夕凪

『おせち研究所』
ででっ
ででっ
今日も鼻歌が聞こえて
おせちの中身が一つ一つ
できあがっていくよ!
つやつやの黒豆。
みんながよろこぶ
よろこんぶ。
でもちょっと待って!
本当にこんぶがあると
その一年──
すばらしいよろこんぶに
なるのかな?
そう疑問に思ったのは吹雪ちゃん。
喜びのもとになるエネルギーは
どこから出て
どう変換されたのか?
また、よろこんぶを食べた年と
よろこんぶを食べない年で
よろこん……よろ……ええと、よろこびのあれこれは
変わってくるのか!
こんぶ巻きが好きな子と
そこそこ好きな子に
話を聞いてみても──
確かな答えは得られなかった!
おせちに込めた
だじゃれの願いは
どれも叶っていくのだろうか?
夕凪は鼻歌を歌いながら、
吹雪ちゃんは
ときどきつられたように
鼻歌にも聞こえる声を出しながら、
おせちは着々と作られる。
来年のみんなの幸せを
約束するみたいに──
ああ、でも
細かい作業だらけ!
夕凪は、みんなで気分転換に体を動かして
お兄ちゃんの手をひっぱってお外で遊ぶのも
おせちを作る工程の一部だと思います。
吹雪ちゃんもエネルギー変換の考察をするとき
ちょっと計算に
入れてみてね。
大きさを比べて庭に書いた丸が十個。
転がした小石の数が、たぶん十二個。
いつもは十歩で歩ける距離を
とんで移動した足跡が五歩。
あとちょっとで四歩!
がんばれば三歩!!
サボって怒られたげんこつの数が一回。お兄ちゃんと合わせて二回。
あしたも
来年の夕凪たちが楽しく過ごせるよう
おせちの準備をがんばるぞ!
あふれる元気の量は──計測中。
年末も
よくあそぼう!