綿雪

『三月』
うわあーい!
みんなの街に
とうとう
春がやってきた。
私たちの街に
ずっと待っていた
春がやってきた!
お外の日差しが呼んでいるから
踊りながら
走り出すよ!
お兄ちゃんも誘って──
えへへ。
お兄ちゃんはもう聞いた?
夕凪ちゃんが作った
とってもおもしろいお歌。
元気が出て
明るくなって
歌の力ってすごい!
星花お姉ちゃんは
聞くたびに内容が変わるような?
って首をかしげているけれど
いつもいつも──
ユキたちの気持ちを歌ってくれていることは変わらない。
暖かい陽の差す日は続き、
朝晩の寒さは大変だけど──
でも、ここで暮らしている
ユキの家族が過ごす毎日は
もう間違いなく春の真っただ中。
あまりにも
窓の外が明るいから──
手をつないで駆けだすのが当たり前の毎日です。
ユキもみんなと
お歌を歌うの。
揺れる梢に
膨らみかけたつぼみを見つけながら
大きな声ではしゃいで──
お兄ちゃんもお外が気持ちいいと
歌いだしたくなってしまうのでしょうか?
お兄ちゃんのお歌──聞きたいな!
遠くに遊びに行くことはできないけれど
こんな日はどこか素敵なところへ
お花を見に行くときのように
お弁当風のお昼ご飯をみんなで作るよ。
ユキは手を洗って
お皿を並べて、
おにぎりも少しにぎることもある!
あつあつだから
ラップを使ってだけど──
上手にできていると思う?
大人になったら
シェフになるのもいいね!
と──
夕凪お姉ちゃんも言ってくれるよ。
うれしい!
星花お姉ちゃんは誰にでもそう言っているような?
首をかしげているけれど
ユキは今日も
よく歌いながらキッチンにいるの──
聞こえても
あんまりからかわないでね。