真璃

『週末の予定』
明日は花の金曜日。
はなきんね!
楽しい週末のはじまり。
フリーな土日がついにやって来るのよ。
女王様もナイトも詩人も旅人もマスターも映画俳優も
まあ、休めるかどうかは人それぞれだけど
うきうきするのは誰もが変わらないの。
なぜかって?
それが週末というものだから!
マリーであるとは女王なのだとそういう感じで
週末って、なんとなくちょっと
いいかんじ!
それで、剣道の部活動があるヒカルお姉ちゃまが
今から予定が入っているくらいで
マリーたちは別にこれといってただちにすることがあるわけではない!
いいのかしら?
誰もが認めるかわいいマリーなのに
おひましちゃって。
とも思うけれど
これでもまだ年長さんだからね。
こう見えても、というか
見た目どおり、なのか
なぜか交じり合わないはずの二つの言葉を
幼くも気高い瞳があらわしてみせている……
あら、自分で言うことではないわね。
フェルゼンもたまには気の利いた褒め言葉を贈り物にしてもいいのに。
素朴で飾り気のない優しさがあるって知っているけれど
たまには。
明日は雪が降るのかしら!
みたいな時くらいはね。
でも、今年はまだ降らないかな?
じゃあフェルゼンがたまにしてくれる特別な愛情表現はまたそのうちね。
きっとよ!
ともあれ明日は期待の金曜日。
週末に備えて
マリーは近くの良く行くレンタルビデオ屋さんへ
おでかけしてみたらいいかなって考えたの。
どうかしら?
寒い時期だから少し遠くへ足を伸ばすっていうのもあれだし
それでもインドア派だってハートは熱くめらめら燃えていたいものよ。
ね?
週末のおすすめ、
絵本を読んでほしい子と
お庭でかけっこしたい子と
お絵かきやおうたでクリエイティブな休日を過ごしたい子と
同じ家族でもけっこう意見は分かれるのがふつうなんだけど
マリーの気分は映画なの。
ハッピーエンドがいいわね!
夕日に向かって一人の背中が遠ざかっていくやつじゃなくてね!
ううん、そういうのもありだけど
なんかこのごろ白い季節はしっとり落ち着いた空気って感じがして
かさかさ乾燥注意の季節なのに変なの。
そろそろ飽きてきちゃったなあと思って。
だからちょっと目先を変えて
今の二人の愛を新鮮な気分で受け止められるような
スケールは大きく
ちょっと見たことない秘境の雰囲気も感じさせつつ
わーっと旅して
がーっと盛り上がって
ほろり泣いたら
最後は笑顔!
みたいなね。
あるでしょ?
マリーがまだ見たことのないのがいいわ!
あんがいレンタルを選ぶときの紹介文って
びみょうに期待していたのと違う気が? とかあって
そういうときのためにいくつか選んで数に頼る手段もあるものの
マリーの乙女心はなんだか
みんなで行ってわいわい選んで
これだ! と決めて
はずれだったらまあそれはそれで!
みたいな
そんな金曜日を迎えようとしているわ。
フェルゼンはどう?
その気になってきた?
リビングに広がる冒険の地、
お気に入りのクッションにもたれたまま
運ばれていくハラハラドキドキのジェットコースター。
どうしようかなーって迷っていたら
短い週末なんてあっという間に過ぎ去って
気がついたら寝て過ごしてしまって
マリーがその横にずっといて添い寝してあげることになったら
いつでもどこでも、なにをしていても
ふたりはひとつ!
マリーひとりで盛り上がってしまうじゃないのー。
やだやだ!
フェルゼンと一緒がいいの!
同じ映画にときめいて
自然に寄り添う肩と
近づき、触れ合っていく気持ちが強くなっていく心。
ふああ……
はしゃいだからマリーはおねむなの。
フェルゼンに絶対楽しいスケジュールの立案を任せるわ。
だいじょうぶ!
だめだったらだめだったで、何事も経験よ。
週末は短いけれど
わりと人生は長い!
マリーはいつでもそばにいて、寄り添っていてあげる。
目の前のスクリーンに映る景色がどんなものであったって
結ばれた二人の指先が離れることはないの。
じゃ、後はよろしくね!
フェルゼンなら優しくそして鮮やかにマリーを満足させてくれる気がするわ。