観月

『季節が過ぎるのは早いもの』
ほんの少し前まで
厳しい寒さに震えていたというのに、
このぽかぽか陽気じゃ。
冬の神様はもう去って行ったのだろうか──
恐ろしい季節を乗り越える人々のもとへ、
無病息災の願いを求められ
小さな灯をともして
助けるためにあらわれる──
そうした存在が、いつもわれらを支えておった。
まだお礼をしていないのに
どこかへ行ってしまったか──
それとも、春が近づくころは
寒い日と暖かい日が交互に来るというから
まだ去りかねてそこらにいるのかもしれぬ。
曇りのない目で探せば
見つけやすいものたち──
冬の妖怪たちは
もっと子供たちに
遊んでほしいだろうし、
そう考えると春のけものたちも
そわそわと急ぎ足でやって来るとしても
不思議ではない──
人を守るものたち、
偉大な力を持つものたち。
季節を巡らせ、
回る時の流れに乗せて
人を踊らせるものたち──
たとえ、簡単に見つからなくても
こんなにいろんな変化が生まれる時期には
多くの石がみんなを包んでいるに決まっている──
わらわが知っている世界は
そういうものじゃ。
あんまり暖かいのがうれしくて
不思議な何かと踊りだし
連れていかれないように──
わらわは兄じゃと、もっとたくさん遊んで
いくら遊んでも足りなくて──
そんなふうに過ぎる冬をときどき惜しみながら、日々を重ねていかねばならぬ。
森の奥より聞こえてくるのは
浮かれた笛の音と明るい声。
これまで一緒に過ごした冬を送り出すうた──
あの不思議な声に負けないように
わらわのおうちも、元気にみんなで春を迎えたいものじゃ。