『卒園するって本当ですか』
秋も深まり冷たい風が吹くようになってきて
季節はゆっくりと冬へと向かっている。
センチメンタルな気持ちになっても
涙はいらない。
悲しまないで!
真っ白な雪が降る季節のあとは
新しい始まりの頃が必ず訪れる。
その頃にはマリーもとうとう小学生になるの。
立派なマリーも大きくなって
ひとつお姉さんね!
フェルゼンにいいお知らせがあるのだけど
わがやでは小学生になったら
それがひとつの節目で
なんと新しい部屋がもらえます。
いきなり一人部屋は難しいから
観月も少し早く大きなお部屋にやってくると聞いたけど
今までよりも広いお部屋が
マリーたちを待っている。
となれば
自分たちのお部屋を美しく飾りつけて
素敵な人を招待するのもいいし
今までより居心地をよくする工夫をしたら
私たちのフェルゼンがずーっと帰らないでいてくれるかも!
これからはお片付けもお掃除も
お姉ちゃまたちに頼らずに自分たちでやっていくことが
増えるんだろうけど
もう一年生になるのですもの。
不安がいっぱいでもがんばっていかなくちゃ。
さくらや虹子たちを
泣き虫のままで置いておくのは
ちょっと心配なところもあるの。
でも、マリーなら
少しお部屋が離れたって
かわいい妹たちのことを気にしてあげられる。
きっとこれからも──
残さないで野菜を食べなさいって言ったり
くつしたはちゃんとはきなさいってうるさかったりするんだから
マリーの愛は変わらないままなの。
やがてこのまま寒くなったら
どんどん
新生活の準備が始まって
本当に大丈夫なのかしら、
マリーにできるのかしらって
ふるえたりすることや、
まだ知らないことが
新しいことがはじまる
緊張のドキドキに混じって止まらない
わくわくが
たまらないもの!
ああ、寒い季節がやってきて
みんなと身を寄せ合いながら待ち望む
期待の春が近づく予感。
マリーの人生の
一番うれしいことの一つ。
どうかどうか
フェルゼンと一緒に感じてみたいわ。