ヒカル

『春が来て』
あたたかくなって
終わっていくことも──
これから始まっていくこともいっぱいある。
せっかく春だからと始めたことが
ここ最近の寒さで
なんだか億劫になったり
そろそろ三日坊主の気配も見せて来たり
春らしくなるのが早かったためか
三月の半ばは
なんとなく、そんなだらけた空気も
漂い始める頃。
落ち着くなんてなくて
新しいことを
ずっと夢中のまま続けられるならそれもいいけど
きっと、疲れるのは確かで──
まわりもちょっと心配だから
落ち着くのも悪くはない場合もある。
私もずいぶん心配をかけてきたな──
たくさん助けてもらってきた。
今は──これからは
恩返しをしたり
新しい誰かの手助けをして
ちゃんと大人になって、できることが増えたのを
こんなゆっくりした春の日に
だんだん見せて行けるようになるんだ!
だったら
よかったんだけど──
オマエは霙姉の趣味を知っているだろうか?
食べ歩きや
おみやげに探す甘味の追求──
家でおやつを用意するとき
手軽に作れる工夫や
あまりが出た時に
じゃんけんに持ち込む技だとか──
私の知らない新しい世界が
たくさん開ける感じ──
今年の春になって
ちょっとわかりかけてきた。
小さい子がお土産を楽しみにしているのもあるからな。
もちろん、遅くならないで帰るのが一番いいんだけど。
でも新しい季節は
私にまた見たことのない世界を教えてくれそうで──
最近、霙姉が熱心に誘ってくれるんだ。
寒い時に甘いものもいいんだって。
むしろ、いつ食べてもいいものだとか言い出して──
春が来て
別れの季節、はじまりの季節、
はじまったことに飽きてみたり──夢中になってみたり。
明日の私はどうなるのか、まだわからない。
こんな季節があるってこと
しばらく忘れていたな!