氷柱

『あとのまつり』
というわけで
お祭りの後には
散らかったお部屋の
後片付けがあるものよ。
手が空いた子でやるから
忙しそうなら休んでいていいからねと
やけに自信を持って
小さい子たちは張り切るけれど、
なにか──
やりたいことを成し遂げたからと言って
人は一夜にして突然
片付けができる子になったりは
しないものよ。
この年になればそれは私も知っている──
なんだかんだで
自分の用事は早めに切り上げて
片付けに参加しようと思うの。
汚れたお皿やカップ
キッチンにずいぶん積まれ──
何に使ったのか
贈り物の包みや飾りつけで
見た覚えがあるようなないような
色とりどりの端切れに紙くずに
かさばる包装紙に──
どこもバレンタインの後は
こんなものなのよと思って
あきらめるしかないわね。
よそのバレンタインなんて知らないけど。
でも、確かに毎年やっていることだから
片付けが──
そこそこ、それなりには
上手になっているような──
集中力が持続しているような──
やる気がどこかから溢れているような。
ほめてあげて
いいのかしら?
立派なことをした子にはいいことがあるに決まっている。
でも、どこから来たやる気か考えると
複雑な気もするからなぁ──
いや──いったん忘れることにしましょう。
というわけで、私の下僕がのんびり帰ってくる前に
良い子たちがとっても活躍したのよ。
見れなくて残念だったわね?
後からだけど、ほめてあげてもいいわよ──
一緒に片づけをしたあの充実感と一体感は
もう知ることはできないと思うけどね!
そんなもの知らなくてもいいか──
まあ、元気な子供たちのお世話がどれだけ大変か体験できたわ。
昨日はお疲れ様。
いや──うーん、でも下僕が偉かったわけではないんだけども──
まあいいか。
食べ過ぎた子は明日から体を動かす予定を立てているんだって。
あなたも聞いてみたら?
これから、また忙しい日常に戻っていくんだから──
疲れは早めにとるようにね。
ゆっくり休むために時間を作るときは、協力してあげてもいいわ。
私にもちょっとそれが必要な気もするし。
隣で──いっしょにだらだらするくらいしかできないけどね。