バレンタイン01:01くらい

・蛍
蛍がお兄ちゃんにあげられるもの
なにがあるだろう?
いつもいつも考えています。
目を閉じて
蛍が幸せな夢を見ているときも。
まぶしい景色に
目を離せないでいる毎日だって。
むずかしいことを考えるのが苦手な蛍なのに
答えが出ないようなことを
いつまでも続けてしまう。
お兄ちゃんがいてくれると、蛍も楽しい。
お兄ちゃんが喜んでくれたら
蛍はたぶん
お兄ちゃんよりも、もっと。
いっぱいもらったうれしいことを
お返ししたくて仕方がないのに
蛍はどうしても
何も思いつかないみたい。
お兄ちゃんは
どれだけたくさんのものを、贈ってくれただろう。
おぼえてる?
蛍が毎日うれしくて見せてしまう笑顔。
機能も楽しかった。
お兄ちゃんに
チョコ、あげられるんだ。
わくわくしたの。
胸が弾んで止まらなくなる。
このまま一生
蛍は、お兄ちゃんに聞こえそうなほど激しい鼓動のままなんじゃないか?
お兄ちゃんがそばにいると
ほほが染まる笑顔。
蛍が今まで生まれてから一度も経験したことのない
幸せな表情を
たぶんお兄ちゃんに
ありがとうの気持ちを込めて贈っている。
今日の蛍は、どんなだっただろう?
いつもお兄ちゃんがいてくれてうれしい気持ち
伝わっていた?
バレンタインに
大好きな人にチョコをあげようって考えているときの心臓の音、聞こえていた?
今年、蛍が
お兄ちゃんのために一生懸命心を込めて、
ときどき、
これだけじゃあ届けられないかもしれないなって
不安に一瞬手を止めてしまっても
またすぐ、勝手に動き出して
作り出してしまった
愛のかたまりは
今年は、シンプルなハートのチョコレート。
だって本当は
蛍のなにもかもをラッピングしてあげたって足りないよ。
きっと蛍は満足しない。
まだまだ
ぜんぜん!
どうも、悩みすぎると
ええいもう!
こうなったら
迷わず突進あるのみ!
単純な子なので。
げんきがとりえ。
もしかして、我が家の子はみんなそんなふう?
思慮深い子も
いるよね?
とにかく蛍は思慮深くないタイプ。
お兄ちゃんにあげたいもの
考えてみたら
喜んでもらえるかどうかは
ちょっと自信がない
ちっちゃい蛍の
なにもかも。
生まれてきてから今までと
これからお兄ちゃんと過ごす毎日を
みんな残らず
受け取ってもらえたら
できること全部で
もしかしたら。
蛍はいつか
これだけの
年月があったからこそ!
と、ちょっとは満足して
お兄ちゃん、
蛍はやったよ!
胸を張った笑顔を、見せられるようになる?
このチョコは
まだお兄ちゃんがいなかった
今思うと、なんだか物足りなかったバレンタインの
準備万端、最初の年に作った
蛍の一番最初の
夕凪ちゃんが苦労して作ったみたいな。
もしかしたら
もっと、大変な思いをして
何度も投げ出しかけながら作ってみたチョコと同じもの。
ここからはじまる蛍の全てを
お兄ちゃんにあげたいの。
それと、これから毎年
ずっとお兄ちゃんといる蛍の
毎年のチョコレートを、
積み重ねていくバレンタインを
いつもいつも。
お兄ちゃんの幸せになるように
蛍はこれからも
迷ってよたよた
お兄ちゃんのそばで、いつも笑顔で
歩いていきます。
そんな約束ができたらいいな、
という思いを込めました。
チョコ弁当も考えて
イデアは少し夕凪ちゃんにも話したんだけど
結局、こうなったみたい。
もし、お兄ちゃんが
チョコがほしくてほしくてたまらない!
ものたりなかったら
安心してください!
今日、みんなの楽しい
おおもりあがりバレンタインになるように
蛍が作ったばんごはんのごちそうは
どれをとってもチョコとのブレンド
変わり種餃子がたくさんです!
いちごチョコ餃子はスイーツみたいにして食べられるし
おかずもいっぱい
あんがいチョコに会うのが入っていると思うの。
何が入っているかはお楽しみの、
チョコだらけびっくり餃子だらけのごはんを
ホタ、家族みんなの顔を思い浮かべて作りました。
特にお兄ちゃんにたくさん食べてもらえるように
幸せな顔をして
一日かけて作り上げました。
あ、たぶんチョコアイスも
麗ちゃんに先を越されてしまったけど
蛍だって考えないではなかったんだから!
とけないうちにたくさん食べてください。
蛍の気持ちは
これからも、いつまでも溶けたりしないよ。
というかもう、今でもすでにどろどろに
ものすごい温度になっているよ。
お兄ちゃん。
今年も来年も
これからもいつまでも
愛情いっぱいの蛍は
蛍はお兄ちゃんとバレンタインを過ごせて幸せです。
・春風
くすんくすん。
春風のアイデアチョコ。
蛍ちゃんに先に出されちゃった。
もう、おどろかない?
