バレンタイン2023

・春風
あの日──
ずっと前のことのような
それでいて、きのうのことみたいに
今でも思い出せるような、
あなたが私たちの家にやって来て──
あれからずっと
頼もしくて、かわいくて、
愛しいあなたは私たちの家族の真ん中にいるの。
いつもあなたのことを思うのを
やめる時はない──
この思いを伝えたくて、
私ではあんまり──上手にできるかわからないけど
でも、どうしても、やらないわけにはいかない気持ち──
私をこんな気持ちにさせるのは
これまでもこれからも
永遠にいつまでも、あなた一人だけ。
私の愛する人はただひとり──
この家族の、優しいみんなの王子様ひとりだけ。
今年も、いつもの感謝の気持ちと
変わらない愛の誓いをあなたに届けます。
少しでも喜んでくれたらうれしいです──

・真璃
お姉ちゃまたちは
心からの贈り物を
喜んでもらえるかどうかって、いつも心配らしいの。
不思議ね!
家族思いで、みんなのことが大好きなフェルゼンが
喜んでくれないはずはないのに!
愛しい人はただひとりで、
ただひたすらに愛を届けたい気持ちが
いつまでも変わらず、
心の中でいっぱいで
おさまらないことだって──
ずっとずっと変わらないのが
何にも疑う理由のない、当たり前のことだっていうのに。
前世から同じ人を愛し続けるマリーでも
そんなことはわかっているのに。
大人になると、あんなふうに
面白い考え方をして不安になったりしてしまうのかしら?
だとしたら、今のうちに思いっきりフェルゼンに
心から甘えておかなくちゃ!
私のフェルゼンも、大人だとあんなふうに思うのかしら?
それとも、男の子だからもっと簡単でわかりやすかったりするの?
そして、マリーのプレゼントをどれだけ喜んでくれるのかは気になるかな──
大好きなフェルゼンのこと──もっといっぱい知らなくちゃ。

・さくら
さくらは、ちょっぴり
心配が多いほうかもしれないの──
だって、お姉ちゃんたちより
おりょうりがへただから。
ハートに作った
チョコレート──
おいしくできたかな。
あじみしたらいいかな?
でも、あじみをしたら
チョコはなくなってしまうの。
さくらのチョコの、上手にできたのは
そんなにたくさんではなくて
しかもさくらはくいしんぼうだから。
もっといっぱい
チョコがあったらいいのにな。
それで、お兄ちゃんといっしょに
チョコばっかり食べるの。
いっしょに食べたらおいしいねって言ってくれるよ──
バレンタインなんだから、たまにはそういうのもいいのにね!

・綿雪
最近、寒い日が続きますね。
お兄ちゃんはお元気ですか?
ユキはときどき、お部屋で休まないといけなくて
お兄ちゃんに会えない日があるのが寂しいです。
早く暖かくなるといいのにね。
会えない間は──お兄ちゃんには元気でいてほしくて、
今日のチョコも
そんな思いを込めて作りました!
ちゃんと、おいしくて元気になるチョコができたか
自信はあまりないけれど──
ユキはいつでも、お兄ちゃんのことを思っています。
できるときは、いつも一緒にいられたらと思います。
それから、お兄ちゃんが毎日楽しく過ごしていられたらと、
そのお手伝いができたらと──願っています。
楽しい日のお話を、ベッドで聞く時間をいつも楽しみにしているの。
今日がお兄ちゃんの一番いい日でありますように。
ユキにとっても──心を込めた贈り物を受け取ってもらえる
うれしい日でありますように──

・蛍
バレンタインの熱気いっぱいでも
寒い日はときどきあります。
蛍のお料理で温まっていってくださいね。
今日はチョコフォンデュで
家族のみんなに
おいしく楽しく栄養をとってほしい。
そしてお兄ちゃんのことを思って作ったので
誰よりたくさん食べてほしい!
そんな蛍のわがままな思いを込めたお料理、
今日はおいしく食べてもらえそうですか?
明日も明後日も
その先も──
来年のバレンタインも、そのまた来年も
お兄ちゃんのそばで
支える蛍でありたい──
と思っています。
きっとその時の蛍もわがままで
お兄ちゃんにおいしいものを食べてほしい気持ちで
いっぱいなのでしょうね──
今からでも、わかってしまいます!
これからもよろしくね、お兄ちゃん。

