真璃

『夕日の誓い』
戦い済んで──
潤みつつもしっかりとお互いを認め合った
二人の瞳を輝かせるのは
その奥にあるどんな思いなのだろう。
苦い記憶も、そこで得た経験も
涙の奥によみがえり
今では全てがいい思い出と変わったのね──おそらく。
毎日大きなけんかも小さなぶつかり合いも
付き物のマリーたちの家族だけど
でもお互いの愛は何があっても変わらないと信じているから。
家族ならそういうものだと
自然に思えるようになっていく
毎日の積み重ねには──
そんな衝突も大事なのだと
なんとなく知っている。
マリーはそんな気がするだけなのに
もっと大きなお姉ちゃまたちとなると
すごいのよ。
いつもの海晴お姉ちゃまに泣きながらぶつかっていく
麗お姉ちゃまのじだんだも
困り顔の半分と
なぜかいとおしそうなもう半分の表情。
いつの日かマリーも
妹たちにあんな顔ができるようになるのか──
それはマリーを信じる人たちの
大きくなってからのお楽しみ。
でも、この場合は海晴お姉ちゃまが特にハッスルしてはいないから
命を燃やす戦いというよりは
かわいいだだっこへの包容力のお話ね。
それもいいけど
マリーの前で今輝くのは
卒業証書がわりのメイドカチューシャを付けてあげながら
厳しくしてしまったねと涙ながらにたたえるホタお姉ちゃま。
その目の前で胸を張って誇らしそうな夕凪お姉ちゃまの二人よ。
まるでメイドなんて向いていなかった夕凪お姉ちゃまに
その才能を信じながら
持てる情熱を全て注ぎ込んだ教育。
反発しながらも熱い指導を受け取った生徒が
激しく熱く涙も流した交流を経て
ついに心は一つとなった。
問題があるとすれば
夕凪ちゃんがお手伝いを勉強したかっただけであって
そういえば最初から別にメイドなんて目指していなかったような……
あと、メイドカチューシャなんてホタお姉ちゃまも使ってるところ見たことない……
と、まあそれくらいだけど
暮れる茜色を背負い、言葉もいらずわかりあった二人には
まるでささいなことよね。
ああ、今日が良く晴れてよかった。
なんだか心が洗われるいい景色を見てしまったわ。
明日からはまた天気は崩れて
こんな友情もちょっと横で見る分には物足りなくなっちゃうかもしれないんだし。
戦いの終わりはいつもこんな夕日がいいわね。
魂の揺れる色を映すような輝く瞳と瞳よ!
また寒さが戻ってきたりしたらそれどころじゃないし
夕凪お姉ちゃまの作ったなんか惜しいおかずがこれからも出てくるかもしれないし
フェルゼン、私たちは仲良く体を大事にしていきましょうね。
でも、長い間の一生を共にするから
けんかは……
するかもね!
常日頃から大きくなればいいなぁと願っている包容力で
待っているわね。