バレンタイン

・海晴
お部屋の真ん中に花を飾って
いつもと違う
とっておきの──
いちばんきれいなテーブルクロス。
そうしたらもう気分は
何かいいことが始まりそうなのに──
おいしいものを用意して
本番はこれからなの!
今年もバレンタインがやってきて
みんなも無事に
大事な人へのチョコレートを用意することができたみたい。
もちろん、私も。
本当に良かった!
みんなも私も──とってもうれしい!
また家のあちこちで
素直な感謝や
少し照れたような言葉を聞くのかもね?
すべてあなたのところへ届くようにと
心を込めて
紡がれていく
愛の言葉ばかりを──
私も伝えられるといいな!
今日だけは長女として
背筋をただすのも
少し忘れたふりをしながら
ただ、愛していると伝えたいこと、
素直に言えたらと思っています。

・霙
またこの日がやって来て
私たちは思いを伝えるタイミングを
こうして見つけ出す。
普段からいつも
感じている気持ち──
一緒の時間を過ごして
変わらない思い。
時間が強くする愛情といった
慣れ親しんだあれこれ。
たまには新しい言葉を探して
伝えようと思う時もあるけれど
でも、まだ見ぬ新しいことに
挑戦していくのは
恐れを知らない子供たちのほうがきっと似合うからな。
どうせ何を言っても聞かずに
無茶ばかりする妹がそろっているんだから
私くらいはいつも通りの変わらぬ形で
同じ気持ちを伝えることになってもかまわないだろう。
去年と今とで、変わらず同じであるように
これまでも続いていたのと同じまま
来年もその先もいつまでも続く
変わらぬ気持ちを誓い──
思いを込めて贈り物を届けていくのだ。
今も、遠い未来も
いつもそうであるように。

・春風
あなたと過ごす毎日で
当たり前のように日々を送っていくだけで
伝えたいことが胸の中に膨らんでしまう。
知らなかった気持ちが生まれて
これから出会うことの予感にあふれて──
やがて激しい胸の奥で
渦を巻く嵐のせいで、
私が私でなくなってしまう前に
どうか感謝の気持ちだけは伝えたいといつも思っているというのに
どうしてどんな言葉でも
今の心の内を表すことができないような気がしてくるのでしょう?
新しい言葉を見つけたくて──
この思いが私のすべてで、そのために
新しい伝え方を知らないといけない気がしているのに。
ああ──世界中の愛の言葉を集めても
春風の気持ちには全然届かないみたいです!
きっと世界中のチョコレートをあなたに捧げたとしても
私の本当の気持ちではないのです。
だけどこれが今のできる全て──
普段からしていることを積み重ねて
今できることにしかならないと知りながら。
春風は、世界の全部よりもあなたが好き。
伝えきれないということを
切なく考えるのは
世界で春風ひとりだけなのかしら?
この気持ちをいつかわかってもらえたらいいのにと
毎年の願いです!

・ヒカル
ずっと考え続けて
答えが出ないままでいる。
私が悩んだところで、慣れない考え事をしたって
どうにもならないことは
ずっと昔から知っていて当たり前だったのに
どうして今更?
頭を使っているのは
体当たりだけではできないことばかりが
見つかってしまうからなのだろうか。
なんだかんだ言っても難しいよね。
感謝をしている気持ちを
伝える方法が見つからないだなんて。
でも──
私でなかったらもっとうまくいくのかな?
普段から気持ちを伝えるのに慣れているなら。
言わなくてもわかってもらえるとかじゃなく、
手をつなぐだけで通じている感じだけじゃなくて。
家族として一緒にいる普通の毎日のことを
私が大事に思っていると
たまには教えなくちゃいけないという気持ち。
私だけかな、こんな変なことを考えるのは?
今日までには何とかなると思っていたのにな。
難題の解決法が
私には出せないとしたら
誰に相談したらいいのだろう?
いつか答えが見つかるときが来るのか──私は全然知らないんだ。

