観月

『冬の名残』
白いお着物で
肌の色も薄く美しく──
大人になったらさぞきれいになると思わせる
ちいさなわらべ──
冬だけにあるあやしいものがいるとしたら
そのような姿をしているであろう。
このごろの寒さは
きっと、何かそれに近いものが
過ぎ行く凍える季節を惜しんで
もっと冬を楽しみたいとふるえながら
今この時を──
なかなか終わらない寒さを
生きているに違いない。
いや、もしかするとそれは
まだまだ暖かいお部屋で
兄じゃとくっついて過ごしたい
小さな妹たちの望んだ景色かもしれぬ──
みんなもかわいくて
やがて大きくなったら美人になりそうだからの。
もちろんみんな
いきいきとした力にあふれているからの──
望んでしまったら
もしかすると──何かが
この世界にあらわれるということもあるだろう。
待てよ──
あるいは、わらわの兄じゃが
もっとみんなのそばで
離れずに過ごしたいと考えて
気付かないうちに──あるいは知りながら
世の中を変えてしまっているとしたら
この寒さも納得がいくというものじゃ。
姉じゃたちに言わせたら
かわいい兄じゃだというからな。
わらわには大きくたのもしい
やさしい兄じゃだが──
これから長く冬が続いたとしても
一緒であれば何も困らない
わらわの兄じゃなのだが──
まあ、いずれ冬は明けるであろう。
かわいいみんなの祈りはやがて
春ののどかな風景に溶け込んでいくのだろう──
なんとなく気が付いている──
その日は近いのであろうな。