『ビタミンビタミン』
人間の体は
砂糖や──あんこや──
果物に洋菓子に、
この世界のあらゆる甘い食べ物を求め
飽きることがない。
あまり多く食べすぎるのはいけないけれど
それほどまでに
体が求める理由と言えば
人の営みにとって、
良い体を作るために
最低限は必要だということ──
相手をよく知り
デザートと付き合う経験を重ねることでしか
人は成長できない──
かもしれない。
私たちは生涯を通して
甘いものと寄り添い過ごすだろう。
それは宿命であり──
時には刹那の時を過ごす私たちを支える
糧となり──喜びとなる日もあるだろう──
ヒカルが食べ歩きの趣味に付き合ってくれるのはうれしいことだ。
体に必要だの経験だのとなんだかんだ言ったけれど
たぶん、私は一緒の趣味を持って
楽しめるのがうれしいだけなのだ──
これからも愛しい家族に
私の持てる全てを与え──
知識を授けることに力を尽くすだろう。
あまねく世界のおいしいものを
私は教えよう──
そこから始まり歩き出す道のりというのもあると
やがてヒカルも──あるいはいつか
人々もみな知るのだろう。
おいしいお店を知ることで
忙しさに追われて買い物に行けない日を体験し
品切れの悲しみがあり──
そして、もしかすると
いつか閉店の別れを迎えるのだ。
私が与える歓喜はやがて
新たな景色を見せ──
その先に思いもよらない色彩が広がっていることを教える。
新しい出会いとは
いつもそういうことなのだ──
春が来て、様々な始まりと出会い
その先にあるものこそ
人が苦難の果てにつかみ取る自分だけの景色なのだろう。
その光景はいまだに未踏──私も教え示すことはできない。
ただ選択の機会を与えるばかり──
人の身が宿す甘味への追求と──そして家族と一緒で楽しい私の思いが
やがて世界を変えていく可能性がある。
もうすぐ変わっていく──妖しく咲き開く春の花の色につられて──
混ざりあう感情がもたらすのは闇か光か──
ちょっと大げさに言ってみたぞ。
さあ──こうなってみては、
オマエも新しい喜びを見つけたいと思うようなことはないだろうか?
新しい始まりの季節がやって来た。