『街歩き』
春風は知らなかったことばかり──
今年も12月は
冷え込む年の暮れ。
せわしなかったり
お買い物の用事があったり
ときどき、街を歩く時間ができたり。
みんながそれぞれの
楽しい年末を過ごしているそうです。
私たち、勉学に励む生徒たちもそろそろ
がんばってきた一年の
区切りを前にして──
年末年始のお休みを、ゆっくり待っている頃。
学校に長居をする用事もないし
暗くなる前におうちへ急ぐ時、
タイミングが一緒になって
並んで歩く時間も
増えたりして。
今年あったいろんな出来事。
まもなく訪れる来年のおはなし。
帰り道の話題は尽きない──
そして、みんなで歩く街を
輝きに染めている
クリスマスが私たちのところに
もうすぐやって来るということ。
子供のころから
ずっと見ている景色なのに
春風は初めて気が付くの。
私の済むこの場所へ
あなたが来てくれてからのクリスマスが
何か、違うということ──
目に見えるものではないのに
心のどこかでわかっていること。
好きな人と歩く街の景色が
普段と全然違うこと──
世の中に
こんなに幸せな気持ちがあるということ。
春風の気持ちを
どうにかしてしまって
見慣れたこの街にいるのに
遠い、知らない場所へ連れていく。
そんな人がこの世界にいることを──
春風は想像したこともなかったはずなのに
もう、あなたの隣に
いるしかなくなってしまいました。
こんなにふわふわした気持ちでは
手をつないでくれなければ、そうしないといけない気がしませんか?
クリスマスの街並みだから
仕方のないことです。
暮れるのも早い道だから、きっと誰も見ていないもの──
学校の用事も、もうこの時期はまったく何にもないんだもの。
明日もやっぱり一緒の時間の帰り道になるでしょうか。
そうだったらいいな。
暗くなる前に、みんなが待っているんだろうって話しながら
並んで歩く街を──
春風はもう、生涯忘れることはないのです。