『春の名残り』
ふわ
ふわあ──
蛍ちゃんのお茶会は
春が過ぎていくのを
惜しむ子が集まるみたいに──
穏やかで、
あたたかく──
席に着いた子は
安心して眠る子供たちみたいに
まぶたが重たくなるという。
あんなに待ち望んでいた
楽しい春は
そろそろ次の季節を迎えて
交代の準備を
そこかしこに見せている──
もう、楽しみにタンスから出して
みんなと遊ぶ時に来ていた
動きやすい春物も、
汗ばむ気温になってきた。
こんなときに
おなかいっぱいになったりしたら
それはもう、
むにゃ──
せっかくみんなと
お話ができるタイミングだっていうのに。
こんなにゆっくりした時間に
いつまでも一緒にいていいって
そんな気がしてくるくらいなのに。
もったいない気もする。
贅沢な時間の使い方だとも思う──
これからの季節も
みんなといられるんだもの。
でも、もっと
今だって
花が開く
甘い香りのする日々を
あなたと──
ゆかいなお話も、まじめなことも
今までになかったような経験も
何度も繰り返して
笑ってしまうような話題だって
続けていたいのに。
ふあ──
なにしろ──のんきな海晴のこと。
そんなに、新生活に疲れたって気もしないんだけど。
もうすぐまぶしい緑が目を射すころ。
色とりどりに開いた輝きが
あっちこっちへと向かって
駆け巡っていくような──
激しい季節を
あなたと迎えるの。
目を閉じて、また起きた時に
一緒にいられると信じているんだから
そう、だからきっと
こんなにやさしい時間の中にいたら
よく食べて、またゆっくり体を休めて明日へと備えるべきだと
まだ薄く差し込む光がそう教えているのだと──
ぐうたらするのを正当化してしまいそう。
ふふ──また、こうして集まって過ごす時間が重ねていけるといいわね。
なにしろ海晴はすぐのんびり──ぜいたくな時間の使い方だって大好きなんだもの。