氷柱

『のどかな日』
あっちのほうに走っていったのは
春風姉様ね。
春が近づいて陽気も良いと
用事も増える、やりたいことも多くなる──
私が手伝えることだったらいいけど
そんなに都合がよくはいかない場合も
多いわよね──
ヒカル姉様は落ち着いてみんなの分も
コーヒーを用意して待っている。
霙姉様も──たぶんみんなのために
お茶請けを真剣に選んでいるみたいだし
やっぱりなんだかんだ
忙しく過ごすのも春らしい感じはするわね。
別に私みたいに
何にも変わらない日を過ごしているような子も
たくさんいて
それはそれで別にかまわないんだけど
せっかくだから──
とか
今しかできないことかもしれないし、
とか──
私の下僕もやっぱりこの時期は
何か始めてみたかったり
春らしい用事があったりするの?
なんだかんだ、私より年上なのは間違いない──
この時期の有意義な過ごし方を
ひとつくらいは知っているかもしれないわ。
ちょうどこんないいところに
コーヒーとお茶請けが
他愛無い話題を歓迎しながら待っているよう──
のんびりと日向ぼっこを楽しむのも
せわしない春を堪能するのに
ちょうどいいという話もあるわ。
天使氷柱、14歳──
一年ぶりで久しぶりに迎える春。
まだこの季節の過ごし方に慣れていないと言ったら
恥ずかしいのかしら──?
いろんな話を聞いてみたい時もあるわ──春が来たからね。