春風

『春風の探し物』
今日もさくらちゃんは
お兄ちゃんの後ろを
ぱたぱた追いかけるので忙しい。
急に熱くなったり寒くなったり
日々の気温が
落ち着かないこの頃──
心細くって
お兄ちゃんを頼りたくなってしまうのかな?
それとも、ただ
わけもなく──
お兄ちゃんが好きなだけなのかもしれません。
さくらちゃんには、やさしくてすてきなお兄ちゃんがいて
いいな!
──
もしかして、愛しの王子様は
春風が──
自分にも、お兄ちゃんがいたらな!
この人が春風の頼もしいお兄ちゃんだったら
どれだけ甘えてしまうことだろう。
なんて考えたかもしれないと
思ったかしら?
そして──
春風、やさしい王子様を
困らせてしまったかしら。
春風のお兄ちゃんには
なれないよって──
まったくもう!
春風ったら悪い子ですね。
こんなに愛している王子様を
困らせたりするなんて。
いけないな!
でも──
困らせるのをやめろと言われたって
簡単じゃないし、
好きな気持ちを胸の中だけにとどめておけなくて
ついついわがままな気持ちが
漏れ出してしまいそう──
なんとかして、
深まる秋が原因ということにするか、
急に戻ってきた暑さのせいにして
罪を軽くしてもらえないだろうか?
でも──
こんなに好きな気持ちを
ごまかしてしまうのも
切ないな──
今日は、一生懸命にお兄ちゃんを追いかけたさくらちゃんだけでなく
ぼんやりしていても汗ばむような陽気でした。
あなたも体には気をつけてくださいね。
春風は──
あなたのことを思い、あなたと目が合うだけで元気がみなぎるので
きっと、これからも大丈夫です。
このあふれる気持ちを分けてあげたいのに──
どうしたら思いが伝わるのか
あなたが私のお兄ちゃんだったら──こんなふうに春風が悩むときも
答えをすぐに教えてくれるのでしょうか?