『まぶしい真夏の季節』
梅雨が明けて
まぶしい太陽が輝くころ──
おいしいアイス。
涼しげなおそうめん。
わくわくする
楽しそうな雰囲気があふれて
ふと通り過ぎる優しいそよ風も伝えている。
季節はとうとう
夏休みに近づいていく──
もう、頭からつま先まで
夕凪のためにある季節に違いないって
思っているんだけど──
お兄ちゃん、聞いて!
聞いて聞いて!
何しろ暑くなったものだから
夕凪がいつもの調子で
くっついたり近すぎたりすると
みんなが暑いって困るし──
とりあえず毎日うるさくて
暑苦しいらしい。
夕凪はもしかして
夏を生きるのに向いていないのでは──?
そんなことを思ったりもする。
夕凪の季節だと思った
あのテンションは
まぼろしだったのでは──
そのとき、あらわれる
もうひとりの──
われこそは
自分のために夏がやって来たと豪語して
はばからない女。
その名は!
立夏お姉ちゃん。
あつくても
汗びっしょりでも
くっつくし
近づくし
うるさくする──
でも、立夏お姉ちゃんは言う。
悩んだこともあったけれど
アイスはおいしいし
おそうめんは涼しげだし
太陽はまぶしく輝くから
仕方がないのだ──
立夏はそういうものなのだ。
そう言ってはばからない。
夕凪、やぶれる──
夏を楽しむことにかけては友達の中でもいちばん、
だけどお姉ちゃんにはまだまだ及ばず。
やがて──
大きくなるマホウか
流れる時間が
いつか夕凪を立夏お姉ちゃんのように
真夏の娘にしてくれるのか?
それはまだ誰も知らない──
何はともあれ
夏は来る!
夕凪が暑苦しい夏がやって来る!
先にあやまっておくね──ごめんね。
でも──せっかくなんだから、いっぱいもっと楽しもうね、お兄ちゃん!