『アイラブユー』
夕凪姉が机に向かって
書き物をはじめた場合
その半分が宿題をしているのであり
また、もう半分の機会は──
閃いた瞬間にアイデアを記録しているのです。
なぜそれが確認できるかといえば
宿題の場合は
終わった後に喜んで
宿題が終わったと私たちの手を取って
教えてくれるためであり
記録する場合には
事前にいいことを思いついたと予告し
書いたらすぐに内容を見せてくれるためです。
これらの行動は自室でなくても
同じパターンで行われるのではないかと、
家族の話を聞いていると推測が可能になります。
夕凪姉の行動にイレギュラーが混じるのは
まず第一の場合
家族に明かせない秘密を持ち帰ったとき。
これは書いた直後に
秘密だと伝えてくれること、
見せないと言いながら胸にノートを抱えて逃げていくことで判断できます。
背中を丸めて走るので
動きは遅く──
たまに氷柱姉に捕まります。
我が家では、夕凪姉は隠し事をしないという
共通の認識がありますが
正確には隠し事をしないのではなく
得意ではないだけです。
夕凪姉が特殊な行動をとる
第二の場合は
季節が変わる気配がする頃や
次のイベントが近づく頃、
わき目も降らずに夢中になって
その時が来たらしたいことを
ノートに書き綴っていく時。
行動パターンは変化し
日常生活で書き物をしていると観測できる時間の割合が
誤差の範囲をを超える程度に増え
机に向かう時間からみた宿題の割合が大きく減り
また、ノートの中に周囲の家族から聞いた意見が
大量に取り入れられるという特徴が新たにあらわれます。
そして、大事にしまっておいたはずのハロウィンのノートは
片付けの途中でなくしてしまったと
一言だけ残念そうに背伸びをして
次のノートを急いで書き始めるという
これは──先ほど語った夕凪姉の第二のイレギュラーな行動において
五十パーセント以上の確率で見られるパターンが
今回も始まったことになります。
私もしたいことを尋ねられたので
ハロウィンであっても、食欲の秋であっても
行動方針は特に変わらない、
と伝えました。
いつ、どんな時であっても
心から求める目標は──
私を支え、
愛してくれる家族に
私もいつも愛している──
感謝していると
常にそのようでいる気持ちを正確に伝えること。
とても困難な課題です。
多様な方面の知識と技術を取り入れながら成功に近づいていこうと
考えています。
この方針が変わる可能性は
今のところ考慮になく、
歳をとっても同じ目標を持ち続けていてもかまわないというのが
今の私が夕凪姉に伝えられる全てです。
もうすぐキミのところにも
夕凪姉がノートと筆記用具を抱えて駆けてくるはずです。
君の考えを伝えてあげてください。
なるべく詳細であるほど夕凪姉も喜ぶのではないかと思います。