だってあなたの目の前には
どんどん並んで
みんなのおなかを幸せいっぱいにしてもなお
いまだに衰えを見えない勢いで
おいしそうな湯気を出している
テーブルの上の餃子。
ああっ!
蛍ちゃんが自分一人で作りたいって
今日一日、精魂込めていたのは
これだったのか!
チョコとんかつ餃子は
いがいとあり。
でも、やっぱりチーズがよく合うみたいだな。
おかずにもなりそう?
でも、予想外はどこにでもあって
おとしあな!
ごはんとかきこむ
いちごチョコ餃子!
ヒカルちゃん、
甘いもの苦手なのかな。
そういえば、せっかく作ったチョコ
まだ渡してないんですって?
ヒカルちゃんは変なところで遠慮がち。
家族だからいいのに。
照れなくても。
春風なんて
春風なんて
うえーん!
蛍ちゃんより作ったのは先だったのに!
それはもう遠慮しないで
全力投球!
してしまったんだから。
なんども。
プリンだって
エクレアだって
ブラウニーだって
ティラミスだって。
この世界にある
ありとあらゆるチョコレートメニューを
残らず愛する王子様の前に並べたくて。
放課後のキッチンはかわいい小さな妹たちでぎゅうぎゅうで
入り込む隙間はなかったんだけど
春風はお料理番。
おうちの家事を知り尽くして
キッチンに誰もいない時間。
朝早くから
夜遅くまでかけて。
王子様、春風の目は赤くなってなかった?
だとしたらはずかしくて
はずかしくてうつむいてしまう。
だけど、
はずかしくても止まらなかったんです。
たとえ真っ赤な目をしたうさぎみたいで
春風が心配をかけてしまうことになったとしても
あなたと見つめあう時間はなくしたくない。
目と目を合わせて
叱ってください。
春風は
作りに作ってしまいました。
多すぎる?
途中でいっしゅん、正気に戻ることもあったけど
春風があげたいものは
この世界にある
あなたが教えてくれたすてきな全て。。
触れ合う時間と
テーブルの上に並べるメニューと。
春風が見せてあげたい
おいしくて、うれしいものたくさん。
あなたはもうとっくに、それがどんなにすばらしいものか
知っているかもしれない。
二人でテーブルの上を見つめたときも
一緒に食べたいねって、お料理の本を見つめて話したこともあったことを
あなたは覚えているでしょうか。
春風は忘れません。
王子様に教えてもらったものばかりなんです。
あなたがいる時間がどれだけ春風にとって大事な瞬間ばかりだったのか
春風の全力で
見せてあげたい気持ち、
わかってもらえるでしょうか。
だめ?
甘えすぎかもしれません。
お姉ちゃんなのに
春風はいけないんです。
でも、春風は
わがままだと怒られても仕方ないけど。
わかってもらいたい。
春風の世界が、あなたのおかげで
どれだけ色鮮やかに広がったのか。
おいしいチョコのとろける味が
本当は、二人でいるとどれだけ深いものなのか
春風に教えてくれたのは
あなたと過ごすいつもの毎日です。
バレンタインに
お礼をしたい、
と思っていたのに
張り切ったら
春風、迷惑をかけてしまうかもしれないことになったし
蛍ちゃんもやっぱり
王子様に食べてもらいたい、
今までの気持ちを全部
それでも足りないくらい
あなたに受け取ってもらいたい!
王子様も人間だもん。
春風が世界で一番愛しているひと!
おなかには限界がありますよね。
あの、
無理であれば残しておいてもらえれば
日持ちのしないものは
春風は自分で
泣きながら食べます!
お姉ちゃんとして
せめて
できることをしなくっちゃ!
春風がお礼を言いたかった
王子様の愛しい全部。
いいんです。
これから毎日
伝える機会はあると思うから。
春風はまた、
キッチンの空いている時間をみて。
今度は約束して
王子様を誘うつもりだから。
本当は
世界中のチョコレートを集めたって
春風の気持ちは、これだけじゃない。
ちょうどそう思っていたところです。

・あさひ
あーたん
あおっば
おーうっば!
びゅわ!
んばー
じゅるじゅるっば。
じゅばるっばっば
あお、
ぬわーっ!
むぎゅっ、
ぶっちゅー!
おにーちゃ!
(あさひはまいにち
 おいしいものたべてるよ。
 おかゆ
 おうどん!
 おにいちゃん!
 おにいちゃんがおいしいチョコ
 やまにしてたべまくりでも
 あさひのおすすめにはかなわない!
 おにいちゃん、
 あさひのあいをこめて
 おいしいものあげる。
 くちうつしでうけとめて!)