・蛍
蛍です。
華やかなお家の姉妹の中で
わずかに地味で目立たないところがあって
引っ込んでいるのも好きかもしれない
はじっこに潜んで首を伸ばし様子をうかがっている女の子。
その子の小さな夢は
いつか好きな人のお嫁さんになることかもしれないし、
お菓子作りの腕を生かして
パティシエになることかもしれない。
それとも時には
地道に身に着けた腕前を生かす道を探して
お料理系YouTuberでお役に立ちたい!?
うーん、でも蛍にできることは
こっそりみんなの後ろに立ちながら
呼ばれるのを待っていることくらい──
なんだか、
大好きな家族がここにいてくれないと
なんにもできない子に育ってしまったみたいで
困ってしまいますね!
お兄ちゃんがいてくれないと
何もできることが思いつかなくて
だめになってしまいそうな蛍に、
ちゃんと神様がくれたみたいに
いつもそばにいてくれるお兄ちゃんがいるの。
きっとお兄ちゃんが思っている以上に
小さな蛍は喜んでいるんだと思います。
蛍が心細くなってどこかにフラフラしてしまわないように
どうかいつでも用事があったら
これからも蛍を呼んでくださいね。
放っておかれるのがいちばんさみしい妹のことを
どうか──思い出してね。
よろしくお願いします。

・氷柱
むにゃむにゃ──
ねむねむ──
う、ううん、でも
しっかりしないと!
せっかくこの日のために──
準備はしてしまったんだから!
あら下僕。
ご主人様はまわりの空気に煽られて
ついつい作る気もなかったチョコを用意し、
誰にもあげる予定も思いつかないけど
ラッピングが上手になって困ることはないわけで
特に理由もなく練習をしてみたわ。
せっかくだからいつもがんばっている下僕に、
じゃなくって、普段からそんなに嫌っているわけじゃない、
というのもなんだか違って
ともかく何も言わずに受け取るのが
いいご主人様を持った下僕の使命だと思うわ!
ふう──
この日のために──
ううん、なんでもないけどね。
私がチョコレートを作るなんて気まぐれと偶然でしかなくて
だいぶ前から考えて
細かく研究していたなんてことはないんだから
勘違いはしないように。
──ただのお返し目的でしかないから。
いいわね!

立夏
立夏だヨ。
今日はオニーチャンに
伝えたいことがあるの!
それはとっても
大事なことで、
どうしても言いたくて
立夏はもう抑えきれなくなっていること!
オニーチャン、実は
立夏はオニーチャンのことが
大好きだったの!
ええっ、もう知ってる!?
やっぱり?
なーんてね。
今までに何回も言ってることだけど
本当に大事なことで
もうめちゃくちゃ言いたくて
わかってほしい気持ちでいつもいっぱいだから
何回だっていいんだヨ。
いつもの言葉だけど──
わかってもらっているかもしれないけど
何度でも、何度でも、
いつまでも変わらない気持ちのままだってことを
言いたくって仕方がないの!
だから、同じ繰り返しでも
がまんしてね。
立夏、オニーチャンが大好き。
いつまでもいつまでも──
一緒にいてね。
チャオ!

・小雨
おおお、お兄ちゃん!
小雨はお兄ちゃんに
とてもとても伝えたいことがあるんです!
あの……
小雨がみんなと手作りした
チョコレートなんだけど、
やっぱりみんなといると
どうしてもくらべてしまって、
そんなに上手じゃないことがわかってしまうの。
こんな不器用な小雨の
恥ずかしいものを
あげられない!
そんな臆病さ、
自分でもわかっている
怖がりばかりの気弱な子供、
それが小雨。
でもみんなといられるということは
大好きなお兄ちゃんに勇気を出して
チョコを渡すところを見るということでもあって、
そんなすごいみんなのそばにいると
小雨もきっと
やらなくちゃ、
とっても大切なことを、
自分で一番大事な気持ちになっていることを──
絶対どうしてもやり遂げないといけない、
怖くても関係ないって
そんなふうになることもあるんです。
激しいみんなの気持ちに
勇気をもらうみたいに。
みんながいて──よかった。
お兄ちゃん、小雨はお兄ちゃんのことが大好きです。
伝えたかったことはそれだけなんだけど──
なんだか話が長くなってしまってごめんなさい。
これからも小雨のことをよろしくお願いします。

