2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

観月

『ちいさなはぐるま』 おもちゃばこを がさがさあさると 底に見つかった どこからか外れて落ちたらしい はぐるま。 おにんぎょうの部品ではなさそうだから くるま? 麗姉じゃがおさがりでくれるでんしゃは 手入れがいいから、そう簡単に壊れるかどうか。 お…

海晴

『マッチョ』 クリスマスが近づく街は 一日ごとに 雰囲気も 熱気も増していくよう。 まだ一ヶ月も先なのにね! とはいえ 休日明けは、ついに12月突入。 その日には いよいよ天気予報のあいさつでも、 せまる年末、 今年最後の月の お楽しみ大イベント、 と…

青空

『おねつ』 おにいちゃん! おでこ かして ちょうらい な! そらは わかっちゃう。 おにいちゃんの かくしごと しってる! おねつ でてたら わかるの! おでこを なでなで すりすり いいこいいこ、 したら おねつ、 だいじょうぶね。 わかるの! のどがいた…

さくら

『およめさん』 おんなのこは大きくなると およめさんになるの。 それでね。 おうまにのって むかえにくる おとこのこは いつか おさむらいさんになるの。 ひげがのびてくる、 ちょんまげがのびてくる。 お兄ちゃんもしょうらい おさむらいさんになる? せい…

氷柱

『ロマンス』 のどかで、暖かだった三連休から 二日続けて雨が続いて さむいな、 ぬれるな、 めんどくさいな、 ぶつくさ言いながら支度をして出かける みんなの顔には それでもどこか うきうきした気配が ストーブに暖められた空気の中で揺れている。 雨の日…

小雨

『ぬいもの』 糸を通した針が 指先で踊りだすと その瞬間からもう ほころびていても なおりはじめる。 お姉ちゃんたちから小雨に、 小雨からちびちゃんたちに、 大事にされていても 服はだんだん くたびれていく。 だけど 小雨の細い指先にかけた魔法で たち…

立夏

『純愛レッスン』 りっかせんせいの ひみつの教室。 最初の授業は 女の子には やさしくしよう! の、方法について。 あれやこれやの ぐたいてきな方法で かわいいリカをよろこばせよう。 大切な授業を たくさんしなくっちゃ。 そのつぎに 教える内容は いく…

ヒカル

『コート』 暖かい日になると 思うのは このまま冬になっても 晴れたときなら やっぱり日差しの下にいれば そんなに寒くもないんじゃないか、 ということ。 むしろ、走ったときや いつもより店を回って歩いたときや 追い詰められたような気がすると じわじわ…

真璃

『てのひらを』 まだまだ 寒いなんて言って 肩を丸めている場合じゃないの。 そりゃあ 雨が降ったらちょっとは これはもう 寒い季節に燦然と輝く宝石のような やきいもや にくまんの 頼もしいおともを引き連れてさえも なかなか戦い抜ける気がしないけど そ…

綿雪

『冬の妖精』 お昼から広がった黒い雲が しとしと雨を運んでくると すぐに寒くなってしまう。 ユキたちの近くに もう、冬のはじまり。 傘を傾けた 帰り道の角から さみしそうにこっちを見ているみたいに。 遊んでほしくて 寒さに赤くなった頬をこすりながら …

吹雪

『ショック』 思いがけない衝撃に襲われて 驚きと、恐れと 一瞬で上昇する体温の感覚を伴って 伸ばした指先を引き寄せる動作。 運動の直後に良く似た鼓動が 瞬間に押し寄せて、コントロールできなくなる。 止められない小さな痛み。 それは── なぞなぞのつも…

『永劫の』 夜は長く ねっとりと這いずる闇に浸され 沈黙に似た金切り声を響かせる黒鳥と変わりない冷気が 星たちの輝きから降りる頃、 指先までを噛み切るような寒さに震えながら 氷の園に広げる小さな慰めは いにしえの堆積したほこりの内から凍りついたイ…

『ごろごろ』 どうかと思うの。 冬の休日は あたたかくして 家の中でごろごろ。 そればっかりでは ちょっと…… まあ、わかるけど。 厳しい寒さは知っているけど。 もう日が沈むのも早くて 気がついたら冷たい風に囲まれている感覚が とてもきついのは 言うま…

星花

『給食着』 白い帽子に 白いエプロン。 ミートソースの染みはどう? 目立たない? 毎日楽しみにして はしゃいでこぼしてしまうこともあるくらい。 しっかりしないと! 星花は もう四年生なのですから! なぜか休日に 給食着を来ているのは うっかりしたわけ…

夕凪

『いってん』 副キャプテン 夕凪。 任命されました。 おまかせ! ゆうなだよ。 やきゅうチームで にばんめに えらい! にばんめに せきにん じゅうだい! ひゃあー、 つとまるかなあ。 まあ なんとかなるか! まほうもあるし! と思って ちょっぴりきんちょ…