立夏
わ!
立夏が一年で
いちばん盛り上がるかもしれない日が来たよ!
こんなにゆかいで
わくわくすることがあると──
バレンタインなんて毎日でもいいって思うよね!
勇気を出して
好きな人に気持ちを伝える日──
男の子はいつも
大好きな人に、好きだって言えるんでしょう!?
それなら──
女の子でも関係なく好きだって言えるように
立夏が大好きな人に向けて
毎日続けて行かないといけない気がするな!
でも今日は──
これが毎日の好きの始まりで、
勇気を出した贈り物。
ハッピーバレンタイン!
だーすき、オニーチャン!

・麗
聞いた話では
この時期はとっても楽しいイベントがあって
女の子はみんな夢中になるというの。
私が知っている2月14日とは少し違うわね。
でもまあ、
普段からお世話になっているし
たまには迷惑をかけたり
好きにやらせてもらっているのも確かだから──
感謝を伝える日があるというのは
まったく意味がないわけでもないのかもしれないわ。
というわけでチョコレート。
手作りなんて、日頃のキッチンでのお手伝いで懲りているから
買ってきたものでいいわよね!
自分用に買い足す分も選べるし。
というかむしろ、自分用が本番──
まあ、なんだかんだ言ったけど
せっかくあげるんだから不満はなし、でよろしくね。
いつかはもっといいものをあげられるようになるんだって
みんなは言うの。
私が知っている大人になってからの予定とは少し違うけど、
まあ、一応考えておいてもいいわ。

・氷柱
ところで
あなたは──
もしかして私からバレンタインチョコがもらえるなんて
期待しているんじゃないでしょうね。
何事もないかのように朝に渡すか、さらっとお昼に渡すか
せっかくなんだから夜までタイミングを待つのか
悩んでいるなんて考えていたりはしないでしょうね。
まあ、タイミングっていうのがよくわからないけど──
これは私だけじゃなくて他のみんなも同じみたいだし──
それで、ずるずる渡せなくなって焦っているなんて
勝手に想像して──
自分から話題を振って渡しやすくした方がいいのでは!?
なんて、屈辱的な想像までされているとしたら──
まあ──
おねだりする分にはかまわないけど!?
別に、渡すタイミングを探しているとかそういうことは全然ないけど、
あなたの顔を立てる形でそういう渡し方をしてもいいわよ。
それなりに形になるようには作った
手作りチョコを渡すくらい──私にはなんてことないんだから。

・霙
どうやら──
いつもよりも家の中がにぎやかで、
明るい声が聞こえるのは──
やはり、私たちの家に男の子である
オマエがいるからに違いない。
チョコレート一つで一喜一憂、
添える言葉で悩んだり──
乙女心というのは
表に出ている部分を観察するだけで複雑なものだ。
この騒ぎの中にいては
どうも、はしたなくなりすぎないように
年上として様子を見ている立場があるから
そんなにはしゃぐわけにもいかないけれど──
楽しそうなのはいいことだ。
年に一度くらいは、多少うるさいのを
大目に見る日があってもいいかもしれない。
それに──大事な気持ちを伝えようというのだからな。
むしろ応援するくらいでかまわないだろう。
ただ──
そのおかげで、私が今すぐに
オマエのところへ行けないのは不公平だと思うから──
私も、多少のことは大目に見てもらってもいいだろう。
むしろ応援してもらってもいいくらいだろう。
ああ、バレンタインデーはこれからだな──

・夕凪
夕凪の毎日には
チョコレートが必要だ!
こんなにいいものを──
大好きなお兄ちゃんにあげられて、
もしかしたら喜んでもらえて、
可能性の一つとしては
一緒に食べようなんて言ってくれるかもしれないと思うと
テンションが上がって
今年一番に
どきどきする!
昔の人は、いいことを考えたものだ。
まさかチョコレートの贈り物なんて──
でも、お姉ちゃんたちは
チョコもだけど他にも贈りたい
いつも伝えたかった感謝の言葉や──
心を込めた思いがあるらしい。
夕凪にもあるかな?
チョコレートの匂いで盛り上がって
気が付かないだけかもしれないな──
これは、お兄ちゃんによく聞いてみないとわからないな!

