『どっきどき』
あのひ、みたのは──
まぶしいぎんいろののはら。
ひろがるゆきげしきに
てんてんとかわいらしいあしあと。
にじのあしあと?
それにしては
ちいさいな──
まあるいな。
はだしのまるいあしあとは
きっと、ねこがあるいたあと。
ここから
そのさきへと
まっすぐに──
どこかをめざした。
それは、ふゆのひのおもいで。
すがたもなく
こえもなく
いきるものをさがした、ほんのすこしまえのこと。
そしていま、
よくふるあめのひに
きこえてきたのは
にゃーにゃー
いうこえ。
ホタおねえちゃん!
ねこのこえがするよ。
ホタおねえちゃんは、カレーをかきまぜて
こたえるよ。
あまやどりかな?
ふゆのあいだに
しずかなねぐらにひそんでいたねこが──
あたたかくて
さんぽにでて
あめにふられた。
ねこたちも
こどもたちも
どんどんあるくみちが
ひろがっていくよ。
それは、いいことをきいた!
カレーのいいにおいを
ふりきって──
かさをさして、みぞれちゃんたちをさそってさがしてみたけど
あったのは、どろのうえにのこる
あのひみたあしあと。
にじこはおもうのだけど──
さんぽして
あちこちあるいて
ねこはなにかをさがしているの?
きっとね──
だいすきなおにいちゃんが
かえってくるのをまって
むかえにいったのかもしれないよ。
ねこだって、おにいちゃんといるのが
だいすきだからね。
おうちにかえると
カレーはついにできあがっている。
あのねこも
おうちにかえって
おにいちゃんと、おいしいカレーをたべているよ。
にじこがきになる
かわいいあしあとのねこだもの。
きっとそうだ。
こんど、はれたら
にじこがおさんぽをして
ねこをさがして──
あるひ、おねえちゃんたちとてをつないで
おにいちゃんをむかえにいくの。
あのひみたちいさなあしあとを
にじこのあとにものこしながら──
それは、きっとかわいいけしきだ。