真璃

『アイラブユーをあなたに』
しとしと雨と
忍び寄る寒さ──
秋が深まり
物思いの季節だけど
フェルゼンは、寂しい思いを
していない?
みんなが大好きで、
愛してると伝えたくてたまらない
私たちの素敵な人、
心から思うマリーのフェルゼン──
それなのに
もし、一人になった時に
冷たい風が胸を吹き抜けて
おそろしい思いをしたら
たいへん!
たいへんだわ!
暖かい上着もかけてあげたい──
でも、マリーはまだ子供だから
フェルゼンのために何ができるか、
本当にしてほしいことをしてあげられているか
わからないわ。
おやつを分けてあげるから
一緒に食べましょうでは
こちらがおねだりをしているみたいになってしまうし。
春風お姉ちゃまに出会って
フェルゼンのために何かできることはないかしら、
と聞いてみたら
お姉ちゃまになってもわからないから
そんなに全部をしてあげたいと思って
あわてなくても
いいんだって。
なーんだ、そうなんだ。
大人になったからといって
なんでもわかるとうわけではないのね。
って、それじゃあ
いつまでたっても
フェルゼンのためにできることが見つからないじゃない!
いけない、このままでは!
マリーはやるわ。
誰にもできなかったことでも世界で初めて
フェルゼンが心から望んでいることを
見つけ出す、
愛の研究者になってみせるわ。
ちかいうちに──
フェルゼンがさみしがらないうちに。
それにはやっぱり
学問の基本通りに
観察し、
仮説を立て、
実践ね!
マリーは、フェルゼンは頬にキスをするとうれしそうに見えるの。
さっそく試してみなくちゃ──