虹子

『スキップ』 ほっぷ すてっぷ わあっ! かぜがすごいよー。 さむさにまけず おそとでれんしゅうちゅう。 じょうずになるには しなくっちゃ。 れんしゅう。 おおきくなるには れんしゅうしよう。 ヒカルおねえちゃんがいってた! かったり まけたり ないたり…

『たたかう家族』 あっ、 お兄ちゃん。 これは違うんです! まるで、蛍がつまみ食いをしようとする寸前につかまって ばつが悪い思いをしているかのように見える 手の中に 袋をむいたばかりのチョコレートがあるこのシチュエーションは つまり…… えっと その…

春風

『じっとしていられない』 聞きました! 話してきました! 春風のヒカルちゃんを とらないで! 春風の大事な王子様のこと 責めるのはやめてください! そんなことをしたら 誰が相手だって許さない! あ、話したというのはつまり 夏休みくらいに、たいていの…

あさひ

『じゅー』 おっばー じゅー。 うっばー じゅじゅ。 あーたん、 あんま、 ば! あむあむ。 ぺろぺろ。 んば! おおー あばっば! (おつかれ さまー! れんしゅう おつかれ さまー! あさひが つかれをとってあげる。 いやしてあげる! すりむいたら ぺろぺ…

真璃

『愛の嵐』 興奮してくると 胸の中がむずむず。 あとさきを考えないで 飛び出して行きたくなるの。 もぞもぞ。 天を焦がそうと高く燃え上がる たましいのほのおは あまりにも熱くて 白く、気高く。 左胸の前で指を使って描く 心を込めたハートマークの その…

青空

『おとどけもの』 たのまれたら どこにでも はしるよ。 どこにでも もっていく そらちゃんゆうびん おすすめのおみせ! まいど! あさからすぐ おうちのなかを おしごとちゅう。 ひゃー、 おおしごとだ。 たいへん! そらをよんでいるよ。 いますぐいかなく…

ヒカル

『ぎりぎり』 女の子は 大きくなれば誰でも自然に 美しく女の人らしくなって、 今は苦手な料理や裁縫を 逆上がりが出来るようになるみたいにいつか克服して やがては計算も得意になってお買い物上手に変わり 貯金箱からあふれそうな一円玉で たまにはぜいた…

さくら

『かわいいさくら』 さくらは お兄ちゃんのいもうと。 さんさい。 お兄ちゃんは さんさいのいもうとは すきですか? よんさいのほうがいい? つぎのおたんじょうびがきたら よんさいです。 さくら、おおきくなります。 おおきくなったら こどものころより か…

星花

『作文の宿題』 うーん…… むむむ! と、頭をひねって 腕を組んでまじめに考えるしぐさをしてみても。 なかなかひらめかないのです。 考えたら答えが出るお姉ちゃんたちみたいに そんなとき、ぼんやりして見える蛍お姉ちゃんも まゆをりりしくつきあげる氷柱…

立夏

『新たな命』 オニーチャンは ユキちゃんに愛されている とってもやさしいオニーチャン。 ズボンも ワイシャツも しろいくつしたも ユキちゃんにはちょっと大きすぎて お下がりにはまだ早かった。 いくら欲しくたって パジャマなら少しくらいぶかぶかでも大…

綿雪

『交換っこ』 ユキのあこがれは お兄ちゃん。 妹なんだから ちょこちょこ後ろを追いかけて行くだけでも、 ときどきは苦しくなって立ち止まっても でもいつだって、お兄ちゃんがユキのことを見てくれて 必ず絶対、ユキもそうなるはずの いつも笑顔で、楽しい…

観月

『読書の秋』 彼方まで透きとおる 薄青の秋空。 穏やかに晴れた休日は 何をして過ごしても 心穏やかに。 たまには、おなかがすいたあさひと さくらと 夕凪姉じゃが 声をそろえて泣き出すことがあっても それも含めて 基本的には、のどかな休日。 久しぶりの…

海晴

『冬来たりなば』 凍える季節。 じんじんと体の内側まで染み入ってくるような北風が吹く頃は コートの中で肩を丸めたりしながら、 湯気の立つコーヒーでゆっくり唇を湿らせたりしながら、 霙ちゃんと並んでこたつに入ったり、 まあ、あれはこたつで丸くなる…

亞里亞BDSS

『変幻自在』 ちょうど都合よく、つけたテレビで誕生日プレゼント特集をやっていたから見ていたら 「ふむふむ、好きな人と首輪で結ばれるのが今のトレンド、あなたは拘束したい? それともされたい? 最近はそうなのか。なんでだよ!」 「うん……別の呪術を使…

氷柱

『節操なし』 まるっきり何も考えていないみたいな 頭の中を空っぽにしてばかさわぎをするだけの 本来の存在意義を完全に見失った 名前だけのハロウィンパーティーもどきが ようやく、すがすがしいことに きれいさっぱり終わってくれたわ。 星の降る夜が過ぎ…