立夏

『自分だけの宿題』
うわーん!
中学生の宿題は大変だ。
毎日コツコツ進めないと
たくさんあるし──
それに、絵日記みたいな楽しいのは
ちっともないし。
ちびちゃんの妹たちが
宿題宿題と言いながら
けっこう笑顔で向き合っている
あれやらこれやら──
もう大きくなった立夏には
やってこない夏だったと
今になって気が付くのだ。
ああ、色鮮やかな朝顔の観察──
小さな体に大きな画用紙を広げたあの頃。
ラジオ体操を続けて欠かさず並んでいくスタンプたち。
小学生のみんな──
今を楽しむのってとっても大事なの。
もうお姉ちゃんは教えてあげたりする時しか関われない。
わからないことがあったら聞きに来て!
中学校の宿題から解き放たれる時間なのだから──
そんなふうに
思い出話をするつもりで氷柱ちゃんにも聞いてみると
別に禁止されているわけでもないんだから
絵日記だって朝顔の観察だって
ラジオ体操だって毎日すればいいじゃない。
立夏のいつもの元気なら余裕というものよ、
なんだって!
ええーっ、いいの?
立夏が書いた絵日記を
氷柱ちゃんが見てくれて
花丸をくれたりもするの!?
そう──
うつむいて目の前に壁のように立ちはだかって見えた
中学校の宿題があって
気が付いていなかった。
たとえ宿題が大変でも──
立夏は今年も、暑く激しく
胸も燃え上がる灼熱の季節に
ついに夏休みを迎えたということ!
だらだらしたり、たまに奮起したり
思い出をたくさん作る毎日が──ついにやってきたということ。
え、さっきの話は
なにかおかしいって?
別に氷柱ちゃんは絵日記を見てくれるとまでは言ってないって?
確かに言われてみれば──
でも、やっと立夏の目の前に広がり出した
夏休みの景色に比べれば
そんなのは小さな問題だ!
近いうちにちょっといい感じの絵日記帳を探して──
ちびちゃんたちに負けていられないって
胸を張って──今年の夏に向かっていかなくては
それは立夏ではない。
そう──立夏ではない何かになりかけていたのだ!
あぶない、あぶない。
というわけで、真面目にお勉強もしたり他のこともしてみたり
夏休みにもお兄ちゃんに送る交換日記は、いつもより長くなりそうだ──
やっばーい、読んでもらえるのもわくわくしてくるんだ!