真璃

『マリーと一日』
今日も暖かい日でよかったわね!
寒くもなく
暑すぎるわけでもなく。
お外で泥んこになって
帰ってきた子供たちがいたら
すっぽーんと脱がせてぱーっとお風呂に入れて
あとは日なたに転がして一丁上がり。
何にも難しいことはなくていい
のどかで優しい
穏やかな季節。
少し前までは、
暑さでテンションの上がった
夏のお嬢様や
河童や半魚人みたいなプール好きや
汗でできた水たまりの中に倒れてへばった子や
もう気の落ち着く暇もない
エネルギー前回の毎日だった気がするけど
ほんの少しの間に
変われば変わるということなのか──
縁側ではあくびも出るわ
なんとなくお庭を眺めて
気持ちのいい風に──
にっこりするやら。
繕い物がすすむホタお姉ちゃまのそばで
晩ごはんの下ごしらえに
さやえんどうのすじをとって──
こんなふうにあわただしい世界から隔たったような時間が続くと
みんな、苦労もなくて
気楽なのかもしれないわね。
まあ、そんな夢のようなことは
我が家に限ってありえないに決まっているんだけどね!
そうしたら、ホタお姉ちゃまは
ばたばた駆け回ってみんなに振り回されていた
懐かしい真夏のあの日々も、
またあってもいいんじゃないかも──しれないんだって。
そういうものなのかな?
ホタお姉ちゃまはいつだってチャレンジャーね。
山が近いこのあたりだと
最近は、日が沈むとずいぶんと寒くなることも多いから
今夜は野菜たっぷりの
おいしいラーメンでみんなに温まってもらうんだそうよ。
聞いた? おいしいって!
うれしいな!
フェルゼンもうれしい?
マリーだって手伝ったのよ──
ぽかぽかして、力がみなぎって
また真夏みたいに
エネルギーが湧き出す子がいっぱいいたら
たいへんね──
フェルゼンも一応は対処を考えておいてね。
こんな毎日でも──我が家はきっと油断なんてできないと思うわ。