・麗
知ってるでしょう?
私、自分でしっかり最後までやり遂げると
決めたことでなければ
最初からはじめるつもりはないし──
それはつまり、わたしがどうしてもと
思うくらいの
もうものすごい特別なことでなければ
できるだけやりたくないって気持ちなの。
だからチョコレート作りなんて──
みんなにからかわれたから
やってみただけ。
お菓子くらいは作れるようになっておくと
将来何かあったときにいいよ!
作れないと困るときがあるよ!
なんだって。
知らないけど。
だいたい、そこまでやる意味があるの?
相手はただの男の子──
いつもお世話になっていても
家族であっても、
わざわざあげたくって
作り慣れないチョコの練習をするほど、
熱心にはなれないわ!
だから──
挑発されてその気にさせられて
それだけの理由で
作ってしまったチョコレートよ。
かわいそうだけど生まれてしまったチョコレート、
あげる。
気持ちがこもっているかどうかは
まったく自信がないから
あんまり味わって食べなくてもいいんじゃないかな。
一口だけでも──味を見たらあとで教えて。
何かのきっかけで本気で作る必要ができた時に
そのうちみんなを見返すくらいのものは作れるようになれるかもしれないし──ね。

・星花
あっ、お兄ちゃん!
そうなの、今年はね。
どっちがお兄ちゃんの好きなチョコを作れるか
夕凪ちゃんと競うみたいになったの。
贈り物を比べるのも変な話だし
大事なのはあげようと思った気持ちで、
お兄ちゃんの顔を思い浮かべた毎日、
それがいちばん!
だと思うんだけど。
でも、もちろんあげるからには
おいしく食べてほしい気持ちもあるし
喜んでもらえるならそれはうれしい──
うれしくて
プレゼントするほうが幸せになっちゃいそう!
そう思って
よりおいしいものをって工夫をしたんだけど
よかったのかな?
もしかしたらひとりよがりで
いっぱいいっぱいの戦闘的なチョコレートに
なってしまったのでは?
お兄ちゃんがいつも喜んでくれるものが、
星花にはまだよくわからないから──
結局、勝負にはあまり自信がありません!
ああ、だけど今年も
お兄ちゃんにチョコをあげられてよかった。
そこは夕凪ちゃんとの戦いに感謝ですね。
たぶん星花はいつも
家族に支えられています。
その中心にお兄ちゃんがいるから──
いつも感謝しているのは本当に心からの気持ちなの。
いつか伝えられるようになりたいです──

・夕凪
夕凪と星花ちゃんの
お兄ちゃん大好きバレンタイン対決の
結果は!
どちらも上手にチョコが作れたから
引き分けというよりは
どちらも勝利でいいんじゃないかっていう
吹雪ちゃんの判定!
やったー!
星花ちゃんと手を取り合って喜ぶ
バレンタインの日。
お兄ちゃんのために、できることをしたんだもの!
でも、なんか
どっちも勝利って──
ごまかされているような気もしてくるな?
確かに、お兄ちゃんにちゃんとしたチョコレートを上げられたら
いちばんの目的は達成しているんだけど。
でもね!
夕凪はもっとはっきりうれしい気持ちになれて、
もっとお兄ちゃんの大喜びして踊りだす隣に
夕凪もつられて踊りまわるようになる
そのためにはどうすればいいか
考えてみて、
すっごい方法を思いついてしまったよ!
お兄ちゃんが踊りだす方法、
それは──
夕凪が世界で一番おいしいチョコを作り、
お姉ちゃんたちよりも誰よりも
おいしい気持ちで喜ばせてあげること。
それができたら
誰が何と言おうと夕凪の勝利で間違いがないんだから!
問題は、どうやったらそんなチョコが作れるかなんだけど
材料もないし
来年の宿題になっちゃうね?
そうだ、おいしいのを作るために
今からたくさん研究しないといけない気がしてきたなー。
チョコの試作品、余ってたりしないかな?
それともお兄ちゃんが
こんな味が好みだよっていうのを一口くれちゃったりしたら
夕凪が覚えるかもしれないな!
そんなことがあったらとってもいいよね!

