『そろばん』
ふだんは幼稚園で
おゆうぎやおうたを覚えるちびっ子たちにとって
土日のあいだお世話になる先生は
兄じゃや姉じゃたち。
絵本を広げて美術鑑賞のおべんきょう、
カスタネットをたんたん音楽のおべんきょう。
小さいテーブルに
マリー姉じゃとわらわとさくらが並んで
今日は夕凪姉じゃたちの宿題を教えてもらう場に割り込み
算数の課題を
ひとつひとつこなしていく。
反復練習で力をつけるのじゃ。
お庭で体操を教えてもらうみたいに
だんだんと繰り返すことで身につけたことは
なかなか忘れないという。
こつこつ根気よく挑んで
時間のある日曜日のおかげもあって
たしざん、ひきざんが──
身についたぞ。
小学校にあがってお姉さんになったら
一ヶ月の決まったおこづかいで
おやつを得る、好きな本をえらぶ、
貯金をして文房具を吟味するなども
たしざんができるからこそ。
りんごとみかんの絵を並べて
指折り数えていたちいさいおててが
そのうちすらすらとおこづかいちょうに数字を残す。
今は大暴れでみんなのお顔をぺたぺたするあさひのてのひらも
そのうち、頭を使うときは甘えてすりすりするだけじゃなくて
中身が充実していく。
何にも考えていないように見えたって
知恵をおぼえていくものだから。
お菓子を買うときに
おまけつきを選ぶようになるなど
工夫を凝らすようになるぞ。
買い物の計画を立てている夕凪姉は
それを聞いてはしゃぐ立夏姉の忠告をちゃんと耳に入れていたであろうか?
お菓子のオマケはぴんきりだぞー
だそうな。
経験が実になったらしい、なんだか実感がぎゅうぎゅうつまっている気がすることば。
むだづかいは
後進につながる知恵を育てるならむだではない、
いや、ぴんきりは予想できることだからやっぱりむだかもしれない。
それともこういうのは体験が必要でもあるのだろうか?
おこづかいをもらえるようになったら
わらわはみんなで食べようかな──
などと、使う計画をぼんやりと育てていたら
マリー姉じゃはきっちり貯金して
良いものを選ぶという。
しっかりしているお姉さんじゃ……
計算は大事よ、と怒られた。
マリー姉じゃの算数ノートは
きちょうめんでていねいで
内容は正確。
わらわのノートは
途中で止まった計算式と
さくらを喜ばせたいうさぎの絵。
まあマリー姉じゃにも
こねこの絵。
こっちでぴょーん、
そちらでにゃーん。
さくらのノートは
数字をひとつひとつ書く練習で
こつこつまじめな
根気の後が見て取れる内容。
みんな、がんばったな!
きょうのおやつは
まだおこづかいは未来の夢なので
ホタ姉じゃのところにノートを持っていって
がんばったからいっぱい食べたいとおねだりじゃ。
おてつだいは
エプロンをして
三角巾をつけ
てをあらって
こなをこねこね。
おはしとおさらをならべる。
がんばったから
おやつは甘くて
おいしいぞ!