・観月
むむ?
みえる!
家の隅の暗がりに、
物置の奥に、
時にはみんなの頭に乗って
かわいくちょこんとよりそう
あのものたち──
ちょうど、キュウビがしているようにじゃ。
日頃見たことのなかった奇妙なものが
なぜかここ数日になって
あわただしく動き出し、
バレンタインにはついにそこらじゅうに飛び出して
さわいでいる。
わるいものであろうか?
そんなふうにも見える──
人を襲うのであろうか?
そんな様子はあまりないな──
ともかく、兄じゃも気を付けよ。
あれをみているとなんだか
胸騒ぎがして、
お顔がぽかぽかして
頬がほてったようになるのじゃ。
まるで、愛しい人と過ごす日を
祝福するかのような──
ところで、兄じゃにあげたいものがあっての──
わらわのそばにいて
ゆっくりよくかんで食べるとよいぞ!

・虹子
チョコをあげるなら
おしゃれはかかせない。
だって、おいしいものを
あげたなら──
そのときのことをおぼえていてほしいんだもの!
こっちの
ふくかな──
おにいちゃんが、よくほめてくれたの!
それとも、
こっちのあたらしい
きれいなふくも──
うえーん!
なかなかきまらないと、
おにいちゃんにチョコをわたしに
いけないよう!
かがみよかがみ──
そしてかわいくつつんだ
こころのこもったおいしいチョコよ──
どうか、こまったにじこをたすけてくださいな。

・小雨
ハッピーバレンタイン!
小雨の作ったチョコです。
よければ、受け取ってください。
お姉ちゃんたちからは
おいしそうだねって言ってもらえて、
小雨も──ゆっくり丁寧に作れたから
いつもよりよくできた気がします。
こんな小雨でも
お兄ちゃんに喜んでもらえる日が
一年に一度だけでもあったらうれしい──
みんなは、チョコ作りもいつもうまくいくばかりじゃなくて
失敗することもあるから
たまにはとてもよくできて──喜んでもらえると
とってもうれしいんだって。
小雨はそんなに
たまに上手に作ることもなかなかできないけど──
今はただ一日だけのことでも
これから、もっとお兄ちゃんに喜んでもらえて
お兄ちゃんが大変な時に
小雨が支えることができる時間が増えていったら──
と、思います。
今は──夢のような話だけど
本当にそうなったらいいなって。

・吹雪
人間同士の愛を
科学的に分析し、
実践に生かそうとする試みは
古い昔からはじまり
長い歴史があり──
やがて今では
研究も、過去と比較すればずっと進んでいる傾向にあります。
それでも、誰もが成功するというわけにはいかない
難しい問題のままであるのは
今も変わらないままであるようなので──
そろそろ、どうでしょうか。
私が自分のできる範囲で
具体的な行動を続け、
限定された条件であっても
それなりに成功率が高く──
いつもキミに喜んでもらえるようなことが
あったなら。
そのために毎日の出来事を積み重ね
集めた情報をもとに──
さらに次の良い時間を持てたなら、
それはとても理想的な研究過程であると言えます。
私は──それを望んでいます。
実際にできているでしょうか?

・青空
そらのすきなもの
あげちゃおう!
おうどんかな?
くまのぬいぐるみかな?
それはなんと、
ちょこれーとなんだって!
そらのすきなものだ!
じゃあ、あげたいな。
でも、おうどんもあげたいな。
ちいさいふくもあげたいな。
もっとあれもこれもちょこもみんな
そらのすきなものだからな──
ぜんぶおにいちゃんにあげる!
そらのすきなものをあげるひだ!
わーい、うれしいな。
おにいちゃんがよろこぶよ!

