『新年度』
学年がひとつ上がって
私たちも大人になる。
教科書をもらって帰り
今年の勉強の内容を確かめて──
難しくなっているみたいだけど
これまでだってまじめにやれば
なんとかなってきた。
一年の行事の予定もあって、
なんとかなる場合も──
仕方なく参加して
形だけ乗り越えることもあった。
ラソン大会とか
合唱会とか──あったような気がする。
新しいことが始まる時期は
不安や緊張もあるけど──
それ以上に、期待でわくわくするともいうわね。
ダイヤ改正もあったし
通学時間や下校時間もそれに合わせて
少し変わるかもしれないし──
不安より期待が大きいかどうかは
少々不公平なトレードのような気分が
新しい始まりには伴うけれど
まあ仕方ない。
やるだけやっていくしかないわね。
いや、それでどうにもならなかったら
別に責任を取る人もいないというのはありそうだけど
うまくいくのもそうでないのも
自分で何とかするものだから。
春が来て、おうちの中も何かとばたばたしていて
春風姉さまやホタ姉さまは特に大変そう。
寒い日だからとか雨の日だからとか
冬服をしまってもうタンスにあまりないとか
助けを求める理由はわかるけど──
私たちも大人になるんだから
自分でできることは
一人でもできるようにならなくてはいけないわ。
ここにあるのが
泥が跳ねて汚れ
びしょびしょになった靴下。
同じく泥を拭いて色も変わったハンカチ。
どうにか制服は無事だったけど
新年度に合わせて新品の靴下をおろして
気持ちよく新しい始まりを迎えるという計画は
そううまくいかないということがわかった──
そして、新しい靴下があるから
冬物もそんなにいらないだろうとかたづけてしまったのもあり
掃除機の周りは汚れた洗濯物が山積みになっているわけでもあり──
身だしなみを整えるというのは大事なこと。
自分でできることは自分でするというのも必要。
ならば、みんなの分の大量の洗濯物と向き合うことになるのも
もはや避けられないさだめ──
私、お手伝いはそれなりにしているほうだと思うんだけど
あなたの考えはどう?
春が来て──大人になって
忙しい姉さまたちの代わりに家事をてきぱきとこなす日が
やってくるとしたら
それは今日なのではないかしら──
洗剤の量──洗濯機の調整──水の量とかいろいろ──
教科書の内容を学ぶ前に、別の課題が始まったわ。
これも新年度といったところね──さて、始めましょうか。