもしれないじゃない?
夕凪は良い子の貯金をしてあるからちょっとくらい
大丈夫だと思うんだ!