綿雪

『境界』
ああ──
楽しかったバレンタインデーが
終わってしまいました。
今日は、バレンタインデーの次の日。
みんなで協力してチョコ作りをがんばる毎日も
もうないし、
いちばんよくできたチョコを
お兄ちゃんがもらってくれる理由もこれからは存在しない──
別に理由がなくても作っていいし
食べてくれるかもしれないけれど
そこは勇気とかタイミングの兼ね合いになりそう。
ちょっと大変かもしれない。
それにしても、きのうは本当に楽しい日でした。
お兄ちゃんが──おいしいって言って
ユキのチョコを食べてくれるなんてこと、
これからどれだけあるんだろう?
いつも元気なわけではなく
いつもチョコ作りに参加できるとは限らない。
それでも、愛を贈るための日というのなら
お兄ちゃんのことが大好きなユキにも
一生に一度くらいは楽しい日があってもいいと
神様が与えてくれる──
そんな特別な出来事ばかりで
きのうはいっぱいだった気がするの。
それが私たちの
今年のバレンタインデーだったの。
でも、せっかく
神様がお許しになった
ユキにとってのたった一度の日だったかもしれないのに──
楽しい日を過ごしてしまったら
あんなことがもう一回あったら、
何度でもあったらって欲張ってしまう。
こんなユキを見て
神様はいったいどうお思いになるんでしょう──
これからも、お兄ちゃんと
楽しく仲良く過ごせたらなって。
それも──おいしいものを受け取ってくれるくらいすぐ近くで。
それでいておまけに
おいしいチョコも作ってあげられるとしたら
そんな日がまた来たらいいなって
願うに決まっている──
バレンタインデーは終わってしまいました。
日付をまたいで
今日は普通の日。
お兄ちゃん、きのう楽しかったおかげで
ユキはいつもよりはずっと元気でいるような気がします。
本当は、バレンタインデーがまだ続いているのかな?