・吹雪
理論的に言えば
どのような方法をとっても決してうまくいくはずがないと
答えが出せたはずの行動を、
目的までの最短距離を見つけることを忘れ
単純に試行回数を増やしていくことによって
ただ純粋に偶然の力のみに頼って
成功に至るというのは──
科学の歴史においても前例が多い現象で、
おそらく人類の歴史にあっても
同じことは行われていたと
推察することはできます。
であるならば、チョコレートを作るのに
特別慣れているわけでもなく、
上手に作れるとは予測できない場合であっても
偶然と試行回数に頼って
料理の得意な姉を上回るほど
贈り物にふさわしいチョコレートを作ることが
できるのではないか?
もちろん、それは低い確率を考慮に入れるということでもあり
結果としてはまったくそこまで上手にできたなどということは
なかったのですが──
ただ何かが変わるかもしれないという根拠のない予感で
見知らぬ場所へと手探りで進んでいく
私の体験が、
人類のたどってきた道のりと似ている部分があることを
思い出す日々でした。
もしかしたらと、
何かの偶然でうまくいくかもしれないと願っているのは
バレンタインのチョコレートを作っている間だけではなく
普段の私の
全てが計算できるわけではない毎日からのこと。
明日も──私は人類の道のりとよく似た経路をたどるでしょう。
そんな気がします。

・綿雪
恥ずかしがり屋で怖がりで
なのに寂しがり。
だから、よくからかわれるけれど
それでもユキだって
お兄ちゃんにチョコレートを渡したい、
って思うの──
今年も、氷柱お姉ちゃんは言うんです。
年に一度のことだから、
日頃の感謝を示すのもいいから、
自分もチョコレートが好きで
つまみ食いができるし、って。
大人のお姉ちゃんたちは
チョコレートをあげるのに
ちゃんとした理由がしっかりあるみたい。
だけどユキは
まだ小さいから──
きちんと自分の気持ちを考えて
それを言葉にして伝えるのは
まだあまり得意じゃないのかもしれない──
お兄ちゃん!
ユキが大きくなったら
ちゃんと今の気持ちを伝えられるように頑張るから
だから今日は、今年のバレンタインは──
難しいことができないで、
特別な何も言えないで簡単な贈り物なってしまっても
許してね。
ユキのそばにいてくれる大好きなお兄ちゃん。
お兄ちゃん、ユキの作ったチョコレートを受け取ってください。
いつもありがとう。
どうか、これからもよろしくお願いします!

・真璃
計画はばっちり!
お絵描き帳にデザインをして
いちばんかわいいチョコレートを考えて、
きらきら飾りをつけるところだって決めておいたし
あとは作るだけ!
きれいなアラザンも散りばめて
お店で売っているみたいに豪華になるのは
マリーだって知っているんだから。
と、
いうところまでは順調だったの。
ところがなんと、
キッチンが順番待ち!
材料が足りなくなってきた!
いざ作り始めてみると
チョコレートが
かたまらないーっ!
やっぱり人生にはトラブルがつきものね。
それが面白いって思うんだけど
トラブル続きのチョコをもらってもフェルゼンは困ってしまうだろうし──
いつもこんなに大変なお菓子作りを続けて
日々、事件に立ち向かうお姉ちゃまたちには
マリーはまだかなわないかもしれない──
でも、がんばったから
笑顔で渡さなきゃ!
たっぷり準備して考えて
愛情だけはたくさん込めました。
失敗続きの中から生まれた
たった一つだけの成功が生み出す
ちょっとした宝石──
マリーの一番大好きなフェルゼンに食べてもらいたいわ!
あげたくって──しかたがないの!

