『さがしもの』
今日も寒いですね。
あたたかくて優しいお兄ちゃんを探して、
虹子ちゃんがきょろきょろしています。
かわいいの。
ふふ──早く見つけられるといいですね。
そうしたら、お兄ちゃんにいっぱい遊んでもらって
たくさんの思い出を作って、
もしかすると大人になって忘れるかもしれないけれど、
でも、あるいは──
春風が小さい頃は、優しいお兄ちゃんがいなくて
ママによく甘えていました。
ママも忙しいから
春風はお手伝いをいっぱいして、
やがて家のことも少しだけ任せてもらえるように
なっていって──
大きくなりました。
だけどなぜだか
小さい頃からいつも
夢を見るように空想していた──
世の中のことを何も知らない子供だからできた
無邪気な想像の中では、
春風が寒い時や
かわいい家族に囲まれていても
子供のように誰かに甘えたくなった時が
将来訪れて──
その時には、春風をいつも見つけてくれて
甘えさせてくれて──
春風がいてほしい時にいつもいてくれる
やさしくて頼りになる人が
いつか現れることも
あるのではないか?
たとえば、世界で一番良い子にしていたら
ある年のクリスマスプレゼントに
世界で一番のうれしい贈り物が
届くことがあるかもしれないとか──
そんな──大きくなれば叶うことなんて考えもしない
夢のようなお話を
子供の頃からぼんやり考えていたのを思い出します。
虹子ちゃんがあんまりお兄ちゃんを探して
一生懸命だからかな?
それとも、冬のように凍える日が
久しぶりにやって来て──
あなたのすぐそばで、今より近くにいるために
言い訳もいらなかった日々を懐かしんでいるのかな。
ううん、そうじゃなくて
ある寒かった冬の、
ある年のクリスマスに良い子がもらえるプレゼントみたいに
私の夢が叶ったことを
いつも──夢のように思い出すからでしょうか。
何も知らない子供の空想よりも
出会ったあなたは──優しくて、
たのもしくて
私に素敵な日々と
幸せをくれる。
そんな毎日があることを、春風はあなたがいて初めて知ったの。
本当に夢のよう──
それとも、小さな春風はまだ夢の中にいて
目が覚めたら枕もとにあるクリスマスプレゼントのことを思っているだけなのでしょうか。
それでもかまわないかもしれない──
こんなに幸せな日を、夢の中でも過ごせたのなら
もう一生それだけで生きていける──
私の王子様──春風の愛しい大切な王子様。
私たち家族といつもいてくれてありがとう──本当にうれしいの。
でも、きっと優しく甘い夢から目が覚めても
世界で一番良い子の春風には、とっても嬉しいプレゼントが届くに違いないわ。
かわいい虹子ちゃんは、もうすぐお兄ちゃんを見つけるはずです。
春風がずっとそうしているのと同じように
ずっといつまでも忘れないような特別な時間を、今日も過ごすのだと思います。
私の王子様も、きっとそう思うでしょう?