真璃

『ヒロイン』
昨日がどれだけ楽しくても
人はいつだって
大事な思い出は大事なまま
でも、向き合う今をいいものにしたい
そんな気持ちのかたまりよ!
慣れ親しんだお人形にお願いをするか
気ままに走っていった先で面白いものを見つけるか
一休みしているうちにひらめくかはわからないとして
さっきいっぱい遊んだでしょ、も
いい子にしていないとどこかに連れて行ってあげないわよ、も効かない
遊びたがりの虫が暴れるの。
大人も子供も
女王も、女王のファンの人たちも関係なく
ずっと昔の頃から
そういうものなのよ。
だから、ついに春休みのお楽しみ
桜の開いた景色でおいしいものを食べまくるあのお花見が
4月の3日の
月曜日!
に、話し合いで決まったとしても
それまでずーっと
大人しくしているのは
あまりにも無理な相談というもの。
考え出した理屈ではなく熱く鳴り響く胸の音が
今日はフェルゼンと奏でた
歌に合わせて打ち合わせる手のリズムや
ゆびずもうとあやとりを求めてやまなかったのね。
どっちにしても、こんな寒い中
フェルゼンをお外に行かせることはできないんだから
少し強引に、悪い子で
マリーが離れたくないとわがままを言ってしまうのは仕方がないというわけ。
それにしても
4月がはじまるのに雪がちらついてもおかしくないお天気が来るなんて
いくらマリーが普通のありきたりな行き方を許されない宿命に生まれたとしたって
ちょっとおどろく展開よね。
このまま灰色の空が続いたら
お花見に持っていくお弁当の買出しも出来なくて
ありあわせで済ませるしかなくなってしまう。
ホタお姉ちゃまが腕の見せどころだって
しゃきしゃき身動きもするどく準備をはじめたけど。
みんなでわいわいああでもないこうでもないって準備をするのもいいと思うの。
喜びを見つけるなら多いほうがいいでしょう?
運命みたいにひとつだけ大切にする何かを見つけ出したのも人生なら
楽しいことを追いかけ続けるのも人生よね!
別に両方を求めたっていいし。
フェルゼンが何よりも愛しいマリーは
春の醍醐味のお花見にだって全力だから。
なんとかなったらうれしいなというマリーの願いに魔法の光が灯る。
決して揺るがない強く信じる力が
眠そうな曇り空を吹き払い
過ごしやすい晴れの日を呼び覚ますのも
もうすぐよ!
──だといいな!
きっと忘れられない大盛り上がりのお花見にしましょうね。