真璃

『鑑賞会』
きれいなお顔のおひなさま──
すましたお顔のおひなさま。
明日のひな祭りを前に
お雛様を眺めて遊ぶのも
女の子の楽しみ。
歌を歌うのもいいけれど
よく見てあげて。
みんなの前にあらわれて
女の子の健やかな成長を約束して──
きりりと整った
緊張感あるあの表情。
かわいいお人形を眺めながら
ゆっくり落ち着いて過ごすのも
きっと素晴らしい春の過ごし方だと思うの。
好きな飲み物を
口に運んで
目を落とした後は
まったり──
座り込んだマリーたちが見上げる
あのやさしいお顔。
着飾ったお人形。
こんな時間をみんなで過ごせるなんて
やっぱり毎年、
お雛様を出しているからこそ。
いいことがあるのは──それが理由。
なんてね。
だから、ようやく迎えられた
こんなに貴重な
暖かい時間を──
歌って過ごすのもいいけれど
そんなに早く通り過ぎたりなんてしないように、
なるべくたくさん
味わっていられるように──
まあ、どうせ明日になったら
お祭り気分でマリーだって
うきうきするんだろうな、
そう思っているからなんだけど。
フェルゼンも横に座っていいのよ。
マリーが──いい時間を過ごして
お人形を眺めるのを
ずっと一緒にいて
やっぱり同じ気持ちで喜んだりしたっていい──
毎日、どんどん春の陽気を実感するようになって
いよいよ桃の節句のお祝い。
これから迎える春も一緒にいましょうね──私の愛する人