『三が日』
がんばっている人に
お正月くらいは休んでもらいたい、
いつの時代も変わらぬ気持ち。
おせち料理がまだまだあるから
春風姉様や蛍姉様が家事に忙しくならないよう
掃除と洗濯も私が中心になって
立夏ちゃんや夕凪ちゃんたちを
こういう時こそはこき使うの。
姉様たちのためって言えば素直な子たちだもの。
たまーにがんばって働くんだから
新年だけは案外かわいいものよ。
ごほうびにおせちも待っているし
もしもおせちがもう飽きたなんて言う子がいたら
椅子に縛り付けてはしで運んであげるのも
ふだん忙しい人たちの手を煩わせないための大事な仕事!
口を開けさせたら
よろこんぶでも放り込んでやれば
たちまち笑顔に変わると決まっているわ。
まあそれは冗談として
心配性の海晴姉様も少しは体を休めてほしいし
ヒカル姉様は普段からみんなが助けてもらっているの。
こういう時に恩返しをさせてもらいたい子はいるみたい。
霙姉さまだってああ見えて
なんだかんだ言っても大人だし頼りにされているかもしれない……?
なんとなく日常の気苦労もあるかもしれない……
どうなんだろ……
まあいいのよ、ときどきお疲れな顔をする姉様に
クッションでも押し付けて休んでもらうと
私のところに仕事が回ってくる、
一人でうまく隠れて忙しくしていると
家族がのんびりする時間が増える。
お正月はそんな感じでいいのよ。
あら、もう一人
働きたくてうずうず落ち着かない
年長さんがいる。
下僕は──そうね、
下僕に限っては
仕事をしたくて仕方がなさそうだし
我慢するほうが体に毒かもね。
まったく!
お正月まで世話を焼かせる下僕。
それなら私にぴったりついてきて
仕事を探せばいいじゃない。
お正月らしく──
みんなにこま回しを教えたり
すごろくの相手になってあげるの。
わかるでしょ──?
接待プレーでみんなを機嫌よく勝たせて
たくさん遊ばせたら毛布でもかけてあげるのも
お正月には大事なことだものね。
年下の子守りに、年上相手の慰労に
気を利かせてうまくやるくらいは
下僕でもできると信じているわ。
私の手を煩わせない自信があるなら
ご主人の後をついてきても許してあげる。
がんばってね。