『ディア・ネクストシーズン』
ひゃー
さむいさむい
あめのひはさむい!
じゃあ
せっかく寒くなったことだし
ここはひとつオニーチャンに
抱きついても怒られないということにしてみよう!
それ
むっぎゅー。
……
ああっ
それにしても
こんなに寒くなると
ついに夏が終わってしまった感じ!
9月ももうまもなく終わり!
もったいないなあ──
楽しかったのにぃ。
まだまだぜんぜん
暑い中で遊び足りないし
水着でプールにも行きたかったし
冷たいアイスも
盆踊りも
太鼓の音も
花火のひらく大きな音が
体をずーんと揺らして
リッカが椅子から少し大きいおしりごととびあがるのも──
ちっとも足りてないの。
買い込んだ花火もまだ残っていた気がするなあ──
お祭りの焼きそばとたこ焼きは
はしと入れ物だけ残してあるし──
えっ、これはごみが捨てられないだけ?
ううん、思い出なの!
思い出すソースの匂いと
夏の夜の気持ちのいい匂い。
月が明るく照らす夜にずーっと
手を離さないで歩いた思い出。
こう──
こんなふうに──してたかな?
むぎゅー。
ぐぅー。
……
さて。
買っただけでまだ着ていない夏の服もあるのに
もうだめなんて──
寒くなってしまったなんて──
ざんねんだネ!
スレンダーな氷柱ちゃんとはサイズが違うし
小雨ちゃんと麗ちゃんは好みが合わないみたい。
こまったなー
来年にはリッカ、スタイルがよくなって着れないかもしれない。
あ、でも
オニーチャンの服なら多少ぶかぶかでも
そういうファッションに見えるかもしれないし。
暑くはないけど寒すぎるほどでもない日が来たら
重ね着するには
オニーチャンの夏服……
いいんじゃない?
ほらほら
出して出して!
オニーチャンはリカにおさがりをあげるの
ちっとも嫌じゃないって言ってくれると思うの。
だから
あげる服がないなんて
絶対ないわけがないの!
いま着てる服を奪われて
寒い思いをしたくなかったら
いまのうちだヨ。
あ、でも寒かったら
今度はオニーチャンのほうからぎゅーってしてもいいんだよ。
怒られない!
リカがきめた!
あーあ
夏が終わったら
あったかーいこと
これからいっぱい探さなくちゃ!