『終わらない騒がしさ』
はじまるぞ──
新年度の始まりの一日目。
私たちが次に向かっていく新しい時代の元号も決まった。
そして家族で出かけるお花見は
やがて花が散るときに残る喜びと同じように
私たちのところへ──
食べ切れなかったお弁当が装いを新たにする
大量の夜食を届け
健康な消化器官を試す熾烈な挑戦もまた始まるのだ。
みんなで作っていたものだからな。
風が冷たくて早めに切り上げてきた後でもかまわない──
子供たちを抱っこして運んだ体力の分も
これから新しい時代に向けて力をつける分も
理屈も何もなくただおいしそうだと思った分も
愛情料理を残さず食べられるのならば
新しい始まりの日にふさわしい……ような気もちょっとするかな?
まだまだ私たちの胃袋へと狙いを定め
弁当箱で臨戦態勢を取っているおにぎりはたくさんある。
ところでオマエは
スタンダードにおいしいおにぎりと実験性を極めたおにぎりの
どちらが好きだろうか──という問いに
なんと答えるつもりがあるだろう?
問いがあり、それでいて
思い浮かぶ選択肢の中に答えがないと言ったら
あたかもみかんが好きなメンバーの名前を答えるときのように
そういうのもありなのか!?
とたまげるだろうか──
同じ味が続いても飽きるかもしれないと
春風と蛍がおにぎりを崩しておかゆにして
新鮮な味付けをしてくれると聞いたら
まるで予感があって数えていたときに現れる
今何問目? の問題と同じように希望の光の存在を知る──
あの感覚を
まだ寒い日に凍えて震える胸のうちで暖かく灯すだろうか。
そして運命を知らせる鐘の音がどこかから聞こえるように
ママからの連絡の電話が鳴り響き
少し前にマリーや星花が突然の仕事を勤めあげみんなを楽しませてくれた
あのときのように──
料理番の決して欠かせない要である蛍と
キッチンの力仕事を担当していたヒカルと
なぜかママの声を聞いて探していた存在を見つけ出したような顔の観月が
そっちで仕事をしていたのかと何かを納得しながら
あわてて必要な荷物だけかき集めて嵐のように駆けていってしまったものだから
おかゆを作りきれないで
どうやらまたしても残りのおにぎりと向き合うことになると
誰が知っていただろう。
これからの日々を象徴するかのように
まだみんなが駆け回る一日は終わることはないかのように見えるな。