・星花
星花も女の子なので
バレンタインにチョコを贈ることが
できないはずはない!
やるぞ!
と、意気込んでみたものの
乗り越えるハードルは多く
お菓子を作るお手伝いは
そこそここなしていた経験に
助けられた!
ラッピングの工夫は──
友達同士や
夕凪ちゃんたちかわいい妹にお菓子を届ける時に
喜んでもらった記憶に頼ってがんばった!
お兄ちゃんに喜んでもらえるかは
いちかばちかのところがあるけれど──
そして、いちばんの
大変な困難は
どの時に
どんな顔をして
何を伝えながら──
渡せばいいのか。
星花のやって来たことを
喜んでもらえると
自信をもって、
お兄ちゃんの前に立てるのか──
その時になってみないとわからないことが、
女の子には
たくさんあります!

・海晴
今年のバレンタインデーも
大さわぎだった日は終わりに近づき──
みんな──勇気を出して好きな人に
気持ちを届けることができたかしら?
お姉ちゃんとして、
見守って、時には支えての立場で
がんばっていきたいけれど
なにしろ我が家にキミがやって来て
はじめてバレンタインを迎えるのは
条件はみんな同じ!
それでいて──
もうずっとへとへとで
大変そうだった子たちが、
こんなに楽しい日なら
来年またと言わず
毎日でもいいなんて言い出して、
そのたくましさや明るさに
教えられることばかりがいっぱい──
そんな中で
私は自分のやりたいことができたかな?
愛しい家族のみんなを
見守って──
そして、何より
我が家にやって来たかわいい長男に
キミをいつも、
とっても愛しているということを
伝えられたなら──
それが一番なんだけど。
あとは、チョコが良くできていたらさらにいいわね!
私のチョコはどうだった?
みんなと比べて──そんなに特別上手ではなくても
心がこもっていたと思わない?
まだまだこれからバレンタインを迎えるたびに
成長していけたらと思うの──
来年を、その次を、毎年を、キミと一緒に重ねながら──ね。

・ヒカル
タイミングを見つけるというのは
とても大変なもので、
せっかくの一日の
すっかり終わり際になってから
ようやく落ち着いて話せる時間ができた──
ということもある。
それとも、他のみんなを見習って
自分からチャンスを作っていくべきなのだろうか。
たとえば──
オマエを抱えてさらっていくというような──
って、やっと会えたのにこんなわけのわからない話をしても
仕方ないか。
また明日から、いろんな話をする機会はたくさんあるんだから。
というわけで今日の分のチョコだ。
受け取ってくれるか?
もし受け取らなくても押し付けていくけれど──
いや、違うな。
ここはみんなを見習って
受け取るしかさせないようにもっていくのが
大事なことだ。
ふだんから女を磨いて──断る気にさせないとか、
情熱的な言葉で心を動かすとか、
素直な心からの気持ちを伝えられれば
まあ、それでいいんだろうとか──
私は──
どうするのかな?
今こうして
二人きりでいる時間が
答えをくれるはずだと──そう思うしかない気がするんだ。

・あさひ
べろべろ
べろりん。
ふはーっ!
ちょこ──
おうんま──
にゃーにゃ!
うんまうまー!
にゃーにゃ!
だーいちゅ!
にこっ。
(ふうー、
 たくさんたべたちょこも
 おいしかったな。
 まんぞくまんぞく。
 なぜか──
 みんながいっぺんに
 ちょこをつくりたくなるひがあるみたいなのだ!
 そんなときは──
 ちょこがおいしいって
 おにいちゃんにいいたくなるみたいだ!
 あさひもそうしようっと。
 おにいちゃん、だいすきだぞ!
 あれっ、なんだかくちがかってにうごいたぞ。
 まあいいか!)