綿雪

『手を振って』
甘えん坊のユキは
ただいつもそばにいてくれたらうれしいだけで──
氷柱お姉ちゃんが元気がないかどうかは
よくわからない。
きっと夕凪ちゃんのほうがよく見ています。
でもそんなユキでも
氷柱お姉ちゃんがうれしそうでにっこりしているときは
何度か気がついて──
一緒ににっこりしてしまう。
今日の氷柱お姉ちゃんは
いいことがあったみたい。
お兄ちゃんと──お話をしていたのが楽しかったのかな?
お兄ちゃん、氷柱お姉ちゃんのこと
いつもありがとうございます。
ここまで伝わってきて
笑顔にしてくれるやさしさを
ユキは知っています。
ところでまた
台風が近づいているみたいで
こわいですね……
氷柱お姉ちゃんは台風が来ても何がやってきても守ってくれるって
はりきっているけれど
それでも、海晴お姉ちゃんはお天気を詳しく知りたいたくさんの人たちのために
またしばらく泊り込みになってしまうみたいで
さみしいね。
このあいだの台風の時は
お疲れで帰ってくるお姉ちゃんを元気にしてあげたいと
買出しにいけなくて材料がいろいろないキッチンに集まり
みんなでおにぎりを作って
おなかを空かせて帰ってきたらたくさん食べてくれるかなと
多く作りすぎてしまったので
海晴お姉ちゃんはおいしいよって食べてくれて
とってもにこにこで食べてくれて──
最後はおなかをさすって大変そうだったの。
今度はみんなで相談して、あの時よりもっと
本当においしく食べて欲しいなと
今日はまだ家にいる海晴お姉ちゃんの周りを囲んで
静かに話し合っているのを──
もう聞かれてしまっているような気がします。
海晴お姉ちゃんは大変そうなお仕事をしながらときどき笑顔になるし
お兄ちゃんに、みんなのことをお願いしますってお願いをしている。
お兄ちゃんばかりに無理をさせないように
ユキたちもがんばりたいと思います。
このあいだは大変なお仕事に出かけていく海晴お姉ちゃんを
玄関までみんなが追いかけて見送ったの。
あーちゃんがいちばん一生懸命に手を振って励ましていたような気がするな。
みんなが揃うとあーちゃんもはりきるのかしら?
ユキも今度こそ海晴お姉ちゃんにいっぱい元気をあげられるようになりたい!
何もできないユキがこんなことを言ってしまってもしかたないけど
でも、氷柱お姉ちゃんやお兄ちゃんから教えてもらっていること
少しだけでも届けられるようになりたいです。