『夜のぐるぐる』
きょうの日記のお当番は
さくら。
お兄ちゃん!
たいふうって
知っている?
おおかぜと
おおあめと
たおれた木と
ていでんのこと。
おおかぜがふくと
日記がとばされてしまうし──
おおあめでおそとにいけないと
お兄ちゃんにおはなしすることが
おひるとおんなじおはなしになってしまうし──
たおれた木ででんせんが切れて
ていでんするとまっくら。
なんにも見えないって悲しいの。
さくら、たいふうがこないといいから
それよりはやく日記を書く!
でもねお兄ちゃん。
こわいこわいたいふうは
こわいことばかりのわるものとちがって
いいところもあるよ。
さくらたちのところにお水をとどけるのもおおあめ!
おふろに入れなくなるし
お姉ちゃんたちがコーヒーをのめなくなるし
コーンスープものめなくなるし
ぎゅうにゅうものめなくなる。
たいふうがなかったら
日記を書いて
がんばりましたねって
お姉ちゃんに
ぎゅうにゅうがもらえないよ。
そんなことになったらいやだな──
でも、たいふうでおおあめがふって
おやまのかわからお水がおりてきて
くねくね川になって
落ち葉をのせて──
お水がおうちにとどくまでは
ながいじかんがかかるから。
さくらはみんなのあとのじゅんばんの
ずうっと先の次の日記のときに
あしたの雨のお水をのむ!
だからさくらは
日記のお当番をしたいの。
それにね、さくらね
日記のお当番がやってきたら
お兄ちゃんにおはなししたいこと
たくさんあるんだもの!
さくらは、おはなしをしたいこども。
朝からぽつぽつ雨がふって
おぼうしがぬれて
泣いてしまったことも──
ときどき晴れて
おそとにでたら
すぐにまたぽつりぽつりで
あわててもどってきたことも──
また晴れたらお兄ちゃんとおそとで遊ぶんだっていうことも
みんなおはなしするの。
たくさんあって
まようけれど
さくらはうんうん
よくかんがえて
たくさん書くので
さくらのたのしかったこと
きいて!
さくらの一日の
なにもかも
ぜんぶぜんぶ
きいてね。