・観月
良き日には喜びを、
涙の日には励ましを。
人の心は複雑なようでも
花を見て、暖かい風が吹くのを知って
小さなことで揺れ動き、
つまるところは泣いたり笑ったり
それだけのこと。
いくら望んでも
人ならぬ別のものになり替わるなど
生きている我々には
なかなかできぬことであろう。
ただ、喜びの日に、雨の日に
隣にいる人と言葉を交わし
心を伝えることができるか、
相手をどう思えるか、
人によって違ってくる日々の営みは
ただそれのみ。
わらわの家にはみなが慕う兄じゃがいて
みなの手本となり
支えとなって──
いつもここにいてくれる。
フフ、きょうだいなかよくが
家族の決まりじゃからな。
だからみなは特別な日がやってきて
気持ちを表現できるなら
兄じゃに感謝を伝えたいのじゃ。
わらわも同じなのだぞ──
それぞれのせいいっぱいのチョコレートじゃ、
おいしいかどうか尋ねる声が
耳元でしつこくっても
ちょっとうまくできないところがあっても──
今日を迎えられたことを家族みんなが喜んでいる。
気持ちを伝えてもよい日があるのは──
とてもうれしいことじゃな。

・さくら
うれしいな!
お兄ちゃんと半分にわけたチョコレートが
さくらはだいすき。
ちょっと少なくなってもいいの。
さくらはすぐお兄ちゃんを呼んでいる。
ふしぎだね?
さくら、くいしんぼうなのにね?
チョコをひとりじめしないの──
なぜかな?
へんだな。
おいしいチョコレートは──
お兄ちゃんとたべたいの。
おねえちゃんたちはいうよ。
そのなぞは
さくらが大きくなったころにとけるよ!
だって。
みんなも、さいしょは
わからなかったことが
そのうちわかるようになったんだって。
うふふ。
ほんとうは、さくらは
きがついているよ。
チョコレートを半分こにしたいのは
お兄ちゃんが──
さくらのおうちに
いてくれる
さくらのお兄ちゃんだからなの。
ほかのおうちに
さくらのお兄ちゃんはいないから
半分こしたいのはおうちにいるときなの。
さくら、きょうはお兄ちゃんとたべるの!

・虹子
もぐもぐごっくん、
にじこのおりょうりが
はじまるよ!
ふむふむ、
これはおいしい
おやつですね。
あまーくて
ほろり、とろとろけて──
にじこをしあわせにするために
うまれたおやつ。
きょうのメニューは
チョコレートです!
いちねんに
いちどだけ──
オムライスよりカレーより
チョコレートをつくりたくなるひがくる、
それなら
つくらなくちゃ!
いっしょうけんめいに
がんばらなくっちゃ!
にじこ、よくてをあらって
よくまぜて──
おねえちゃんにおまかせしたら
なんとこんなにおいしい
チョコレートができました。
にじこちゃん、がんばったね。
おねえちゃん、ありがとうね!
あとはお兄ちゃんに
はい、これあげるって
いったら
それがチョコレートをつくりたくなったわけのすべて。
もらってくれる?
おいしいよ!

・青空
やったー!
うれしい!
ずーっと
まってた。
そらはきょうまで
れんしゅうしたもんね。
ちょこをつくる
やりかた。
それは、あいじょうを
こめて──
ちゅってして
りぼんを
よういする!
はいどうぞ、で
あげるれんしゅうをする!
あとはおねえちゃんたちが
てつだって
ちょこはできる。
そらがつくった
おいしいちょこだもの。
あげたくって
ばれんたいんを
まってたよー!
きのうもちょこをつくる。
きょうもつくる。
もちろんあしたも
ちょこをつくって──
おにいちゃんにあげる。
えっ?
きょうだけ?
ちょこをあげるひはおわり?
でも、そらはあげるのー!

・あさひ
うおーっ
ずるずるずる
あばっ
ごろごろごろ
えいっ
ずどどどどど
おおー
どっ
どどーん!
ぶっちゅっちゅー!
(うおおおお
 おにいちゃんに
 とどけなくては!
 すごいものばっかり
 みつけたよ。
 ころがっていたリボンで
 おしゃれして──
 きらきらのはこを
 おしてきて──
 あさひがとびかかっていく!
 みんながびっくりしているよ。
 おいかけてくるよ。
 しらなーい!
 かわいい
 あさひを──
 おにいちゃんに
 あげたいだけだもん!)