ヒカル

『大掃除』
みんなが活躍して
片付けを進め、
家の中はもうだいぶきれいになり
いつ新年を迎えても
いいくらいになった。
まだクリスマスも来ていないし
ケーキもおせちも準備中で
私たちはお手伝いを始めたばかりなのに──
掃除のほうはなかなかの調子だ。
気が早いことだ。
でも、間に合わないよりは
早すぎてちょっと面白いくらいが
ずっといいに決まっているからな!
きれいで快適、
過ごしやすい我が家というのは
たぶんそういうものだ。
こうしてみんなで
できることをして協力し合う──
それができたら何より。
霙姉ががんばってくれたみたいだからな。
妹たちにいいところを見せたくて
はりきって、たまにいい感じに休憩もして
ああ見えて大家族の年上のほうで過ごすのも長いんだ、
やる時はやる!
って感じ。
私もずいぶん動き回って
霙姉と一緒に働き、
そうしているうちに──
蛍に仕事着として渡されたのが
なぜかメイド服だった。
掃除洗濯細かい用事、
手先の器用さも体力も
若さも使えるものは全部使って
磨き上げられた輝くさわやかな仕事場、
明るい未来を夢に見て
おうちを支える女の子なら、
きっと世界で一番かわいいメイドさんに違いない。
蛍が言うならそうなんだろう。
私は家事のことも
メイドのことも知らないからな!
でも──うーん、
どうせ汚れるし
古くなったから捨てるつもりの服で
真っ黒になったから
メイド服は着なかったんだ。
もともと霙姉に用意していた分ではなく、
私に合わせて
こんなこともあろうかと作り上げておいた
基本的に質実剛健、ちょっぴりかわいらしい
シックで落ち着いた黒と白のメイド服。
家事にもおしゃれを、ということか
それとも蛍の趣味なのか
結局着なかったからきれいなままで
年末を過ごすことになってしまったメイド服だ──
これからまた、あわただしい日は来るかもしれないからな。
出番がないとも言い切れない──
古くて捨てるつもりの服が足りなくなれば──もしかしたらという感じかな。