吹雪

『ノーマン』
今日も青空が走り出していって
ヒカル姉がそれを追いかけて、
あっちからもこっちからも
大きな声がする。
季節は春になり、しばらくが経ちました。
そろそろ気温は上がり
やがて来る次の季節の気配。
待ち遠しい人も──
そんな激しい季節がやってくることを
恐れる子も、
誰のもとにもやってくる。
そこに人の意思は介在することなく、
もしも仮に指先一つの動きで
望みの通りの日を呼び寄せる人がいたとしても
それは今日の私ではなく、
今年の夏までの私であっても
あまり望みはない気がするので──
おそらくまた、この騒ぎとともに
今までとあまり変わらない大変な──
あるいは、体が大きくなったことで
体内の温度を放散することが難しくなったとすると
その夏に見る景色は
また去年までと変わっていく──
そういうこともありえると思います。
最近過ごしている春は、春らしく落ち着かない気候の寒い日もあったものの
今までの年と比べたら
私の住むこのあたりの街の気温は高い傾向だったといいます。
冬を乗り越えた名残で
日なたにいることが多かった私も、
いつもの年より汗をかくことが多くて
暑さで大変な思いをしていたに違いない──
そんな新しい季節を
今年も過ごした私は、
青空が駆けて行って
見たこともない何かを拾って帰ってくるのと同様に、
腰を落ち着けて
そうしたいように過ごしていた日なたに
まだ見ぬものを見つけていたに違いない。
ヒカル姉が青空を捕まえて抱えてきたように
ずいぶん汗をかきながら
両手いっぱいに泥だらけのお土産を抱えていたに違いない。
もしも世界のどこかの誰かが
簡単に何もかも作り変える力を
おそらくは行使しないで
今年の春を迎えようとしたのと同じで、
この騒がしい日を送って
桜の花が家族の頭に降り注ぐ
景色を見たかったに違いない──
それを確信するにはおそらく必要なデータが足りないのですが、
今日はいつもよりも
お風呂に入って汗を流す時間を取る必要があるのは
間違いがなく──
そして、青空やヒカル姉たちの持ち帰った話を聞く時間を
多めにとる必要があるのは違いない。
また──これからの大変な季節を思う時間を多く必要とするに違いない。
とても多くの情報を得る夏があり、
その前の初夏にもいろいろなことがあるに違いない。
みんなとまたその日を迎えようと──そこへ向かって足を速めているのは
私の意思によるものなのか、仕方ないと受け入れているためなのか──
今度の季節はどんどん暖かく変わり、私たちにまた影響を与えようとしています。
気温の変化で体調を崩さないように気を付けてください。
またいろいろなことが、これからはじまっていくのですから。